貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第18話王子

ローズが部屋で待っていると…

トントン

「失礼します…」

扉がノックされゆっくりと開いた。

ローズは席から立ち上がって待っていると…二人の綺麗な顔立ちの男性が入ってきた。

(王都ともなるとみんな顔立ちが綺麗なのね…)

ローズは挨拶の為頭を下げる。

「ローズ嬢…」

名前を呼ばれ顔をあげる。

「はい、手続きをしてくれるとお聞きしましたが?」

ローズは手続きをしに来た従者か何かかと思っていると…

「えっ…あっ…覚えていませんか?」

一人の男性が悲しそうに見つめる。

(本当に綺麗な顔ね…女の私よりいいって嫌味かしら…でも…何処かで…)

ローズがうーん…と顔を顰めて考えている。

「ぶっは!カイル!この人君のこと覚えてないよ!」

後ろにいた男性が笑いだした!

ローズがそちらにも顔を向けると後ろの男性も負けず劣らず整った顔をしていた。

(なんなのこの顔面偏差値の高さは…確かぶつかった人も綺麗な顔してたわね…)

王都に入ってぶつかった人を思い出すと…目の前の男性を見つめる…そこには同じ顔が立っていた。

「あっ!あのぶつかった人!」

ようやくローズがその事に気がつくと…

「その節は大変失礼致しました」

カイルが頭を下げた。

「いえ…王宮の方とは知らなかったとはいえ…こちらこそ失礼な態度を取りまして…申し訳ございません」

ローズも慌てて謝る。

「それで…あなたが手続きをして下さるんですか?」

ローズがカイルともう一人の男性を見つめる。

「本当だ…この子本当に僕らを知らないんだね」

信じられないような顔を向けられる。

(何度もなんなのよ…この人達が違うなら一体なんの為に来たのよ)

イラッとしながらも顔に出さないように我慢している。

「では、ただ謝りに来てくれただけと?」

ローズが聞くと…カイルはロイの顔を見た…二人が頷きあうと…

「ローズ嬢はこの度の第二王子の婚約者候補の中に選ばれ王宮に来たと聞きましたが?」

答えが帰ってこず質問を返される。

「ええ…間違いで届いたみたいですね、私には分不相応です」

ローズが眉を顰めながらも答える。

「しかし…書状が届いた以上出席しないと不味いですよね?」

カイルが言うと…

「そうみたいですね、でもこの書面を見て気が付きました。一週間後にあるパーティーで集められた令嬢の中から10名程度に絞られるそうですね、ですから一週間たてば私は帰れるって事です」

ローズは確信をもって答えた。

「何故ですか?ローズ嬢が10人に選ばれるかも知れませんよ」

あはは!

ローズが思わず笑いだした!

「ない!ないです。それくらい子供でもわかります、こんな田舎者の貧乏令嬢を王子様が気に入るわけないじゃないですか?」

「そんな事ないですよ」

カイルの後ろに立っていた男性が微笑みながら否定した。

「ふふ、ありがとうございますでもお気遣いは無用です」

ローズが苦笑する。

「いえ、僕は君のこと気に入りました。それが答えです」

「おい!ロイ!」

カイルが思わずロイを睨む。

「いや、気に入ったって言っても恋愛での事じゃないよ、人として気に入ったって事」

「ま、まぁ…それなら、いや!それでも良くないぞ!」

何やら揉め出す二人のやり取りに意味がわからずにいる。

「ほら、ローズ嬢が訳がわからずに困ってるよ…先ずは自己紹介からさせて貰うね。僕はクロフォード国の第二王子ロイと言います」

「はっ?」

ローズはロイの言葉に被っていた余所行きの仮面が剥がれ落ちてしまう。

ロイはそんなローズの顔をおかしそうに見つめていた…

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