貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第16話誤解

ローズが不安そうにキャシーを見つめる…

決して騙そうとした訳では無かったが…結果騙すことになってしまった。

きっと自分と同じ立場な事に納得していないのかも知れない…

(せっかく仲良くならそうだったのにな…くそ!これもそれも全部あんな書状を送ってくるからだ!)

ローズがもう一度キャシーに謝ろうとすると…

「ローズも婚約者候補の為にここに住むことになるのよね!」

キャシーは嬉しそうに笑顔を浮かべていた。

「あれ?キャシー怒ってないの?」

「なんでですの!すごく嬉しいです!これからまた一緒に居られるって事ですよね!」

キャシーが喜んでいるのに水を差したくないが…

「ごめんね…私この話を断りに来たのよ…だからここに住むことはないわ」

ローズがすまなそうにする。

「それは困ります!」

カールが口を挟んできた。

「そうよ!それは困るわ!」

何故がキャシーも門番の味方をしだした。

「あなたに帰られたら…俺は…」

門番が何かを思い出し身震いをする。

「お、お願いします!俺の命の為にも残って下さ~い」

門番が床に頭をついた。

「ちょっとやめてよ!キャシーあなたも止めさせて」

「ごめんなさい…ローズ今は私はこの方の味方です…私ここに一人で過ごす事にずっと不安で…」

「私もいますが?」

ロンが口を挟むと

「あなたは黙ってて!」

キャシーがロンを睨みつけると、無視をして

「女の子の知り合いが居ないの…だからローズがいてくれたら本当に心強いのよ…」

ローズの手を縋るように握りしめる。

「で、でも…」

ローズが渋ると…

「王宮からの書状ですよ!そんな簡単に辞退なんて出来ませんよ!お願いですから話だけでも聞いて行って下さい!」

門番もキャシーと一緒に縋るようにローズを見つめた…。

捨て犬の様な瞳に見つめられ…

「わ、わかった、わかったからそんな顔で見ないでよ~」

ローズが頭を抱えた。

「でも向こうから断られたら帰るからね!キャシーもそこは納得してよ!」

ローズの言葉に二人の顔がぱぁーと華やぐと…

「「ありがとうございます!」」

二人の弾けるような笑顔にローズは苦笑してしまった。

「二人には悪いけど…断れるのは確かね…」

ローズが聞こえないように呟いた。

「ではローズ様手続きの為に移動をお願いしますね!」

「はい…でも手続きって何するんですか?」

「注意事項が書かれた書類にサインするだけですから直ぐに終わりますよ」

カールが笑顔で答えると

「ではアイリック様ローズ様をお借りしますね」

カールが頭を下げて部屋から先に出ていく。

「じゃあちょっと行ってくるわね…」

ローズがやれやれとカールに続いて部屋を出て行った。

「ロン…」

キャシーがロンを呼ぶと…

「わかってるわよね…」

キャシーがにっこりと微笑むと…

「ええ…ええ…きっとそうなるだろうと思っておりました…」

ロンが深いため息をつく。

「わかってるならいいわ、よろしくね」

キャシーはルンルンと機嫌良さそうにお茶を飲み干した。

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