貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第15話キャシーの部屋

ロンはメイドからお茶を受け取ると、ローズとキャシーの前に置いた…

「ありがとうございます」

ローズがロンにお礼を言うと…キャシーは少し考えて…

「ありがとう…」

ロンにお礼を言ってみた。

ロンは目を見開きお嬢様を見つめる。

「失礼致します!」

ロンがお嬢様のおでこを触って熱を計った!

「ちょっと!何をするのよ!」

キャシーがロンの手を払い除けると…

「先程からお嬢様の様子がおかしいので…もしや熱があるのかと…」

ロンが心配そうにキャシーを見ている。

「おかしい?キャシーは普通に見えるわよ?」

ローズもキャシーのおでこに触れると…キャシーは嬉しそうに頬を染めていた。

「お嬢様…私の時とだいぶ態度が違いますね…」

ロンがじとっとキャシーをみる。

「そ、そんな事ありませんわ!ただ、ローズの手が温かいからよ…」

二人のやり取りを軽く無視すと

「うん、熱は無さそうね。でも具合が悪いようならこれでお暇させていただくわ」

ローズが退席しようと席を立った。

「えっ…もうですか?」

その様子にキャシーが寂しそうにローズを見上げる。

「キャシー…今度私の家にも是非遊びに来て。こんな豪華にはもてなせないけど…歓迎するわ!」

ローズがキャシーの手を握っていると…

トントントン!

部屋をノックする音が響いた。

ロンが対応する為に席を外す。

「お客様のようね、本当にこれで帰るわね」

ローズも寂しそうにキャシーにお別れを言うと

「ローズ様…ローズ様に用があるそうですよ」

ロンが怪訝な顔をしながら戻ってきた。

「えっ?私に?」

覚えが無いローズが首を傾げると…

先程街でローズを追いかけていた男が入ってきた。

「あ!あなたは!」

ローズが身構える。

「ローズ様、落ち着いて下さい!私はあなたに書状を渡された門番のカールと申します」

カールと名乗った門番と言う男をローズはじっと眺める。

「あー…確かに…えっ?なんであの時追いかけて来たんですか?」

ローズが理由がわからずにまだ警戒していると

「あの書状の事でお話があったからです!あそこでお待ち下さいと申しましたのに何故居なくなっていたのですか!」

門番が責めるように言った。

「それは…辞退したし、どうせ帰れと言われると思ったので…もしかしてそれを伝えに?」

ローズが申し訳なさそうにする。

「いえ…ローズ様、この度送られてきた書状をにより貴方様も今回の第二王子の婚約者候補を決める行事に参加して頂くことが決定致しました」

「へっ?」

思いもしなかった言葉にローズの口から女性らしく無い声が漏れる。

「そういう事ですので、手続きをする為にご同行願いたいのですが…」

門番が頭を下げて返事を待っていると…

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!私は辞退しにきたのよ?それがなんで!」

思ってもいない話に思わず口が悪くなる。

「ローズ…あなたも婚約者候補だったの…」

キャシーが驚いてローズを見つめる。

「あっ…」

ローズが気まずそうにキャシーの方を振り返えり

「ち、違うのキャシー、私は確かに婚約者を決める為に王宮に来るように書状を貰ったけど…決してなるつもりは無かったの…ここまで来たのも断りに来ただけなのよ…」

ローズが必死にキャシーに説明しながらキャシーを見つめた…。

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