貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第12話逃亡

「あっ…あれかな?」

ローズは来た道を戻ってジェシカさんに教えてもらった店を目指していた。

すると賑わっているお店が目に入った。

看板を見上げると、確かにロドムの店と書いてあった。

ローズはお店に入って見ると…地元の町ではお目にかかれないような煌びやかな商品が色とりどりと並べられていた…

「わぁ…」

ローズは商品に目を奪われていると…

「いらっしゃいませー」

綺麗な男の人が声をかけてきた。

「初めて見るお客さんですね~ゆっくりと見てください!」

人あたりのいい笑顔を向けてくる。

「あの…ジェシカさんの紹介で来ました…父と弟に何かお土産をと思って…」

ローズが話していると…

「あら!ジェシカからの紹介?」

急に女性のような喋り方になり驚いた。

「あっ…ごめんね驚かして…えっと…お父さんと弟さんにだよね?お父さんは正装とかは着るのかな?」

お店の人が切り替えて店員モードになった。

「あっ…はいそうですね。会議とかもあるのでいつもきちんとした格好はしてます」

「ふーん…ならこちらのループタイなどはどうでしょうか?今王都で大人気ですよ」

「わぁ!素敵ですね!」

「それと弟さんに懐中時計などはどうでしょうか?時間を守る男性は出世しますよ!」

「それもいいですね!それにしようかな…」

ローズは選んで貰ったものが父達に似合いそうで気にいった。

「おいくらになりますか?」

「そうですね…お二つで…このくらいですかね?」

そう言って金額を見せられる。

「うっ…」

(高い…もらったお金の半分はなくなっちゃうな…)

ローズは少し悩むが…

もう帰るだけだし…と覚悟を決めて

「それでお願いします!」

と買ってしまった。

「ありがとうございます、ではお包致しますのでこちらにどうぞ…」

そう言って奥に通されるが

「あっ外で待ってますから大丈夫ですよ」

ローズが気を使って混み合う店内から出ようとした。

「そうですか?ではこちらでお会計をお願いしますね…ちょっと!こちらをお買い上げです。対応よろしくね」

お店の子に声をかけ

「綺麗に包んで来ますから待っていて下さいね」

お店の人がウインクして奥に行くとローズはお会計をすませて外の景色を見ていた。

遠くからでも見えるお城に

「一度くらい中に入ってみたかったかな…」

そうやってポソッと呟いていると…

「い、居た!」

はぁはぁと息を切らした男性がローズに向かって走ってきた!

「えっ!」

思わず後ろに下がると…逃げようと思われたのか

「待てー!」

凄い形相で大声を出され…ローズは思わず反対方向に逃げ出した!

門番はここで逃してなるものか!

彼女を逃がせば、俺がやられる!

カイル様に睨まれた事を思い出すと最後の力を込めて走り出した!

流石のローズも男の足に敵うはずもなくあっさりと捕まってしまった。

「ちょっと!何するよ!離して!」

ローズが男から逃れようと暴れると…何事かと人が集まって来てしまった。

「おい、城の門番が女の子を襲ってるぞ…」

「やだ…何があったのかしら…」

人々の目を集めてしまい門番が同様している。

「ち、違います!私はこの方に用があるだけで…」

門番の掴んでいた手が緩むと…

今だ!

ローズは隙をみて門番の手を捻って逃れた。

人の波をかき分けて門番から再び逃げていると…

「こちらに来て下さい!」

馬車が目の前に止まるとこの間助けた美少女が手を差し出していた。

ローズは思わずその手を掴んだ。

「嘘だろ…」

ローズに逃げられた門番は走り去った馬車の紋章を見る。

「あれは…アイリック侯爵家の…」

門番は急いで王宮へと戻って行った!

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