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俺はこの「手」で世界を救う!

ラムダックス

第60話













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今行きます♡










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<ザザンガ=ザンガ山脈帝国側麓>

「ぜんたーい、止まれっ!」

ザッ、ザッ!

軍列が寸分の乱れもなく一斉に停止する。

「回れー、右っ!」

ザッ、ジャッ、ザッ!

「休め!」

ザッ!

全ての号令に対し、すぐさま反応する兵士たち。

「見事なものだ」

そしてそれを椅子に座り高台から眺める一人の男がいた。

「ありがたきお言葉……」

横に立つ豪華な全身鎧の男が笑みを浮かべる。
だが兵士達は対照的に疲れ切ったような、なんとか力を振り絞っているという風な厳しい表情だ。

「で、ここで話をしろと?」

「はっ、畏れ多くも殿下のお言葉を頂戴したく存じます」

明らかに場違いな華美な装飾が施された椅子に座るは、ミナスティリアス帝国が第一皇子、デスベルシンク。

その横に立つは、帝国南方方面軍隷下第二軍団長、エスモキン中将だ。

「……はあ、お前、サヨウナラね」

「はっ?   なっ--」

--ジュッ……

「こんなところに座れると思ったのか?」

デスベルシンクは指先から一口サイズの炎を撃ち、エスモキンを一瞬で灰に変えてしまった。椅子も同様に燃やしてしまい、あしらわれていた宝石すら残らず灰となる。

「おい!   そこの!」

「ひゃいっ!?」

高台の出入り口を警備していた兵を呼ぶ。兵は急いでそばにより跪いた。

「椅子になれ」

「は、はい?」

だが、口答えをしてしまったが最後。

「あ、もうダメ、サヨウナラ」

「まっ--」

--ジュッ……

「……はあ、使えん奴しかいねえなあ」

また灰の山が積もる。

「おい、そこの」

「はひっ!?」

出入り口を警備していたもう一人の兵士がすぐさま駆けつけ跪く。

「椅子!」

「ははあっ!」

膝と手を地面につき馬になる兵士。だが、デスベルシンクは首を横に振った。兵士は何か至らぬ点があったのかと、引きつった笑顔になる。

「違う、腹だ。背中は棘があるだろうが、馬鹿め!」

帝国軍正規兵・・・の鎧には、背中に魚の背びれのような棘が付けられている。
これは第一に一等臣民の兵である証であり、また敵の抱きつきや背後からの攻撃を防ぐ実用的な役割も併せ持っている。

そもそも正規兵(一等臣民)とは何か。
帝国では、住民に対し一等から五等までの位付けがなされる。

一等臣民は帝国に住まう貴族に連なる者に与えられる。

二等臣民は豪農・豪商等の、貴族ではないが国にとって重要な人物やその家族に。
それに加え、鍛治や薬など重要なものづくりをしている臣民にも与えられる。

三等臣民はいわゆる平民に与えられ。

四等臣民は自国出身の奴隷に。

そして最後、五等臣民は他国民に与えられるのだ。

帝国は古くから覇権主義を唱えており、他国の侵略によって歴史を作ってきた。侵略された側の国民は最初は五等臣民として最底辺の扱いがなされ、一定の功績を経ることで、”特定三等臣民”に格上げされるのだ。
だが、他国民はどれだけ頑張ってもそれ以上に上げられることはなく、普通の三等臣民と比べ制限も多い。

そして、この今回再編成された神皇国辺境攻略軍は合計十の師団からなり、一等臣民及び三等臣民からなる師団が一つ。四等臣民師団が三つ、五等臣民師団が六つ編成されている。

正規の兵は一等臣民だけであり、他の兵は皆臨時に雇われたり召集された者達ばかりだ。武装にも当然格差があり、五等臣民にもなると防具すら与えられず、ボロボロの剣や槍が精一杯の有様だ。

この椅子に成り果てた兵士は、そんな中でも本来ならば一等臣民師団に所属するエリートであり、第一皇子の護衛という名誉ある持ち場を与えられたはずだったのだが……

「も、申し訳ありまひぇん!」

涙目になりながら腹を向けブリッジの体勢をとり、必死に謝る兵士。
デスベルシンクはフン、と鼻を鳴らしどかりと座り込んだ。

「……で、これからどうすれば良いのだ?」

「は、はい?」

「指揮官がいないではないか!」

「そ、それは殿下が……ぐふっ、がっ、ぎゃっ!」

自分が灰にしたことを棚に上げ激怒する。そして兵士の言葉を聞こえていないかのように無視し、顔に右拳を何度も叩きつける。
まるで机を打ち鳴らすように見もせずにドンドンと打ちつけるごとに、兵士のそのたくましさがにじみ出ていたはずの顔が歪んでいく。

そして歯もほとんどが抜け落ちたところで、イラつきが収まったのかデスベルシンクは立ち上がった。

「はあっ、はあっ」

「ぐふっ……ごぽっ」

血が口内にたまりうまく喋れない兵士だが、その恐ろしさを目の当たりにしている為か必死に話しかけようとする。

「汚いな」

が、デスベルシンクは全く相手にせずに、なんと高台の柵から身を乗り出し下へ飛び降りた。
と、地面にぶつかる直前、足元に風が巻き起こりふんわりと着地する。そして先ほどまで自分が登っていた高台に手のひらを向けた。

「掃除するか」

瞬間、人の頭ほどもある炎が手のひらから拳2つ分ほど離れた空中に出現する。その炎は高台へと勢いよく放たれた。



--ゴウンッ!


鈍い音を立て、全体が一瞬で炎に包まれる高台。木造と石造が合わさったそれは、素材に関係なくどんどんと灰に変わっていく。
中に待機していた兵たちの悲鳴が聞こえるが、デスベルシンクは御構い無しに無表情でその光景を眺め続ける。

そしてついに、大きな灰の山が出来上がり、元あった高台は跡形もなく消え去ったのであった。

「……さて、次だな!」

デスベルシンクは手首に巻きつけた、赤い宝石が埋め込まれている黄金の腕輪を見やる。手の甲側に埋め込まれた宝石が怪しく光ると、待機していた兵士達の首に巻き付けられた黒い首輪に埋め込まれた、少し小さめの同じような青い宝石が光った。

『ぐああああ!』
『ひゃああああ!』
『頭があああああ!』
『いだいいだいいだい!』

疲れた顔で命令通り待機していた兵士達が、いきなり苦悶の表情を浮かべ、頭を押さえうずくまる。

「おお、さすが秘宝!   中々の力じゃないか!」

宝石は眩い光を放ち続けている。

「よし……<黙れ!>」

デスベルシンクが腕輪を兵士達の方へ向けそう叫ぶと、叫び声が一斉に止んだ。

「<並べ!>」

しゃがみこんだり走り回ったりと、隊列を崩していた兵士達だが、その命令・・を聞き、再び隊列を整えた。

「うむ、上々だ!」

ご満悦な様子で何度も頷く。

「さて、次は……<進め!>」

隊列は命令を受け、足音を立てながら山脈へと向かう。これから山越えをし、一気に神皇国の領土へと踏み込むつもりなのだろうか。

だが今は夕暮れ時、ザザンガ=ザンガ山脈には猛獣や険しい山道など危険がいっぱいだ。しかし、彼はそれらを乗り越えられる自信があるのだろう。

これまた腕輪の力で、精鋭の部隊に自身の護衛をさせ、指揮官達に兵士達の管理を任せる。
第二軍団の全六師団に、第三軍団の四師団を合わせた約二十万人もの軍隊が、グリムグラス神皇国を再び侵略しようと行進する----











「あれが、ザザンガ=ザンガ山脈……」

村から見えていた山々は、こんなに大きかったのか。

私の乗っている飛行船は、一ヶ月かけ遂にグリムグラス神皇国の領土へ辿り着いた。今、飛行船の左横に設けられている展望室から眺めている景色は一面山に支配されている。
木々の殆ど生えていない山肌が露出した険しい山脈だ……

「アナちゃん、ここから先はもしかしたら悲惨な光景が広がっているかもしれない。一ヶ月経ったからといっても、綺麗さっぱりに片付けられているとは限らないからね」

「ガーラ、ううん、大丈夫。ちゃんとこの目で見るよ、今の村の姿を……」

「アナちゃん……」

ガーラが私の手を優しく握ってくれる。
この人とは旅路の間に更に打ち解けることができ、呼び捨てにタメ口も当たり前だ。




旅の途中、一度だけ夢でラビュファト様にまみえることができた。だが、あまり長く話しができずに目が覚めてしまったが。
聞けたのは、村があの後どうなったか、帝国兵は退散したのかなどと、そして”世界の危機”や私がラビュファト様の使者として扱われている現状についてだ。

あの時村を襲った帝国の兵士たちは全員ラビュファト様の力で消し去ってしまったらしいのだが、村の残骸までは片付けられていない。あくまであの時は私を助けるためのみに力を使ったということらしい。神の力を直接及ぼすには制限があり、それが世界の危機を現地の生物に委ねる原因になっているのだとか。

世界の危機についてはハイエルフ達の説明の通りだった。やはり世界樹が瘴気を吐き出す期間へ入ってしまっているようだ。

私が使者として選ばれたのは間違いない、それには勿論きちんとした理由があると仰っていた。だがその内容を聞き出す前に、時間切れだということで、夢の中なのに意識が薄れ現実に帰らされてしまったのだ。
一体どんな理由だというのか。次お会いできる時がいつなのかは全くわからないが、その時は是非訊ねたいものだ。

私がラビュファト様と夢であったことをガーラに話すと、飛行船の中を濁流のように情報が飛び交い、使者様としていっそう持ち上げられる事態となってしまった。まともに会話ができるのはガーラとセドゥナさんだけだ。
因みに、アエズロカさんはユグドラスでお留守番らしい。不在の間も部屋を掃除したりと使用人としての色々な仕事があるのだとか。


私達は開拓村の現状を一度確認しに向かっている。私とガーラの要望によるもので、もちろん誰も断れるはずもなく。
皇都へ向かう前にどうしても一度目に来ておきたかったのだ。ラビュファト様のおっしゃる通りならば、村が破壊された後は残っているはず。手だけでも合わせ死者の弔いを済ませたい。お父さんやクロンの両親、他の村人達の。



「見えた!」

山に沿って開拓村達があったあたりを進んでいく飛行船。と、流れる景色の中に微かに見えた地面には、大小様々な穴が開いており、なんとなく見覚えのある形に広範囲に建物らしき残骸が散らばっていた。

「もっと高度を!」

ガーラが伝達間に向かって叫ぶ。操舵手はすぐさま命令を聞き入れ、船がいったん止まり、続いて高度がゆっくりと下がっていく。
それにつれ地面の様子もはっきりと見えるようになっていき、村の広場だったろうところには銀行と思わしき背が高めの建物が現れた。

「あれは間違いない、銀行……私の村でも新しい建物なの。見間違うはずがない……でも、なんであんなに綺麗なの?   周りはこんなにボロボロなのに」

先端に三角の屋根が付けられた四角くく細長いその建物は、何故か無傷だった。本当に、欠けているところ一つないのだ。

「魔法か何かで守られているのかな……?」

ガーラが呟く。そうか、お金を管理する場所なだけあって、人による警備だけでなく魔法による防護も為されているのだろう。

「……あの、降りてもいい?!」

「え?」

「お願い……村をこの足で見て回りたいの。そうすれば、きっと心の整理がつくから……」

「アナ……」

この目で見てみたい。自分の家や、クロンの家を。目に焼き付けて、決して忘れないように。

「……わかったよ。聞こえるかい?   船を下ろせる場所を探してくれ!」

しばらく私と見つめ合っていたが、遂に認めてくれたようだ。ガーラが伝達管に向けて指示をする。

>え?   降りるんです?   ここにですか?<

操舵手は戸惑っているようだ。こんな穴だらけのボロボロな場所に降りろと言われても、と思っているのだろう。

「お願いします!   最悪、飛び降りますから!」

>え!?<

「アナちゃん、それは!」

「危険なのはわかっています。着地できないのであれば、ギリギリまで高度を下げてもらえれば」

ガーラが肩を掴むが、操舵手との話を続ける。

>使者様のお言葉とあらば……わかりました、出来れば着地するようにしますので、しばしお待ちを!<

「ありがとうございます!」

船はさらに高度を落とし、速度もだんだんと遅くなってゆく。
そして村の少し外れたところに船はゆっくりと着地した。どうやら、いい場所が見つかったようだ。

音を立て、船が少し揺れる。着地してしばらく経ってから、伝達管から声が聞こえてきた。

>もう大丈夫です、外に出られますよ!<

「はい、わかりました。ガーラはどうするの?」

「私は……ついていくよ!」

「そう、わかった」

ガーラを連れて、搭乗口から外へ出る。
村から数百メートル離れたところに降り立ったようだ。遠くにかすかにだが、畑や家の残骸が見える。

「行こう!」

「う、うん」

今度はガーラが先頭に立つ。私が少し緊張しているのを感じ取ってくれたようだ。

そして村の入り口に辿り着いたその時。

--ガサッ

砂利道の脇にある茂みで物音がし、咄嗟に身構える。

「誰だ!」

ガーラも腰から短剣を取り出し臨戦態勢だ。

ガサガサと音が近づいてくる。

「アナちゃん、いざとなったら助けを呼びに戻るんだ!」

「え、でもガーラは!」

「大丈夫、私のことを信用してっ」

笑顔でそういうガーラ。

「……うん、わかった」

私はいつでも逃げられるようにする。

そして茂み現れたのは----



「や、やあ」

「え…………お、おじさん!?」

          

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