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妹が『俺依存症』を患った件

ラムダックス

第58話 ファッションエリアへ!


「おい、待てよ」

と外に出ると、流湖のことを真奈が捕まえていた。

「あ、お兄ちゃん」

流湖は胸を押さえ息を整えているようだ。

「なんでそんな慌てて逃げたんだ?」

呼吸が元に戻った彼女に訊ねる。

「……先生が"個人レッスン"って単語を出した時はお怒りの合図なんだよ〜。あれは本気で怒ってるってことだから、あと少しで爆発していたよ〜」

ビクビクと震えながらそんなことを言う。

「でもあんな逃げ出すようなことしなくても」

「だって、後から本当に"個人レッスン"を受けるんだよ? つまりは生徒指導。きっとあのままだと私だけ今度の部活の時間、叱られていたもん。あの時間の恐ろしさを知らないからそんなこと言えるんだよ〜」

と俺の腕にすがりながら涙目で言う。

「はあ、まあよくわからんがわかった。さて、どうしようか? まだどこかに出かけるか?」

しょうがないなあと思いながらよしよしと流湖を慰めつつ、皆にそう訊ねる。

「もう少し違う筋に行ってみませんかー?」

「そうだな、まだ3時か。時間的には余裕だぞ」

「私も泰斗がいいなら行くっ」

「私もお兄ちゃんが良いなら」

4人はそこそこ乗り気のようだ。

「流湖は?」

「私も、伊導くんが行きたいなら……ふう、ごめんなさい皆。変な空気にしちゃって悪かったね? よし! そうと決まれば元気出して行こ〜」

と流湖はようやく立ち直ったようだ。でもここまで怯えるなんて、富佐子の"個人レッスン"ってどんな怖さなんだ?

「じゃあ今度はファッションエリアに行こうよ」

ファッション……だと!?

「なに、お兄ちゃんそんな顔して。もしかしてこの前のランジェリーショップのこと思い出してるの? ふふ、変態さんなんだから」

「違うわ! むしろ思い出したくない記憶を思い出したんだ。もうあんな地獄を味わうのはごめんだぞ……」

そう、あれは本当に酷かった。下着を選ばされるし、その夜は妹とあんなことまで……いかんいかん、早くあの時のことは忘れるんだ俺。妹は家族なんだぞ!

「大丈夫大丈夫、今日は本当に服屋さんだけだから。ね?」

「はい! そうだよお兄ちゃん、先輩の言う通りだよ」

と真奈が説得してくるが。

「ランジェリーショップってなんですかー? 下着と先輩になんの関係が?」

そこに理瑠が口を挟む。

「実はね--」

と流湖がそんな彼女に耳打ちで説明をする。

「ええっ!?」

理瑠は話を聞くと、顔全体をリンゴ色に染めて自らの身体を掻き抱く。

「お兄さん、そんなことしたんですか!? へ、へへ変態じゃ無いですかー!」

「こら、叫ぶのをやめなさい、見られてるぞ!」

通行人が何事かとチラチラ視線を送ってくる。俺は慌てて理瑠の口を塞ぎつつ、周りに頭を下げ何でもないと合図を出した。

「んむむ、ぷはっ。ともかく、そんなイベントがあっただなんて……ずるいです、二人とも! 私もお兄さんに選んで貰いたいです!」

「ええっ!?」

と、俺の服にしがみつき懇願してくる。いやいや、何を言い出すんだこの子は。それにさっきあんなことはもう懲り懲りだと言っただろうに。

「駄目だ、行きません!」

「えー」

「行かないものは行かないから。諦めなさい」

「じゃあ……代わりに私の私服を選んでくださいよ」

と彼女はいじけつつも強かに要求をしてくる。

「まあ、それくらいなら……」

「えっ、じゃあ私も!」

「私も!」

だが案の定と言うべきか、流湖と真奈の二人もその要求に乗っかるように飛びついてきた。

「ダメですー! 二人は下着以外にも選んでもらったんですよね? せめて私が一番最初ですからね!」

「じゃあ、理瑠は4着、私たちは2着ずつコーディネートしてもらうっていうのはどう?」

「そうだね、それなら良いんじゃないかな〜? どうかな理瑠ちゃん」

「まあ、そういうならその条件で。じゃあお願いしますね、お兄さん!」

理瑠は先ほどの沈んだ感じとは打って変わってはしゃいだ様子でお願いしてくる。

「俺の意思は?」

「え、ダメなんですか……?」

だからその涙目はやめなさいと……ああもうっ。

「わかったわかった。でもあまり時間はかけるなよ?」

「やったー! お兄さん大好き!」

「お、おい」

そう言うと俺の胸に飛び込んで、グリグリと頬を押し付けてきた。

「もう、理瑠! そこまでは許してないよっ」

「だよだよ〜」

「やんっやんっ」

彼女は必死に抵抗するも二人がかりで敢なく引き剥がされた。た、助かったぜ。

「ねえ泰斗、伊勢川くんってどう見てもアレだよね」

「ああ、アレだな」

しかし俺はジト目で見てくる二人を黙殺したのだった。





10分ほど歩き、ファッションエリアとなっている筋にきた。本当この地区はわかりやすい構造だな。考えた人は中々頭が良さそうだ。
普通はこういう再開発って色々と横槍が入って結局は中途半端な形になるものだと思っていたが、綺麗な碁盤の目でかつ筋ごとの雰囲気も統一されており、何より地元の承諾を経て作られたという部分が非常に大きいだろう。

昨今は大型商業施設の増加で、地元のお店の経営が逼迫しているなんてニュースを目にする機会も多くなってきたが、ここに至ってはそんなこともなく行政と民間の努力の賜物と言える。

「じゃああのお店からお願いしますね!」

「え、一店だけじゃないのか?」

「え? 見て回って良いのを見つけて、それならもう一回買いに戻るに決まってるじゃないですかー。前の時に学ばなかったんですか?」

「ええっ……いや、普通一つずつお店を回って買って行ったけど?」

と二人に同意を求める。

「あの時はあんまり時間もなかったからね〜」

「そうですね。それに時間で区切って交代交代で買い物してましたから、余裕なかったですよね」

「えっとじゃあ、今日はもしかして」

「理留と同じだよ?」

「だね〜」

ま、まじか……

「伊導、ドンマイ」

と泰斗が肩に手を置き上から目線な感じで言ってくる。む、ムカつくなおい。

「泰斗、あなたもだけどっ」

「え?」

そんな泰斗の後ろから、同じように彼氏の肩に手を置き私刑・・宣告をする霞。

「まじですか?」

「マジですよっ、伊勢川くんと違って泰斗は私一人分だから、いっぱい選んでくれるよねっ?」

と満面の笑みでいう。

「ええ、でも流石に三人の時間分ずっとは」

「選んでくれるよねっ?」

「ハイ、ヨロコンデ」

ざま……じゃなかった、頑張れ泰斗。単純計算でも6着分のコーディネートだ。変な服を選んだらあとで怖いぞ?

「じゃあここなんてどうですかー?」

と、まず目に入ったお店を指差す理瑠。

「良いね、XYALAか〜」

有名ブランドが展開するチェーン店だ。値段は中くらいといおうか、安くもないしそれほど高くもない。服の種類もそこそこと言った感じだが、季節にあわせた服の種類が豊富なのが売りのお店だ。

「じゃあここで。お兄さん行きましょー!」

「ちょちょっ」

そうして腕を引っ張られながら入店する。

「ほー、久しぶりにきましたがやっぱり良いですねー」

俺の腕を引く後輩は、店内を見渡しながらそうこぼす。

「じゃあお兄ちゃん、私たちは私たちで選んでくるから。約束忘れないでね!」

「はいはい」

と、他の四人を送り出し、二人で店を見て回る。

「あ、お兄さんこれなんかどうですか?」

「え?」

理瑠はレディースではなく、何故かメンズの服を手に取る。

「ほら、似合いますよー?」

「何してんだ? そっちの服を選ぶんじゃなかったのか? 俺の服なんか選んでも楽しくないだろ」

そしてそのまま俺の体に服を当てながら頷く彼女に問いかける。

「ここなら、皆はあまり来ないでしょう? きっとレディースコーナーに行ってますよ」

「はあ」

「実は、お話があるんです」

「話?」

と、俺に当てていた服を戻し、真剣な表情を作る理瑠。



「今までずっと黙っていたのですが……私、真奈のことが異性として好きなんです」

          

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