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妹が『俺依存症』を患った件

ラムダックス

第55話 コス・プレミアム


「もう、流湖先輩とだけデートするなんてだめだよ!」

「そうですそうですー! 私のこと放っておいて、先輩とイチャイチャするなんて!」

「ずるいー」

「ずるいー」

あああああああうるせええええええ!!!!

両側からピーチクパーチク非難の声を浴びせられる俺。

朝、見つからないように早めに流湖と共に出かけようとしたら、それをタイミング悪く起きてきた真奈に見咎められ。ついでにと理瑠までついてきてしまったのだ。

君たち受験勉強とか大丈夫なの? あ、理瑠は受験ないんだっけ……

「残念だったな〜、折角二人きりで"コスプレイ"できると思ったのに……」

今何か違う意味で言いませんでしたか? それあっちの意味ですよね? それに二人きりじゃなくて泰斗たちもいるのだが。

「まあいいじゃん? 賑やかなほうが楽しいって」

能天気なことを言う泰斗。君はいいよねえ、彼女持ちでしかもその相手はめちゃくちゃ己のことを愛してくれてるんだからさあ……!
と、ちょっと根暗キャラっぽいことを思ってみたりもするが。

まあ付いて来てしまったものは仕方ないので、予定通りコスプレ店を観に行って、ついでに買い物をしてさっさと帰れば良し。

「じゃあいこっか、伊導くん」

と、さもそれが当たり前であるかのように俺の腕を絡めとる流湖。それをみた真奈は……

「ううっ、今日は我慢……しないと……また下着がビチャビチャに……」

俺の体に抱きつくと、自然と気持ちよくなっちゃうわけで。流石にこう出かけるたびに服を汚して・・・いてはしんどいのだろう。
まるでこの世の終わりかのような顔をしながらも、懸命に我慢をする真奈を見てお兄ちゃん涙が出そうです……!

でも待ってほしい我が愛しの妹様よ。いくら小声だとはいえ人前でそのようなことを口にするのはどうかと思うぞ? お兄ちゃんあなたの将来が心配です……!

「じゃあこちら側は私がー!」

「あっ、おいっ」

じゃれつく子犬のように俺の腕を抱きしめる理瑠。だが強く払い除けるわけにもいかず、そのまま三人合体ロボのようになりながら歩く羽目になってしまった。

「むむむむむむむむむむむむ」

今にも真奈の頭が爆発しそうだ……こりゃ今夜は慰めるのに大変だな。

そうこうするうちに、目的のお店へ。

「へえ、『コス・プレミアム』か。中々面白い店名の付け方してるんだな」

泰斗が店の看板を見ながらいう。それだけ品揃えに自信があるということなのだろう。

「じゃあ入ろっか〜!」

「はーい!」

「はい……」

「おっしゃ待ってました!」

「お、お手柔らかにねっ?」

泰斗と霞は完全にデート気分なのだろう。まあこっちは放っておいても問題はない。あるとすれば、こちらの三人の動向だ。せめて心臓に悪いことはしないでくれよ?

「なあ二人とも、流石に腕を離してくれないか? いくら何でもこの状態で店の中に入りたくないんだが」

「「ええー」」

君たち仲良いなぁ! でもどれほど抗議しようがダメなものは駄目なんだぞ。

「先輩、理瑠、あんまりわがまま言ったらお兄ちゃんに嫌われますよ」

「え?」

「ほんと?」

と真奈の一言で腕を離し、こちらを寂しそうな色を浮かべた瞳で見つめてる二人。

「そ、そうだなあ、聞き分けのない人は嫌かな〜」

などとここは乗っておくことにしよう。

「わ、わかりましたっ、先輩の仰る通りにします!」

「え〜、嫌いにやっちゃいや〜」

理瑠は敬礼をし、流湖は胸の前で両手をくるむ祈るような仕草をする。

「じゃあせめて店のなかでは大人しくするんだな」

「「はい……」」

うむ、これで恐らくは大丈夫だろう。

「おーい何してんだ皆? 早く入ってこいよ」

と店の中から泰斗が声をかけてきたため、四人揃って入店すると。

「おお、これはすごいな」

一目でわかる品揃えの豊富さだ。制服のようなものから何かのアニメのコスプレ衣装まで、ジャンル分けされて綺麗に並べてある。
さらには、服だけではなく武器などの小道具もセットになっているものまである。

値段もピンキリだが、レンタルもできるらしく、様々な顧客のニーズに対応できるようなサービスを展開しているようだ。

「二人はメイド服だったな?」

「うん、でも流石に全員分は買わないよ? 資料としての分だけ選んで、後は皆で手分けして縫うんだ〜。昨日クラスの『ランテ』で話し合って一着二着くらいならって購入する許可ももらったよ」

「え、そうなのか? そりゃ凄いな」

それにキュロットにするとも言っていたし。流用するには上はまだしも下は少し厳しいのかもしれないな。

「取り敢えず女子は半分程メイドさんをやって。後は裏方。それは昨日は言ってなかったけど、男子も半分くらいは執事服を着るの」

「へえ、男子もコスプレするのか?」

じゃあ実質メイド&執事喫茶になるわけだな。これなら男女両方のニーズに応えられるし、勿論同性のコスプレが見たい人も来てくれるだろう。

「ふふっ、伊導くんも来てみる〜?」

「え、執事服をか?」

「うんうん。で、私はメイド服を。執事とメイド、お似合いと思わない?」

「そうだなあ」

「ええっ、流湖先輩抜け駆け!」

「ですよー!」

しかし結論を出す前に、後輩組が水を差す。

「まあまあ、じゃあこうしない? まずは私が一緒に着て、そのあと二人が順に伊導くんとコスプレするの。ならいいでしょ〜?」

「う、そ、それなら確かに……」

「先輩とお揃いにできるなら私も……」

と鶴の一声でおとなしくなる。上手くコントロールされてないか君達?

「じゃあ決まりね! まずは伊導くんの服選びに行こうよ」

「俺からか、まあそんなきっちりとしたものじゃなくてもいいぞ」

「待ってください」

「私たちも一緒に」

「いいよ〜、皆で理想の伊導くんに仕立て上げましょう〜!」

「「おー!!」」

あれ、これって着せ替え人形にされる流れだよな、と気づくも時すでに遅し。このあと俺は散々色んな衣装を着させられるのであった。






「--これいいね〜」

「ですねー!」

「お兄ちゃんかっこいい!」

「おう……そうか……」

今着ているのは、燕尾服の上着にクロスタイをつけたバトラータイプの執事服だ。もうかれこれ10着近く身に付けただろうか。ここに来てすでに1時間半ほどが過ぎてしまっている。

「じゃあ私からね〜」

と、お店と内接されている隣の写真屋さんで撮影会を始める。一枚何円というところから、食べ放題ならぬ撮り放題、また枚数セットなど複数のプランが用意されており、俺たちはその中の枚数セットを選んだ。
これは携帯の通信量のように、撮った枚数によって値段が変わるものだ。撮り放題だと着替える時間が勿体無いし、こちらにしたのだ。

とそんなことはどうでもよくて。

「じゃあはい、横に並んでね」

「はいはい」

最初は緊張していたが、流石に場慣れ・・・してきた。

「撮りますよー」

とプロの写真家が撮ってくれるのがここのサービスの良いところだろう。勿論自分たちで取ることもできるし、さっきから真奈なんかは俺が着替えるごとに写真家の後ろから携帯でパシャパシャと、興奮した様子で一心不乱に撮りまくっている。

「はい、ポーズ!」

隣に並ぶ流湖の格好は、頭にホワイトブリムと呼ばれるカチューシャのようなものをつけ、俺と同じくクロスタイをつけたドイツの村娘風メイド服を着ている。ちなみにハイソックスである。
腰のあたりがキュッと締められ、そのそこそこある胸が強調されているが、口に出して褒めるわけにはいかないので先ほど感想を聞かれたときは他の部分を褒めておいた。

「んふふ、こうしてると本当にメイドさんになったみたいだね〜。何度やっても楽しいな〜」

「そうか、俺も来てよかったよ」

と背中を合わせにポーズをとりながら会話をする。

着せ替え人形にされているときはだいぶゲンナリしていた俺だが、その後こうして皆と写真を撮っていると、だんだんとノってきたのだ。

俺だって男だ。
言動や行動はともかく、可愛い女の子たちのコスプレ姿を見て喜ばしい気持ちは十分にある。

「じゃあじゃあ、次は私ですね!」

「おう、いいぞ」

そうしてなんだかんだと昼時までコスプレショーを楽しんだのであった。

          

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