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妹が『俺依存症』を患った件

ラムダックス

第25話 放課後、図書室にて


放課後、部活が休みということで。
二階にある図書室で俺と泰斗、流湖に霞の昼休みメンバーでテスト勉強をすることもなった。
テスト週間は休日も含め図書室は終日解放されており、多くの生徒が利用している。

いつもは静かであろうこの空間も、この時に限っては生徒の様々な話し声によって賑やかだ。

俺たちはその中に配置されている机の一つを四人で占拠し、各科目の勉強をする。

「ふむ、この公式はこう応用できるんだな」

「そうそう、で、こっちはこう使って……」

「難しい……どうやって覚えたらいいんだこんなの」

「年号って難しいですよねっ。でも語呂合わせを使うとやりやすくなりますよっ!」

まずは俺と流湖で数学を互いに教えあい。で、泰斗は苦手な歴史科目を霞に教えてもらっている。

霞は、ようやく少しずつ慣れてきたものの、やはり泰斗の前ではまだまだ敬語が抜けないようだ。
頑張れ、恋する乙女。

「あれ? 伊導くん、ここってどうやるんだっけ」

問題集を解いていると、気になった問題があったのか指を指し示してくる。

「ああ、ここは」

と、教えようとした時。見上げたら、流湖の顔が目の前にあった

「っ!!」

「!!」

思わず、顔を逸らしてしまう。

「ご、ごめん近すぎた」

「いや、俺の方こそ気付かなくて悪い」

流湖はいつの間にか椅子から立ち上がっていたようで、俺の顔を覗き込むような形となっていたのだ。
彼女が慌てて座りなおす。

「こ、ここは--」

俺は何事もなかったように教えようとし、向こうもその空気を読んだのかフンフンと必死に解説を聞く。

「なるほど、ありがとう」

「いや、人に教えると、自分も復習できるし、効率いいなこれ」

「だね〜」

ところで泰斗たちは?

顔を前へ向ける。

「あれ、泰斗?」

「……ぐわぁ、頭が爆発しそうだ……」

「頑張れ頑張れですっ、やる気のない子はメッ! なのですよ!」

「助けてくれー」

項垂れる泰斗の横で、霞が某熱血系スポーツ選手のように両拳を握って励まして? いた。
嫌、君そんなキャラじゃなかったよね!?

「おい、大丈夫か? 適度に休憩した方が頭すっきりして勉強しやすいぞ」

「伊勢川くんは甘いですね! アサリがアサリですよ!」

「アサリ?」

ビシッ! と指を上へ突き立て、そんな事を言う。
なんの話をしているのだ、この子は。

「もう、霞ったら。この子意外と熱くなるところあるんだよねぇ」

「な、なるほど」

確かに、泰斗の気持ちを察していても平気でこいつにアタックし続けられるように、熱意というかメンタルは強い方のようだし。スパルタ系とも言うが。

「まあまあ、いったん休もうよ〜。ねえ泰斗くん?」

「んあー、そうだな、15分ほど休憩しようか」

図書室の壁にかけられた時計を見ると今は5時ごろ、ここは7時まで使えるらしいので、それくらい休憩してもいいだろう。

「何か飲み物買ってきようか?」

「あ、じゃあ俺も手伝うよ」

と、流湖の提案に泰斗が乗っかった。

「いいのか? じゃあ適当にコーヒーでも頼む」

「私も何か頭が冴えそうなものを」

「は〜い」

「了解!」

そして二人は購買横の自販機へと向かった。

「…………」

「増田さんはどう? テスト、上手くいきそうなのかな?」

思えば、この娘と二人きりになる機会はなかなかないな。
大抵は流湖が一緒にいるし、そこに泰斗も入ったりしてるし。

「…………」

「あの……?」

何故か、霞は神妙な面持ちだ。

「ねえ。伊勢川くんは、流湖の事、好きなのっ?」

「えっ? い、いきなりどうしたんだ?」

何故そんな話を。

「いいから、どうなのっ?」

「嫌、好きとかそう言う感情は……確かに最近仲が縮まっているとは感じるけど、それは友達としてで。異性として、と言うのは今のところはないかなあ」

「そう……まあ、これからのことは話半分に聞いて欲しいんだけどっ」

「はい」

「流湖から、流湖のお父さんと貴方のお父さんが良からぬ企て・・・・・・をしていると聞いた。二人を付き合わせようとしてるって」

「まあ、それはそうだが。まだ何も決まっていないし、俺としては受ける必要はないと思っているけど? 折原にも好きな人がいるらしいしさ」

流湖はどうやら霞に先日の件を話していたようだ。そりゃ、だいぶ仲のいい友達のようだから、ああいうことがあれば相談するよな。

「……伊勢川くんって、鈍感とか言われない?」

と、何故か半眼で俺の事を睨んできた。

「え? い、いや、特には言われた事ないが」

「あらそう。じゃあ私が第一号かもね。この鈍感っ!」

怒った顔で、ビシッ! と人差し指を指してきた。

「ええっ!?」

「あなた、もっと女心を勉強するべき。妹さんいるんでしょ? 見て聞いて、感じるといいと思うっ」

「は、はあ」

「とにかく。私の意見としては、流湖と伊勢川くん、付き合えばいいと思う」

「はあっ??? な、何言ってるんだおい」

流湖は、真顔でいきなりそう言い出す。

「二人は外から見ていてお似合いに感じるから。それひ、そうすれば、私と泰斗くんが付き合える可能性が高まる」

「ああ、なるほどそういう……」

「泰斗くんの好きな人は流湖。でもそれは流湖がフリーっていう前提だよね? 流石に、付き合っている人がいるのに横取りするような性格とは思えないし」

「まあ、確かにあいつはそんな奴じゃないとは思うが」

「だから、あなたたちが付き合う。すると、泰斗くんは失恋する。そこに、優しく声をかける私……完璧っ」

「は、はあ」

霞はなかなか腹黒いというか計算高い所があるらしい。
だが俺に言ってしまって良いのだろうか?

「それに、流湖の家に住むんだよね? 今はその気がなくても、身近な距離に親しい女子が毎日存在し続けるその状況に、何も起こらないはずはなく……」

「おい、勝手にストーリーを作るな!」

「だが、絶対にあり得ない話ではなくない? 幾ら口ではトモダチダーなんて言っていても、いつの間にか付き合ってました〜なんてよくある話じゃない。未来の自分の感情なんて、人間誰しもわかるはずないんだから」

「それを言われると……そこは否定はできないが」

その後も、霞はアレやコレやと俺の事を説得をし続け。

「--ふう。二人のいないうちに話しておきたかった。今の話はこれからは私と貴方の共通認識ねっ?」

「いやいや、待てよ。まだその提案に乗るとは一言も言っていないぞ?」

途中何度か頷くような話もあったが、それでもやはり俺の心が変わるはずもなく。

「チッチッチッ、甘いよっ! きっと、そのうち私の言った通りになるから。良いや、してみせる。だから、伊勢川くんはまずは流湖と付き合えるように流れを持っていって」

「いやあ、でも……」



「おーい、戻ったぞ? なんの話をしてるんだお前ら」



「!!」

「! お、戻ったか」

返事をしかねていると、ナイスタイミングと言うべきか、泰斗たちが戻ってきた。霞は残念という顔をしながらも、戻ってきた流湖に応対する。

「これでよかったか?」

「おう、センキュー」

泰斗から蓋付の缶コーヒーを受け取り、代金を渡す。

「はい、霞にはこれね〜」

「ありがとっ」

ちらりと霞のことを見ると、先程の雰囲気は鳴りを潜め、流湖と仲良くお喋りしている。

「じゃあ、二人の休憩が終わったら続きをしよう」

「賛成〜」

「じゃあ、テスト終わった後の予定でも相談する?
伊導くんは引越しの予定があるもんね。その後、歓迎会でも----」

霞も話に混じり、楽しそうにしているが。

普段の真面目そうな彼女よりも、先程のあれの方が、霞の本性なのだろうか?

俺は、足元に地雷が埋まっているような気分になった。

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