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妹が『俺依存症』を患った件

ラムダックス

第23話 次の日、朝


「伊導、伊導おきなさい、朝よっ!」

「うう〜ん……」

「伊導ったら、もう。あなた、頼みます」

「伊導、起きろっ」

「ぐっ、そこはダメだ……俺たちは……」

「起きんか!!」

「いでっ!?」

三振に衝撃を受け、俺は目を覚ます。

「……あれ?」

「もう7時半よ、早く準備なさい」

「え? ここは、そうか、昨日俺は……」

と、昨晩の出来事を少しずつ思い出す。

「何寝ぼけておるんだ、早く起きんか」

父さんが背中を軽く叩く。

「あ、ごめん」

よいしょ、と立ち上がり、毛布をたたむ。

あれ、そういえば真奈は?

「母さん、真奈は?」

「真奈なら、もう登校したわよ? なんでも、部活で朝からちょっと用事があるとかで」

「そ、そうか」

もしかして、恥ずかしくて顔を見たく無かったのか? それとも、本当に用事があるのか。

「顔洗ってくるわ……」

一度二階に行き、部屋に入り毛布をおきにいく。

だが、部屋の中には昨日の残香というか、妹の香りがした。
それに俺の思い過ごしかもしれんが、なんだが淫靡な雰囲気がいまだに漂っている気がする。

「あ、シーツが」

しかも、シーツには所々濡れた跡がある。

「これ、洗わなきゃだよなあ……どうしよう、自分でやるしかないか」

取り敢えず時間がないため、剥いでおいて、適当に包める。

「あれとこれと……」

授業の準備をし、着替えようと服を脱ぐ。

そして自分の胸板を見ると、昨日の妹の裸の感触を思い出した。

「……っ、いやいや、何やってるんだ俺。いちいちこんなことしてたら時間足りないぞ」

出来るだけ思い出さないように授業で習った英単語を頭の中に思い浮かべ、どうにか準備を終え下に降りた。

「ほら、早く食べなさい」

「ご、ごめん」

朝食をいつもより早いペースで食べ終えた俺は、なんとかいつもの登校時間に出発することができる。

「それじゃ、行ってきます」

「いってらっしゃい〜」

「サボるんじゃないぞ」

そして学校へ向かって歩く。

……それにしてもいつもより、自校の制服を着た生徒を見かけるな。
そうか、今日からテスト前期間だから、部活が休みで朝練に行ってた生徒がこの時間に登校してるからか。

朝練という単語で、またまた妹のことを思い出してしまった。
あいつ、行為そのものは置いておいて、昨日はだいぶ接触していた時間が長かったが、大丈夫だろうか?
また『ハイパー真奈状態』になっていたら、体に悪影響が出るかも知らない。

「あ、伊導くん! おっはよ〜」

ポンッ、と、後ろから肩を叩かれ振り向くと。

「お、折原か。おはよう」

いつものように茶髪なセミロングの髪の毛をふわふわと揺らす。

「うん、あっ、昨日はありがとう」

「ああ、こちらこそお邪魔したな」

「いえいえ、またいつでもどうぞ〜」

横に並んだ流湖は笑顔でそう言う。

「そそ、それと……昨日はパパが変なことを言ってごめんね?」

「えっ? あ、あれか……」

そうだ、その件もあったんだった。
どうやら流湖は俺たちの話を聞いて満更でもない様子だったと真奈は言っていたが。

「あ、あの、本当に気にしないでね? 伊導くんあんな話断っちゃっていいからっ!」

よくお手入れされているのであろう、綺麗な頬の肌色に赤みを含ませ、若干早口で弁明する。

「あ、うん……俺も、俺なんかと付き合わされる流湖がかわいそうだ。それに、今はまだ妹のことが全然片付いていないから。まずはもう少しあいつの様子を見ることに注力して、すまんがそっちのほうはそれから正式に断ろうと思う」

「……そうだよね〜、もうもう、伊導くんも私と付き合えると思った? ねえねえ少しでも想像した?」

と流湖は肩をバンバンと叩きウザ絡みをしてきた。
あれ、全然興味なさそうじゃん。真奈のやつ、勘違いしただけなんじゃないか? というか"俺と付き合うのが可哀想"なのは否定しないのかよ!

「してねえよ。ってかお前好きな人いるって話どうなってんだよ、ちゃんと親父さんに言っておかないからこういうことになるんだぞ」

「そ、それは……親に言うのって恥ずかしくない?」

「まあ、そう言われればそうかもな」

確かに、恋話コイバナを男親とするのってないのかもな。しかも、娘という立場なら尚更。お母さんも亡くしてしまっているらしいし、そういう話をするのが憚られるのかもしれない、と下衆な勘ぐりをする。

そうこうするうちに、学校に着き。

「あ、おはよ〜」

「おはよっ、流湖。伊勢川くんもおはようございますっ」

下駄箱にいたのは、増田霞。最近話すようになった流湖の友達だ。前までは友達の友達ということで、話をしたことはなかったが、昼休みを共に過ごすようになってからはちょくちょく挨拶や軽い世間話をするようになった。

「おはよう、増田さん」

霞がお辞儀をしたため、長めなストレートの黒髪がさらりと垂れる。

「なに、伊導くん。さっきから女子の髪の毛ばっか見ちゃって?」

「え?」

「視線でバレバレだよ? 女性って結構男性がどこに視線を合わせているのかわかるんだからね〜」

「そ、そうなのか。嫌、無意識だった、すまない」

「いえ、そんな別に」

何故だろうか。俺、そんな髪フェチとかじゃないとは思うのだが。もしかすると、ここ最近色々とショッキングな出来事が多かったせいか、『女性』というものを意識しているのかもしれない。

「ちょっと触ってみる〜?」

「え?」

すると流湖が、自分の髪の毛を指しながらそんなことを言ってきた。

「いやいや、女性の髪の毛を安易に触っちゃ駄目なのはいくらわかってるぞ」

「ええ〜、私がいいって言ってるんだから、いいんじゃない?」

玄関を通り過ぎ、上履きに履き替えた後3人で廊下の端に止まる。

「うーん、ってかなんで突然?」

「え? ……触りたそうにしてたから?」

「そんなことないと思うが」

流石にそれは深読みしすぎだろう。俺は知り合いの女子の髪の毛を弄るような変態じゃないぞ。

「まあまあいいじゃない? 女子に触れるチャンスだよっ?」

霞が流湖のことを援護するように、自分の髪の毛を差し出す。

「なぜそっちも乗り気なんだ……そこまでいうなら……じゃあ、ちょっとだけ」

恐る恐る手を伸ばし、流湖のウェーブがかかった髪の毛の表面に軽く触れる。

「んっ」

「あ、痛かったか?」

「ううん、大丈夫。ほら、もう少しいいよ?」

と、逃げようとした俺の手を押さえ、自らの髪の毛に撫でつけた。

「じゃ、じゃあ」

ふわっ、ふわっ、としながらも、滑らかな指通りだ。相当丁寧に手入れしていると見られる。

「あ、あはは、くすぐったいな〜」

流湖は照れたようにはにかむ。

「も、もういいか? なんかすまんな」

「ううん、いいよいいよ〜。こっちこそありがとう? あ、もうそろそろ行かないとだね」

「ありがとうって、変なやつだな。そうだな」

と3人で教室へ向かい、三階に着くと軽く別れの挨拶をし二手に分かれた。

「おう、伊導おはよう! って、なんでそんな気難しそうな顔をしてるんだ?」

教室につき、カバンを置くと、隣の席に座る俺の友人である阿玉泰斗が話しかけてきた。

「いや、ちょっと自己嫌悪に陥ってな」

「は?」

「俺って、一体なんなんだろうな」

「ど、どうしたんだよ急に? なんかわからんが、元気出せって」

「すまん、気を使わせてしまったか」

どうした俺、ちょっと変だぞ? 幾ら向こうから言われたからと言って、女子の髪の毛を触るなんて……もしや、頭の中にいる俺の一部が勇二さんから言われたことを気にしていて、自分ではそう思ってなくても流湖のことを意識してしまっているのか?

はあ、心を整えるのだ、伊導よ。ジャダイマスターの道は険しいぞ。

机の上で手を組み、精神統一をする。

「なにやってんだお前?」

「ちょっとジャダイになるための修行を、な」

「は……?」


ここ最近女子に接触する機会が増えてから、俺はだんだんと自分のことが分からなくなってきていた。

          

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