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妹が『俺依存症』を患った件

ラムダックス

第19話 妹と試着室、そしてまさかの『俺成分』補給


「ねえ、これはどうかな?」

「アッハイ、カワイイデス」

「こっちは?」

「オニアイデスマナサマ」

「……これは?」

「ワンダフォー!」

「もうっ、ちゃんとみてよねお兄ちゃんっ!」

先ほどと同じく、最初の10分ほどは真面目に感想を述べてやっていたが、やはりだんだんと精神が持たなくなり、次第にロボットのような返事をするようになってしまった。

だってこいつ、わざとなのかそれともわざとなのか、はたまたわざとなのか、胸の前にわざわざ下着を持ってきて意見を言わせようとするのだ。
兄弟であっても、俺だって年頃の男子だ。同年代の妹からあからさまにアピールを受け意識を逸らしてしまうのは仕方ないだろう?

周りの店員からも時折またこいつきたのかというような視線を感じるし、いい加減このお店を出たいのだが……

「ほら、これはどう?」

と、真奈は容赦なく次のモノを見せてきた。

「ぶっ、なに持ってんだよ!?」

手に持っているのは、明らかに夜のアレに使うような、ブラジャーの前面とショーツの下の方に不自然な切り込みが入った下着セットだった。しかも縁の部分以外の布は全て半透明でスケスケだ。

ってなんで流湖と同じチョイスなんだよ! 真奈はなんと、知ってか知らずか(わかってやっていたら逆に怖いが)先ほどの流湖と全く同じ下着を手に取りやがったのだ。

「うふふ。お兄ちゃんをの♡う♡さ♡つ♡しちゃうぞ?」

と、立ったまま手を膝になり胸を見せつけるような中腰になる、いわゆるグラビアのポーズをとる。

「や、やめろよ。ってか下着は使わないのかよ!」

何故自分の身体をアピールしてくる。一応下着売り場だろう!? って俺も俺でなに毒されたような思考になってるんだ、冷静になろう、うん。

「だってお兄ちゃん、せっかく二人きりなのに、相手してくれないんだもの。今度はちゃんと見てもらうからね! これとこれ、どっちが似合う?」

と、二種類の下着を取り、見せてくる。

片方は、上下お揃いに等間隔に水色の水玉模様がプリントされているが描かれている白の下着。
もう一つは、上下で少しだけ色が違う、無地で所々にフリルのようなものがついた、淡いピンク色の下着だ。

「そ、そうだな……」

と、少し考え込む。

水玉模様は少し子供っぽいながらも、明るく見える。
フリルの下着は、大人っぽさがありながらも、少し派手すぎる。

「こっち、かな」

と、俺はピンときた方の下着を指差す。

「わかった、じゃあこれにするね!」

「え? いいのか?」

「うん、これがいいの。そうだ、試着もしたいし……お兄ちゃん、一緒にこない?」

と、頬を赤下から見上げるように俺のことを覗き込む。

「っ……! そそそんなことできるわけないだろ、なに言ってんだよ真奈っ」

幾ら妹と言っても、年頃の女の子なんだぞ? 下着姿を堂々と見せようとするなんて、なに考えてるんだ全く。

「あら、お客様〜?」

すると、最初この店に来たときに応対してくれた店員さんがやってきた。

「試着室までご案内しましょうか……あれ? あなた先程の」

「は、はい、どうも」

「……ふ、二股……?」

と、店員は驚いたような表情で、俺と真奈の顔を見比べる。

「ちちちがいますよ、こいつは妹です。で、さっきのはただの友達ですからっ」

「あ、そうでしたか。私ったら失礼なことを、申し訳ございません」

「いえいえ、お気になさらず。お兄ちゃんと私は、実質恋人みたいなものですので!」

と真奈がいう。

「何言ってるんだ真奈。違います、ただの兄妹ですので」

「あらあら、仲がいいんですね。試着室はあちらですが、どうされますか?」

「え、えと」

流石に断った方がいいだろう。真奈をもう一度諭そうとする、が。

「はい、これ、着てみていいですか?」

と俺が口を開く前に、さっき妹からの期待の視線を感じながら必死の思いでチョイスした下着を示す。

「ええ、もちろん構いませんよ? ではこちらです」

「いこっ」

「ちょ、おい」

と、俺の服を引っ張り(流石に下着を試着する前に手を繋ぐのは躊躇われたのか? って俺もなかなか思考回路がおかしくなってきてるぞ、妹相手になにを考えているんだ!)店の奥の方まで連れて行く。

「こちら、他のお客様から見えないようになっておりますので、安心して御試着ください。二人まで入れるようになっていますので、お兄さんもよければどうぞ」

今度は店員さんが俺の背中をさりげなく押し、真奈と二人試着室に閉じ込められてしまった。マジか、普通進めるか? どうなってるんだこのお店は。いや、もしかすると世の兄妹は下着の試着くらい当たり前にこなしているのかもしれない……?

「……じゃ、じゃあ着替えるからね?」

「おいおい、俺やっぱり出たほうが」

「いいから、ここにいて?」

有無を言わせぬという風なオーラを出す真奈に気圧されて、その場に止まってしまう。仕方なく、備え付けのベンチに妹に背を向けるように腰を下ろす。

「んっ」

布が擦れる音が聞こえてくる。3分ほど、俺は無心になり何も聞こえないふりをした。そして。

「……いいよ、お兄ちゃん」

「あ、ああ」

言われ、振り向くと。



「……どう?」



----!!



「ぶっ、な、何してるんだよ!?」

「えへへ、見惚れた?」

「み、見惚れたとかじゃないからっ!?」

なんと、あのスケスケランジェリーを装着していたのだ。

黒いブラの先の割れ目からはピンク色の蕾がちょこんと飛び出し、少し赤が混じった色のショーツからは僅かだが茂みが透けて見える。

勿論、ほんの一瞬しか見なかったぞ?
すぐに後ろを向いたからな。

「お客様、どうかなさいましたか?」

部屋の外から、先程の店員の声が聞こえてきた。
俺は慌てて返事を返す。こんなところ、見られる訳にはいかない!

「だ、大丈夫です、お気になさらず」

「畏まりました。サイズが合わないなどありましたら、気軽にお声がけください」

「は、はいっ」

俺と妹は慌てて返事をする。
はあ、めちゃくちゃびっくりしたぞ。

「…………んっ」

「おっ?」

一つため息を吐くと、背中に暖かい温もりを感じる。

「お、お兄ちゃん、ちょっとしんどいかも……いい?」

こ、このタイミングで禁断症状が!?

「ま、マジか……わ、わかったよ。少しだけだぞ?」

「うん……ごめん」

と、真奈は後ろから腕を回し抱きついてくる。
び、微妙にコリコリとした感触を感じるんだが、これってもしかして……と余計な想像をしたため、一気に顔が熱くなってしまう。

「んっ、ふうっ、はあっ」

モジモジと身体を動かす妹の口から、甘い息が漏れて聞こえる。どうやら外に声が漏れないように、口に手を当てているようだ。しかも、先程の感触が背中をいったりきたり……があああっ。

「おい、まだダメか?」

痺れを切らした俺は急かすようにそう訊ねる。

「も、もう少しっ」

「お、おう」

だが妹は本当にしんどそうなので、諦めて好きなようにさせることにした。

何故か、くちゅくちゅと水音が聴こえてくるが、俺は意識しないようにテスト範囲の授業で習ったことを頭に思い浮かべておく。

「んんんんんんっっっっっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

そして5分くらい経った時、俺の服をギュッと掴み一際大きく身体をビクビクと跳ねさせたかと思うと、身体の力を抜きどしりと重さを乗せ覆いかぶさってきた。

「ま、真奈?」

「……お兄ちゃん、外に出てって」

症状・・も落ち着いたのか、か細い声でそう話しかけてきた。

「え?」

「お、お願い。絶対に、絶対に後ろを向いちゃダメだからね?」

「あ、ああ」

言われた通り、前だけを見て出口からで、売り場へ戻る。

「…………はあ〜〜〜〜、疲れた……」

まさか、こんなことになるとは。いまだに顔が熱くてたまらない。
少しぼーっとしながらも、一人店内を歩く俺への若干当たりの強い客店員の視線を気にしながら、そそくさと店を後にした。

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