話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

妹が『俺依存症』を患った件

ラムダックス

第12話 いざ購買へ!


「おう、泰斗おはよう」

「伊導か、よう。どうだ妹さんの様子は?」

と気にかけてくれる。優しい奴だ。

「まあ、夜中にちょっと体調崩したけど、すぐに戻ったから大丈夫だと思う」

「そうか? お大事にな!」

「すまんな、心配かけるようで」

「いやいや、気にすんなって、お前と俺の仲だろう? へへっ」

「ふっ」

と互いに笑い合う。

「そういえばテスト最終日の後のホームルームで、文化祭に何やるか決めるんだってさ」

「お、そうなのか」

10月すぐのテスト期間の後に秋休みを挟んでそのまま文化祭だ。俺は頭の中で予定を組み立てる。

○9月25日〜テスト準備期間、部活は休み
○10月1日〜5日までテスト
○10月6日〜10日まで秋休み、部活は再開
○11月23〜25日の三日間が文化祭
○因みに10月20日は中学校の合唱コンクールだ。

なるほど、なかなかにハードな日程かもしれない。
なお、今週末の土曜日は妹の通院に付き添って、日曜日には二人暮らしの拠点の下見に行くことになっている。月曜日は振替休日な訳だが、なにをしようか。

「そうそう、今日の昼休みも折原さん達が一緒に食べたいって言ってるけど、いいか?」

「お? いいのか!? こっちこそ願ったり叶ったりだぜっ」

泰斗は興奮した様子でそう快諾してくれる。

「ん? 達ってことは、誰か他にも来るのか?」

「ああ。折原さんの友達の、同じ美術部に所属する増田さんって子だ」

「おお、増田さんといえば、一度は罵られてみたい校内ランキングベスト10に入るあの!」

「いや知らねえよ」

なんでそんなランキングまであるんだよ……うちの学校の男子にはちょっと、変態チックなやつが多いようだな。

「とにかくわかったぜ、じゃあ昼休みになったらまた頼むわ」

「ああ。因みに、俺と折原さんは購買に行くから。一緒にどうかと誘われたんでな」


「な、なんだと……?」


と、泰斗のやつは急に睨みつけてきた。

「ん?」

「折原さんと校内デート……だと? 貴様、裏切ったな!?」

「はあ?」

「オンドルルギッタンギッタン!?」

「な、何言ってるんだよお前」

「くっ、俺も伊導に生まれたかった人生だった……」

と、今度は悔し涙を流す。いやいや、感情表現豊かすぎるだろこいつ。

「馬鹿なこと言ってんなよ、デートとかそんなんじゃないからな? ただ単純に気まぐれで誘ってくれたんだろうよ」

「そ、そうだよな、ははは」

思ったよりも真剣に流湖に入れ込んでいるようだな。これはこっちも真面目にサポートしてやったほうがいいなこりゃ。



そして午前の授業を終え、礼が終わると同時に俺は購買組に混じって外に出る。と、既に流湖が待機していた。

「おい、早すぎるだろ」

「私、窓側の席だもん」

「なるほど……」

「さっさと行こう、売り切れちゃう!」

「わかった」

二人並んで一階の購買へ。
するとそこには人の山が出来上がっていた。
商品が置かれた籠の前は既に制服一色に埋め尽くされている。
因みにレジは少し離れたところにある。なるほど、これがあるから場所を分けてあるんだな。

「な、なんじゃこりゃ」

「凄いでしょ、毎日これなんだからね? 早く早く」

「うおっ」

流湖が俺の手を取り、人混みに引っ張る。

「つ、潰される……」

「うおおおお『濃厚クリーム入りメロンパン』ゲットおおお」

と、流湖が雄叫びを上げる。あれ、そんなキャラだったっけ?

「俺も何か……取った!」

手に持った商品を急いで引っこ抜く。

「ええと……『激甘カレーパン激辛味』?なんか矛盾してるぞこれ。そしてもう一つは……『中身はひ♡み♡つ! 特大爆弾おにぎり』か。こちらもなかなかの代物だな……」

どちらもいつもは見ない商品だ。ということはこれらも売れ筋ということだろうか? にわかには信じがたいが……

「伊導くん伊導くん、取れた? 大丈夫?」

なんとか昼食を確保した俺は、レジに行き清算を終え、少し離れたところに逃げる。すると流湖もすぐにやって来た。

「ああ、なんとか。ほれ」

「ほうほう、どちらも美味しいですぞ?」

「えっ、折原さん食べたことあるのか?」

「あるよあるよ〜おいしいよ〜。後、別にさん付けしなくていいから、折原でいいし、なんだったら流湖って呼んでくれてもいいよ?」

流湖はふざけているのか、ニヤニヤとしながらそう言う。

「いや、名前呼びは流石に遠慮しておくよ。じゃあ折原、でいいか?」

「ちぇっ、つまんないの〜。仕方ないな〜、今は・・それで妥協してあげるね!」

何故かウィンクして来た。って、今はってどういう意味だ。何故そこを強調したし。だかあえて突っ込まぬ。

「さて、戻ろうか」

「あれ、無反応……? 伊導くんって意外とSっけあるの? ねえねえ、放置プレイ?」

「どこで覚えたんだそんな言葉、乙女がそんなこと言うんじゃありません。それにしても昼飯買うのにこんなに疲れるとは」

「どう? 大変だったでしょ? 噂によると、いい加減危ないと思ったのか、先生達が商品の量と置くスペースを増やしてくれる計画立ててるんだって。そしたらもっと気楽に買えに行けるようになるんじゃない?」

「そうなのか」

まああれだけ人がごった返していると、いつか事故が起こらないとも限らない。そもそも今までよく問題にならなかったと逆に感心するほどだ。

そんな話をしていると、程なく一年生のエリアである三階に着く。

「じゃ、早速呼んでくるね!」

「ああ、まかせた」

そうして数十秒後、二人が出てくる。

「じゃ、行きましょう〜」

「よろしくお願いしますっ」

どうやら霞は緊張している様子だ。朝と違って敬語になってしまっているし。泰斗のこと、そこまで気になっているのか?


----あれ、待てよ。
霞は泰斗のことが好きで、泰斗は流湖のことが好きで、流湖は俺の知らない誰かのことが好きで。
つまり、『霞→泰斗→流湖→?』という歪な関係が出来上がってしまうのでは?
なんということだ----


それに気づいた瞬間俺はぶるりと身体が震えてしまう。

「なん、だと……」

「ん、どうしたの伊導くん? 急に挙動不審になって」

「い、いや、なんでもないぞ、うん」

「本当?」

「怪しいですねっ」

女子二人から胡乱な視線を浴びせかけられるが、このことに気づいたのは言わない方がいいだろうな。

「さっさと行こうぜ」

「ああ、うん、まあいっか。それよりも待たせてるだろうから早く合流したほうがいいよね」

「うう、緊張します……」

「だいじょぶだいじょぶ〜〜、伊導くんも協力してくれるってさ!」

「ああ、それは任せておけ」

「じゃあ、れっつらご〜」

そして二人を伴って自クラスへ戻る。

「おお、伊導……それに折原さんに、そっちの人が増田さんか!」

「どうも、昨日ぶりだね!」

「こここ、こんにちはっ。増田霞と申しますっ、いざ尋常に?」

「あはは、どうしたの霞。武士の戦いみたいになってるよ〜」

「あわわ、なんでもないですっ!」

「うっす、阿玉泰斗です。よろしくな、増田さん」

「ひゃ、ひゃいっ」

やれやれ、ちょっと緊張しすぎじゃないか? 少し解してやらないとな。
と思い色々と気を回したが、泰斗も気遣ってくれたらしく、すぐにみんな打ち解け合うことができた。二人にとってなかなかいい時間になったんじゃなかろうか?
だが泰斗の方は流湖に好きな人がいる限りちょっと厳しそうだよな。『その人よりもこの人の方がいい』て思わせなきゃいけないってわけだから。ま、そこは本人の頑張り次第だな。

そうして四人で過ごす昼休みは滞りなく過ぎていった。


--だがこの時の俺は、二人に歪な関係について思い切って相談しなかったために後々後悔する羽目になることを、まだ知りもしないのであった。


          

「妹が『俺依存症』を患った件」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く