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妹が『俺依存症』を患った件

ラムダックス

第6話 高校にて


「ああ、折原さんか、おはよう」

「うんっ、おはよっ! 休日はどうだった? 三連休だったし、どっか出かけたりしたの?」

と、先ほど駆け寄ってきた少女は俺の隣に並んで歩き出す。

「いや、それが、妹が倒れて大変だったんだよ」

「えっ!? だ、大丈夫?」

「ああ、今はもうなんともないよ。心配してくれてありがとな」

「そっか、よかった〜」

この子は折原流湖おりはらるこ。隣のクラスにいる、まあ知り合い以上友達未満みたいな人だ。
どうやらウチの近くに住んでいるらしく、こうして時たま登校時に出会うことがあり、学校に着くまでの間世間話をしているような関係なのだ。

「そういえば、隣のクラスの誰かが早退したってちょっと話題に出てた気がするけど、アレは伊導くんのことだったんだね」

「そういうことだ」

折原は肩くらいまであるウェーブをかけた茶髪をふわふわと揺らしながら歩く。結構な美人さんで、隠れファンもいるとか。

「折原さんは何かしていたの?」

「そうだね〜、友達と出かけたり、家でドラマ見たり、まあいつもの休日って感じ? あとはもちろん、テスト勉強もね」

「中々充実しているな」

「まあね」

そんな雑談をしながら20分ほど。高校につき玄関にはいると。

「あ、流湖、おはよー」

「おはようっ! じゃ、またね、伊導くん」

「ああ」

彼女のクラスメイトと出くわした為、そこで別れることとなった。隣のクラスなんだから一緒に行けばいいのにと思うかもしれないが、彼女の友達とはそこまで知り合った仲ではないし、何より女子二人を引き連れて校内を歩き回るのはいらぬ嫉妬を買いそうで怖い。
彼女もなんとなく分かっているのか、それとも単純に誘うつもりがないだけなのか、すんなりと別れたのだ。

そんなことを考えつつ教室に着き、自分の机に座る。と、

「おう、伊導、金曜は大変だったそうじゃないか?」

「泰斗か。おはよう。なんだ、知ってるのか?」

こいつは阿玉泰斗あたまたいと。高校に入ってできた友達だ。

「一応ホームルームの時に担任がな。妹さん、大丈夫なのか?」

「ああ、大丈夫だ、問題ない」

実際は問題が山積みなんだが、無駄に心配をかけることもないだろう。それに今のところそれ・・以外は健康である事には間違いないし。

「そうか、それなら良かった」

「心配してくれてありがとな」

「いいってことよ! ところでいきなりで悪いが、今度の週末勉強会開かねえか?」

「え?」

泰斗は苦々しげな面持ちでそう問い掛けてくる。

「実はテスト範囲っぽいところちょっと復習してみたんだけどよ、あまりよろしくないんだよな……来週からテスト前の準備期間に入るしさ、今回は早めに手をつけておきたいんだよ。」

なるほど、そういうことか。確かに今週が過ぎれば、いよいよ追い込みの時期に入るだろう。こいつ、前回のテストは慌てて復習した結果成績が芳しくなかったし、早め早めに備えをしておきたい気持ちはわかる。

だが……

「済まないが、今週末は家族で用事があってな……申し訳ない」

と、頭を下げる。

「いやいや、そこまでじゃないから、やめろって。妹さん関係か?」

「ああ」

「なら仕方ないよ、お大事にな」

「すまない、ありがとう」

理解のある友人で助かった。

土曜日は妹の通院日で、病院の先生からついて来るように言われているし、日曜日は二人暮らしの拠点を確認したり、買い物をする予定もある。
俺もテストのことは気になるが、だがこれも同時にやっておかなければならないことだ。

テストが終われば秋休みに入る。おそらく、そのタイミングで二人暮らしを始めることになるだろう。なので、この秋から冬にかけては色々と忙しくなるだろうな。


--キーンコーンカーンコーン


と、その後他の生徒にも金曜日の件で似たようなやりとりをしたり、くだらない雑談で盛り上がったりしていると、チャイムが鳴り担任の先生が入ってきた。

「はーい、ホームルーム始まるわよー! 日直誰だったっけ?」

「あ、俺だった! きりーつ!」

泰斗が号令をかける。

「れーい!」

「「「よろしくお願いします!」」」

「ちゃくせーき!」

「はい、よろしくお願いします」

担任は女教師の大隈凛子おおくまりんこ先生だ。出るところは出ていながらも全体的にすらっとした身体に、ストレートの嫌いな髪。
歳もアラサーで、美人、かつ彼氏なし。この職にも慣れてきてバリバリいわせてきている頼れる大人だ。密かに懸想している生徒も多いとか。

「さてみんな、三連休はどうだった? 休みだからって部活や遊んでばかりじゃなくて、ちゃんと授業の予習復習もしたわよね? 来週からはテスト準備期間に入るし、部活も休みになるわ。そして再来週にはいよいよテスト本番、その後は秋休みを経て文化祭と冬に向かってどんどんと進んでいくわよ」

文化祭か……確か11月にあるんだったな。
みんなも少しザワザワする。

「こら、私語しないのっ。高校生になって初めての文化祭、楽しみなのはわかるけど、まずはテストで手を抜かないこと! 赤点を取った人はもちろん文化祭の準備があろうとも補修を受けてもらいますからね」

「「え〜〜」」

「え〜〜、じゃないの、まったく。高校生にもなって駄々こねないの。それに大学受験は今のうちから本格的に始めてもいいくらいなのよ? 気を抜いてると、三年生になった時に痛い目を見るのは自分なんだからね。毎日の積み重ねが大事なのよ」

と、教師らしいことを言ってのける先生。若干自己体験が混じっているような雰囲気を感じるのは気のせいか?

その他連絡事項などを終え。

「では、ホームルームを終わります」

「きりーつ! れーい! ちゃくせーき!」




そしていくつかの授業を受け、昼休み。

「おーい、伊導」

「ん、なんだ?」

教科書を片付けていると、泰斗が話しかけてきた(ちなみに夏休み後の席替えで、偶然にも右隣の席になった)ので、応対する。

「昼飯、一緒に食わねえか?」

「ああ、いいぞ。でも購買行ってからな?」

「おう、待っとくぜ」

「すまん、じゃあさっさと行ってくるわ」

というわけで三階にある教室を出て、一階にある購買へ向かう。購買を利用する生徒は大抵目当てのものを買うために昼休みになると急いで買いに行くのだが、俺は特に欲しいものはなくいつもその場に残っているもので済ませているので焦る必要はない。

購買につくと、やはり安くて美味しいものは早々に売り切れたようで、高いものか安くてもあまり評判が良くない商品ばかり残っている。だが俺は適当に目についたものを買う派なので、幾つかの商品を適当に選び、購入した。

そしてその帰り道、廊下をとぼとぼと歩いている一人の生徒を見かけた。

「あれ、折原さん?」

なんとなしに声をかけてみる。

「あ、伊導くん……こんにちは」

ん、様子がおかしいぞ? なにやら落ち込んでいるふうに見えるが。

「どうしたんだ? 何かあったのか?」

「え? あ、いやいや、購買で欲しいものが買えなかったんだ……濃厚クリーム入りメロンパン120円……ううっ」

「ああ、あれか」

『濃厚クリーム入りメロンパン』は、購買でも一二を争う人気商品だ。カロリーは高く、値段の割に味もいいので腹も膨れ舌も満足という学生にとってはたまらない品物だろう。
勿論俺は今まで買えた試しはないが。

「アレがないとお昼を食べた気にならないよ〜〜」

「そ、そこまでの品物なのか?」

……何かやばい成分でも入ってるんじゃないだろな?

「そうだよ! 中はトロトロ、外はカリッと、それでいてパンのふわふわがまた中立的な食感を生み出している奇跡のパンなんだよ!?」

流湖はそんなことも知らないのかと怒ったような様子で詰め寄ってくる。

「そ、そうか、それは残念だったろうな」

「あっ、ご、ごめんね、私ったら朝からなにやってるんだろう、ははは……」

ん?

「朝から? 他にも何かあったのか? 登校の時あったときは、元気そうに見えたが」

「あ、うん、実は……あ、そうだ。せっかくだし、一緒にお昼食べない?」

「え?」

「いいじゃない、たまには? それに私の話だけじゃなくて、伊導くんのこともっと知りたいな」

「うーん、そうだな。ちょっと待ってて、友達に聞いてくるから」

「わかった、ありがとう!」

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