仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

宣戦布告

 ンバディス星の侵略艦隊があと3日でザッパムーン星へと到着するくらいの距離に達した頃、


「宣戦布告をする。通信兵、チャネル38を開け」


 ザッパムーン星を侵略目的でンバディス星を出航したンバディス星第8艦隊将軍、ガロル・ギガンディスはそう、通信兵長であるヘンリー・ガバスに命令する。


「将軍、お言葉ですが、まだザッパムーン星に通信が届く距離にはありません。それに、相手が応答しなければ宣戦布告とは見なされません。ましてやチャネル38を使うだなんて。それに…」


 ヘンリー通信兵長は、ガロル将軍の不備を次々と指摘するが、ヘンリー通信兵長が言い終わる前に、かぶせるように、


「バッッカモーン!我々がザッパムーン星人とかいう未開地のサルに合わせるだと?バカも休み休み言いたまえ。こちらは律儀りちぎにも宣戦布告をやってやるのだ。あちらが聞こえてようが聞こえてなかろうがかまわん!形はどうであれ、こちらが『宣戦布告をした』という事実こそが重要なのだ」


 ヘンリー通信兵長はガロル将軍の怒気どき気圧けおされて、渋々チャネル38の通信回線を開いた。


「あ~~テステス。こちらンバディス星第8艦隊将軍、ガロル・ギガンディス、こちらンバディス星第8艦隊将軍、ガロル・ギガンディス、こちらンバディス星第8艦隊将軍、ガロル・ギガンディス」


 ガロル将軍が、気の抜けた通信のテストをしていると、


『こちらザッパムーン星星王、エミール・ザガントリア。ガロル・ギガンディス将軍。画像・音声ともに良好。シグナル59。クリアに聞こえております』


 ガロル将軍、ヘンリー通信兵長を始め、艦橋かんきょうた全員が驚いた。

 まだ、通信を確立するには1日ほどの距離をようしたからである。

 それも、第8艦隊側でもクリアに受信していたからだ。

 エミールもそれを知っていた。


『ガロル将軍、呆気あっけにとられて、どうかなさいましたか?』


 艦橋かんきょうた全員が正気を取り戻すのに少々時間がかかったが、


「エ、エミール星王と言ったか」

『はい』

「よ、良いか、良いか良く聞け未開のサルよ。お前たちを我々進んだ文化・技術を持つンバディス星の支配下に置いてやる。がたく降伏し、我々の支配下に入れ」


 エミールは間髪かんぱつ入れず、


『お断りします』


 ガロル将軍は『信じられない』と、一瞬いっしゅん硬直こうちょくしたが、すぐに正気を取り戻し、


「それでは力尽ちからづくで支配下におさめることになるぞ」

『我々はそんなおどしにくっしません。そちらがその気なら、こちらも防衛のため、戦います』

「あい分かった。それではンバディス星第8艦隊将軍、ガロル・ギガンディスは、ザッパムーン星に宣戦布告する!」

『宣戦布告、了承しました。正々堂々戦いましょう』


 こうしてザッパムーン星とンバディス星の星間戦争は、けられない決定事項となったのであった。

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