仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

シミュレータ―1

「ほう、これがそうですか」

「えぇ。やっとお披露目ひろめできました」

 エミールの紹介で、世界各国の軍部の重鎮じゅうちんが、サフィンガー宮殿の敷地内で見上げているのは、戦艦… ではなく、それにそっくりに作られた巨大建造物、いわゆるシミュレーターである。


「いきなり実機で練習というのは危険ですからね。まずは本物そっくりで、動かない物で練習を積んでいただきます」

「なるほど。練習も無しにいきなり動かせばまわりに被害がおよぶと?」


 想像力を働かせて西方諸国連合軍の騎士団総長をいまだに務めているジリアン・ナイツがそうたずねると、


「たった少しの操作ミスで、アハントルト王国の首都、ペンテレストロフほどの規模の大都市でさえ、一瞬で都市全体ががれきの山にしてしまうでしょうね。しかも、戦艦自体は無傷で」


 思ってもみない被害規模予想に、ジリアンを始め、世界各国の重鎮じゅうちんは、言葉を失うのであった。

 すると、エミールは、


「あれ?驚いちゃいました?でも、相手は文化も技術も何もかも上なンディバス星人ですよ?それくらいの物を用意しないと」


 最初は呆気あっけにとられていた重鎮じゅうちんたちも、事の重大さと戦力の差を認識し始め、


「そ、そこまで戦力差があるのですか?」


 気力を振りしぼったジリアンの言葉に、


「まるで大人と子供の戦いですよ。もちろん我々が子供の方です」


 ジリアンたちは頭を鈍器どんきで殴られた様な衝撃しょうげきを受けた。そこまでの戦力差とは、ここに集まった重鎮じゅうちんたちは思っていなかったのだ。


「そ、それでは勝負にもならないじゃないですか」


 それを聞いたエミールは、真剣な顔をして、


「それを付け焼き刃でも、勝負できるように今、全世界で頑張っているんじゃないですか」


 エミールは、「まだ紹介したいシミュレーターはまだあるんだけどなぁ」と思いながら、重要なことなので、腰をえて話す決意をするのであった。

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