仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

インダスニカル大陸とサフィンザー宮殿

「「我々はあなた様の支配下に入り、あなた様に従順じゅうじゅんであることを誓います」」


 インダスニカル大陸の2国の王、プランティニカ王国のスティーブ・プランティニカ国王にファクトリニス王国のビル・ファクトリニス国王は2人にそう宣言するのであった。


「それでは立ち話も何ですし、移動しましょう」


 従者がゲートを開き、従者たちにスティーブ国王、ビル国王、エミールにヘクディーとゲートをくぐる。

 そこは豪華な部屋であった。派手ではなく落ち着いた雰囲気ながら、綺麗で高価そうな材質の室内に、同じく高価そうな装飾品が飾られていた。


「まずはこちらの宝玉をお受け取り下さい」


 エミールとヘクディーはスティーブ国王とビル国王から半分に分かれた透明な玉をそれぞれ受け取る。


「真の『御使い様』は、その玉を合わせると元の玉に戻すことができ、それを取り込むことによってその大陸の真の支配者となると言い伝えられております」

「ほぉ。そうなんですか」


 2人はどの大陸にも1つの玉があり、その欠片かけらを各国の王がそれぞれ持っているのですよと教えてくれた。試しにエミールとヘクディーはその玉の断面を重ね合わせてみた。すると、玉は光りだし、


「「「「「「おぉー」」」」」」


 光が収まり玉を見ると、綺麗な真円球の、透明で綺麗な欠けのない玉になった。

 そして、玉は2つに分離し、エミール、ヘクディーはそれぞれ玉を持つ。


「それを胸に押し当てるようにして取り込んで下さい」


 言われた通りにそれぞれ胸に押し当てると、スーッと胸に入り込んでいき、玉は体に完全に取り込まれていった。


「おぉーめでたい」
「私の生きているうちにこのような出会いがあるとは」
「「「「「「パチパチパチパチパチパチパチパチ」」」」」」


 拍手と歓声が巻き起こった。

 そして、ビル国王は今度は赤い玉を指し出し、


「この玉はこの大陸の機械や機器などの設備を思うように制御するための端末です。先ほどの玉のようにお取り込み下さい」


 そして、同じようにエミールが受け取り、ヘクディーと半分に分け、胸に押し当てて取り込んだ。


「その制御端末は思っただけ、考えただけで様々な機器を操作可能です。差し当たってしていただきたいのは星王城の開門作業です」


 星王城?また聞き慣れない言葉だ。


「…とは言っても現地へ行かないとイメージはかないですよね。ご案内します」


 そして、また従者がゲートを開き、スティーブ国王、ビル国王、エミールにヘクディーと、その後ろに執事やらメイドやら料理人やら庭師など、100人くらいがズラズラとついて来た。

 着くと、巨大な城が目に入った。東京ドーム1個分といったところか。城としては破格の大きさではなかろうか。それも平屋ではなく、高いところでは高層ビルに匹敵するような、見上げるような高さであった。

 そして、その城に負けないくらいの広々とした敷地。エミールとヘクディーの2人はその規模に呆気あっけにとられるのであった。


「ここが星王様の宮殿、サフィンザー宮殿にございます。我々では許可なく門を開けることも、立ち入ることもできませんので、ささ、どうぞお開け下さい」


 エミールは門に手をかざし、押した。すると、何の抵抗もなく、スーッと開いて自動的に全開になった。

 それからエミールとヘクディーを先頭に、建物の入り口まで進む。30分くらい歩いたであろうか。城の正面扉まで到着した。後ろを振り返ると、門はもう、自動的に閉まっていた。


「ささ、どうぞお開け下さい」


 言われるがまま正面扉を開く。こちらも手応えなくスーッと開き、全開となった。


「ちょっとほこりっぽいかな?」


 長い間使われていなかったのか、空気がほこりっぽかった。


「とりあえず、中に入りましょうか」


 言われるがまま中のエントランスホールへ。


「後ろに連れて来ましたのはこのサフィンザー宮殿専属にと私とスティーブ王で選びました使用人たちでございます。もうお2人専属でございますのでご自由にお使い下さい。まずはこの城で動けるように、顔を覚えて下さい」


 そして始まる2人への使用人の挨拶あいさつ。人数が多いので結構な時間がかかった。

 挨拶を済ませた者から動き出し、窓が開けはなたれ様々な掃除ロボットが動き出し、城の中は綺麗になっていく。


「端末に慣れてきますと感覚的に分かり、説明は不要となるのですが、主館の6階と5階は主様ご家族のプライベート空間となっております」

「それでは端末を取り込んですぐですので操作もままならないでしょうから、部屋をお借りしましてこのインダスニカル大陸の説明をしましょう」


 主館は6階建てなのですよと教えてくれた。そして、客間を1室借りて、スティーブ国王とビル国王に、エミールとヘクディーがこのインダスニカル大陸について教わる。


「まず、このインダスニカル大陸の特徴は、様々な物を作る超巨大な工場群と、このザッパムーン星の隅々すみずみまで把握できる情報収集能力でしょう」


 2人の王の話しによると、この大陸の大きな部分を工場が占め、その気になれば、思った物を、大量に、何でも作れるそうな。

 しかし、だからといって食料を作っていないわけではない。生産管理し、大陸内消費にちょっと上乗せしたくらいは何でも生産しているとのこと。工場の中には田畑や牧場などの第1次産業も含まれているらしい。その気になれば食糧自給率300%なんて軽く達成できるのだとか。

 そして、情報面では、魔力派通信用衛星、撮影・監視用衛星、GPS衛星、気象衛星などが飛び交い、世界地理の把握はもちろんのこと、どの大陸の明日の天気だとか、どこの誰が今、何を話しているかなど、高精度な情報収集能力を持ち、また、その情報の蓄積と分析をする超高性能なコンピューターが複数台あるのだとか。今は休眠中だが他の大陸にも同様のコンピューターがあり、どこかの大陸が何かの被害にい、コンピューターが損壊しても、機能の損失を防ぐ方策も成されているらしい。

 そして、それらの工場群、情報機器など、このインダスニカル大陸にある全ての管理者権・所有者を先ほどエミールに、次点でヘクディーに譲渡され、端末で操作でき、好きに使って良いとのことだ。

 2人は規模の大きさと責任の重さに吐きそうになるもののグッとこらえて受け入れるのであった。


「それでは端末に慣れると不要なのですが、このインダスニカル大陸と、周辺諸島の地図をお渡ししておきます」


 エミールとヘクディーはそれぞれ地図帳をもらった。


「へぇー」


 そこには首都やら大きな街、無視されるような小さな村まで事細かく描かれていた。


「それでは我々は失礼してまずは端末の操作に慣れていただきましょう。それじゃぁマーク、あとはお願いね」


 そう言うと、スティーブ国王とビル国王は、それぞれの国へ帰って行き、


「ご紹介にあずかりましたここ、サフィンザー宮殿所属の情報管理官、マーク・ジョブスにございます。それでは端末の基本的な使い方から」


 そうして2人はマークから、端末の使い方を習ってその日は終わるのであった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品