エミールとヘクディー学校を見に行く

　エミールとヘクディーの姿は４才には見えず、もう１０才くらいの大きさになっていた。

　以前から美しかった２人の容姿だが、日を追う毎ごとに、成長する度にますます美しくなっていくのであった。


「く、今日も苦しい」


　朝、エミールは自分のベッドで目が覚めた。体が何かで縛られたような圧迫感。そして、耳から首までが、べっとりねちゃねちゃとしていた。


「すんすん。ぺろぺろ。エミール様、美味おいしいですわ♡やはり最高の美味びみですわ♡たまりませんわ♡」


　隣となりで寝ているヘクディーだ。ヘクディーがエミールの臭いを嗅ぎながら舐なめているのだ。最近毎日である。


「エミール様♡私の頭の中はエミール様でいっぱいですわ♡でも足りませんわ。もっとエミール様をぎゅうぎゅうに詰め込んで下さいませ♡」


　そして、全身を使って、ヘクディーはエミールにしがみついていた。力強く。そして蛇の様ように絡みつく。


「…」


　エミールは、これから毎日こんな生活になるのかと憂鬱ゆううつになった。


「＠＊＆％＆％」


　エミールは神代魔法を唱えた。


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ヘクディー・ザガントリア　Lv.1



ＨＰ：３５／３５

ＭＰ：１１０／１１０

エミール分：１０７５／１００７５



＜剣術 Lv.1＞

＜炎魔法 Lv.1＞＜水魔法 Lv.1＞＜風魔法 Lv.1＞＜土魔法 Lv.1＞＜無属性魔法 Lv.1＞

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　ヘクディーのレベルが見えた。

　しかし、見慣れない表示が。


「エミール分？」


　ぺろっ


　すると、


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ヘクディー・ザガントリア　Lv.1



ＨＰ：３５／３５

ＭＰ：１１０／１１０

エミール分：１０７６／１００７５



＜剣術 Lv.1＞

＜炎魔法 Lv.1＞＜水魔法 Lv.1＞＜風魔法 Lv.1＞＜土魔法 Lv.1＞＜無属性魔法 Lv.1＞

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　あ。１上がった。


「何だろう？分かんないや」


　エミールは、ステータス画面を消し、ヘクディーが離さないので寝返りも身動きもできないので、ヘクディーが起きるのを待った。


　そして１０分後、


「あ。エミール様、お早うございます」

「お早う」


　ヘクディーが起き出した。

　今日も１日が始まるのであった。



　貴族用の豪奢ごうしゃな馬車がザガントリア王立学院に入ってくる。

　１号管理棟の玄関前で馬車は止まり、１組のカップルが降りてくる。


「我が学園にようこそお越し下さいました。エミール殿下、ヘクディー殿下」


　学園長を始め、出勤の事務員・教員総出で学校見学に来たエミールとヘクディーを出迎える。


「ご丁寧な挨拶痛み入る。急な見学を許可いただいてありがとうございます。頭を上げて下さい」


　学園側の職員が顔を上げた。そして、エミールとヘクディーを見て、息を呑む。

　顔の凹凸の少ない平面顔ながらうっかりすると目を離すのを忘れてしまうような整った顔立ち、短髪ながらツヤツヤした、綺麗な光沢のある黒髪、綺麗に整った立ち姿のエミール。

　端整な顔立ち、ツヤツヤした綺麗な光沢のあるロングの綺麗な金髪、抜群のプロポーションのヘクディー。

　まだ幼いながら、まるで絵画から飛び出したかのような美しい２人にしばし見とれ、ハッとして、


「私が学園長のウィリアム・ウォーリーズです。まずは学園内を案内致しましょう。分からないことがあったら何なりとお尋たずね下さい」

「はい。ありがとうございます」


　そして、学園長自らエミールとヘクディーを案内した。

　講堂に大教室に中教室に小教室、運動場に体育館に魔法訓練場、そして図書館に食堂に。

　全ての規模がデカかった。

　それから、小教室に戻りカリキュラムなどの学校説明が行なわれる。


「…と、まぁ、このような学園になっております。続きまして、入試や入学手続きなどについてですが…」


　入学方法については３つ。

　１、規定年齢に達たっし、一般入試、推薦入試に合格する。

　２、規定年齢以下の者の随時特別入試に合格する。

　３、教授推薦。


　１はまぁ分かる。普通の入学方法だ。３はコネとか裏口でも入れそうだがまぁこの文化水準ではそれを悪く言う者も居ないであろう。

　問題は２だ。これは何だ？興味を持ったエミールは訪ねてみる。


「随時特別入試って何ですか？」

「あぁ、随時特別入試ですね。優秀な学生を早くに捕まえるためにできた入試制度でして、予約と受験料をいただければいつでも受けて頂ける試験です。受けるという誓約書と受験料を払って頂ければ学内の施設の利用は自由。図書館に受験用の資料がありますのでそれで受験勉強して頂けます。ただし、一般の試験、一般入試や推薦入試より難しく、できたばかりの制度で知られていないのかまだ受けた者もあまりおらず、これで入学した生徒もまだ出ていない門扉の狭い方法ですね」


　エミールは随時特別入試に興味を持った。

　エミールとヘクディーは、その後も学園の話しを聞き、満足して帰るのであった。


「学園長、あの２人はいつまでも見ていたいですね」

「そうだな。その気持ち、よく分かるよ」


　エミールとヘクディー、２人は気付かなかったが、２人が姿を見せた瞬間人が集まりだしてきて、皆みな、恋をするような目で２人を眺めていた。


「入学したら、毎日顔を合わせられるのか。次の入学時期が楽しみじゃわい」


　入学前から注目を集める２人なのであった。