仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

エミール、ヘクディーと婚約する

(エミール様、エミール様、エミール様、エミール様、エミール様、エミール様ぁ~♡)


 ヘクディーは、幸せであった。

 大好きなエミールに毎日会える。

 頭の中は、エミールでいっぱいだった。


「キリがいいのでここまでにしましょうか」

「はい。ありがとうございました」


 その日の勉強も終わり、家庭教師が自室から出て行き、しばらくして、


「(コンコン)エミールです。入ってもよろしいでしょうか?」

「(エミール様だぁ)お入りになって」


 そして始まるよもやま話。

 いつの間にか、椅子の上ではなくベッドの端に並んで話すようになった。

 そして、ヘクディーから、エミールへのスキンシップも段々と多くなっていった。


 そして、あっという間に過ぎる2人きりの時間。


「あ、もう時間だ。そろそろ行くね」

「あぁ、話し足りないですわ。もっとお姿を見ていたいですわ。もっと触れ合いたいですわ」

「(ヘクディーも外見を取りつくろわなくなってきたなぁ)また明日来るから。それじゃぁね」

「はい。本当に来て下さいね」


 ヘクディーと、エミールは、手を振り合いながら別れた。


「エミール様との時間、全然足りませんわ」


 ヘクディーは不満であった。

 何故、エミールと会う時間が、1日1時間だけなのか。

 どうしたら、もっといっぱい一緒にられるのか。

 そして、


「そうだわ!」

「ヘクディー様、お夕食の時間です」

「はーい」


 そして、意を決して、夕食へ向かうのであった。



 夕食は家族と食べる。

 それは、父であるオーマーダム国王が余程忙しいときでなければいつものことであった。

 食事中、 


「お父様」

「何だね?ヘクディー」

「私、結婚します」


 オーマーダム国王は、耳を疑った。


「ヘクディー、今、結婚と聞こえたのだが、違うよね?」

「いえ。結婚と言いました」


 国王は混乱した。


「そりゃ、いつかは結婚するだろうね。しかし、今、相手はないだろう?」

ますわ」


 国王はますます混乱した。


「ほぉ。相手は居るのか。誰だね?」

「アハントルト王国のエミール・アソウ様ですわ」

「エミール君とは会ったことがないだろう?どうして結婚することになるんだね?」

「会ってますわ。部屋に誘ってお話ししますの」


 衝撃の事実。娘が男を自室に誘っていた!


「ヘイドリック!」

「はい。陛下」

「私は聞いていないのだが。エミール君が、娘の部屋を訪ねたなんて。いつのことだ?」

「週明けから毎日でございます。ヘクディー様の勉強が終わってから、1時間ほど部屋でお話しなさっています」


 国王の心には、怒りがふつふつと湧いていた。


「何故私に報告しなかった」

「エミール様から止められていました。スキカ様から国王には知られるなと。そして、可能な限り、ヘクディー様の好きなようにさせなさいと指示をもらっているそうで」

「スキカ様が?」

「はい。そうおっしゃっていました」


 国王は怒っていた。

 神託を笠に着て、娘を、ヘクディーを奪おうとしているのではないかと。



 次の日。国王の執務室。


「陛下、ダダグッド聖神国、バービニス大神殿、エリーカ・ホーラル教皇からお手紙です」

「あぁ」


 国王は、封蝋の紋章を確認してから封を開け、手紙を読み始めた。


――ご無沙汰しております。マームダラ教教皇エリーカ・ホーラルでございます。

 本日、スキカ神から神託がありましたので、その内容をお知らせします。

 アハントルト王国のエミール・アソウは、バーハーグト大陸の各国に降りかかる災難を排除し、この大陸のみならず、この世界の王となる。彼は我々が直接に神託を授け、行動を代行する者。その行動を妨げる者は、我々と敵対する者と見なす。行動を阻害せず、尊重し、助けよ。彼には重婚を許す。彼が惚れた者、彼を惚れた者の恋路や婚姻を邪魔することを禁ずる。若年じゃくねんでも婚姻と子作りを認めよ。ザガントリア王国国王、オーマーダム・ザガントリアよ、エミールとヘクディーの結婚を許してやれ。エミールとその家族、仲間はこの大陸に大いなる恵みをもたらすだろう。


 エミール様とヘクディー王女が結婚なさるのですか?
 その際は式に、出席したく思いますので、決まりましたらお知らせ下さい。

 なお、このご神託は、アハントルト王国のアソウ家にもお知らせ致します。

 マームダラ教教皇エリーカ・ホーラル――


 負けた。

 オーマーダム国王はそう思った。


 後日、オーマーダム国王と、二郎との間で、何度か話し合いが行なわれ、いきなり結婚させるわけにもいかないため、エミール・アソウと、ヘクディー・ザガントリアの婚約、という形にすることに決着した。

 その数日後、オーマーダム国王は、エミール・アソウと、ヘクディー・ザガントリアの婚約を、大々的に発表するのであった。


「エミール君、娘と自由に会うことを許そう。しかし、娘にも教育は必要だし、家族との時間もる。節度のある付き合いを願う」

「ヘクディー陛下、かしこまりました」


 そうして、ヘクディーは、エミールと自由に会う権利を得たのである。


「もう婚約しましたのよ?もっと会いに来て下さいませ。もっとお時間を増やして下さいませ」

「陛下からも節度のあるお付き合いをお願いされましたので、これ以上はムリです」

「いやだぁー。もっとエミール様と一緒にたいですぅー」


 エミールは少し考え、


「それでは今度の休みには1日、一緒にましょう。お出かけでもしましょう」

「本当ですか?大好きです。エミール様♡」

「ちょっと、ヘクディー様、抱きつかないで下さい!」


 そうしてヘクティーとエミールは、イチャイチャするのであった。





お読み下さりありがとうございます。

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ありがとうございます。

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