仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ
神たちの攻勢―2
「この!バカチンがぁ!」
気付いたときにはどこかの地下室であろうか?薄暗い部屋に居た。
「手前らは聖職者にありながら、教義そっち退けで私腹を肥やし、自分の都合のいいように教義を曲げて、さも清き聖職者でありますという顔で、自分たちに都合のいいように清き者を蹴落とし蹴落とし、宗教を何だと心得るか!」
目の前の人物は偉い剣幕である。
周りを見渡すと、枢機卿が全員居り、赴任先は未定だが、司教の資格を得た者も全員居る。つまりはウーマンティ大聖堂で、それなりの地位に居る者全員集合である。
「手前ら、キモーラの言葉を取り合わなかったな?」
「キモーラ? あぁ、あの神託の巫女という閑職の」
ナハンジャロ枢機卿の発言に、また目の前の人がヒートアップし、
「何?我らの意思を伝える職に、何が閑職じゃ!そんな心構えだから我々神に見放されて神託が無いのじゃ!」
目の前の人間は、神を気取り、啖呵を切る。
しかし、これくらいの脅し、何てことはない。
我々は厳しい階級競争に、貴族からの圧力に耐え抜いて今の地位があるのだ。
これくらいの圧力や怒声など屁でもない。
ほら。何人かは薄ら笑っとる。
「これだけ言っても手前らの心には響かぬか。失望した」
謂れなき脅しには屈しない我々を見て、諦めたか、目の前の人間は、怒声を上げるのを止め、
「キモーラを通じて警告はしたからな。邪魔立てだけはするなよ」
そう言うと、その人陰は、スーっと霧散し、私はまた深い眠りにつくのであった。
*
「朝食の前に一言言っておく。とある用事でこれからしばらく、家の中がゴタゴタすると思う。事が終わるまで不便をかけるかも知れんが、いずれまた落ち着くと思うのでそれまで我慢してもらいたい」
朝食の前、父と母たちが1列に並び、父はそう言って、全員で頭を下げた。
エミールは、スキカの案件だなと分かったが、黙っておいた。
重苦しい雰囲気の中、今日は朝食を済ませるのであった。
「エミール、マームダラ教の聖典を持っているね?出しなさい」
父にそう言われたので、8冊全部渡す。
「それじゃぁ、勉強に行ってきなさい」
エミールがブリトニーたちが勉強している部屋に行こうとしたとき、
「エミール様、お客様がお見えです」
「どなたですか?」
「キモーラ・スバシウムという方だそうです。ウーマンティ大聖堂の神託の巫女と名乗っておいででした」
すると二郎が、
「私も一緒に居よう。エミール、ついて来なさい」
「はい」
二郎たちは、キモーラを玄関先で出迎えることにした。
「初めまして。キモーラ・スバシウムといいます。ウーマンティ大聖堂で、内々では神託の巫女と呼ばれています」
「で?ウーマンティ大聖堂の方がエミールにどういったご用件で?」
キモーラは、決心したような顔をして、
「神から、ムハド様からご神託がありました。信じてもらえないかも知れませんが、マダラーウ教は、教義が改変された歴史があり、真理から遠のいたため、正しい教えを伝えに来た宣教師が来ているエミール様を頼れと言われて来ました」
二郎とエミールは、あぁ、なるほど、という顔をして、
「神々の世界も本当に大々的に動きましたな」
「複数同時に動くと仰っていましたからね」
「えっ?えっ?」
エミールは、キモーラに、バーハーグト大陸のマームダラ教のこと、昨日のスキカからのご神託の内容、ダダグッド聖神国から宣教師が来ていることを伝えた。
「あぁ、やはり。あれはただの夢ではなかったのですね」
「バーハーグト大陸とニムテズ大陸では言葉が違います。今、この屋敷の大人たちがバーハーグト大陸のマームダラ教の聖典を手分けして翻訳している最中です。翻訳が終わったら査読していただけますか?」
「はい!もちろん!」
「それでは、今からダダグッド聖神国から来ている宣教師たちに説明をしますので、お時間があるようでしたら同席していただけますか?」
「はい!」
キモーラは喜んで承諾するのであった。
「エミールは勉強をしに行ってらっしゃい。こちらでできることはしておくから」
「はい!」
エミールも元気よく返事をするのであった。
*
「あなた方の言葉と我々の言葉は違いますが、あなた方はこちらの言葉は分かりますか?」
「話しは通じているように思うのですが」
「それは私が翻訳の魔法をかけているからです。あなた方は翻訳の魔法を使えますか?」
宣教師たちは二郎の言っていることをやっと理解したようで、
「翻訳の魔法は知りません。教えていただけますか?」
「分かりました。お教えしましょう」
そして二郎は、宣教師たちにコミュニケーションの魔法を教え、使えるようになったことを確認し、
「キモーラさんは用事はありませんか?このままここに居ても大丈夫ですか?今は行動を普通にしていて下さいよ」
キモーラは今気付いたような顔をして、
「はっ!今までのことを放ったらかしにしてました。教会に戻ります!」
「お暇なときにまたいらっしゃい」
「はい。またお伺いさせていただきます」
キモーラはウーマンティ大聖堂へと帰って行った。二郎は宣教師たちに向き合い、
「ここに簡単なニムテズ大陸の地図とその特色を簡単に書いた紙があります。これを基に、どこで布教活動をするか話し合っておいて下さい」
宣教師の1人が代表して、
「分かりました。いろいろとありがとうございます」
「それでは私は用があるので失礼」
二郎は部屋を出て、自室に戻り、
「日本の会社に掛け合うなんて久しぶりだよまったく」
マームダラ教聖典アーメイヤス語版や、マームダラ教聖典ガカスドロフ語版を自費出版するため、日本の印刷業者に掛け合うため電話をかける二郎なのであった。
気付いたときにはどこかの地下室であろうか?薄暗い部屋に居た。
「手前らは聖職者にありながら、教義そっち退けで私腹を肥やし、自分の都合のいいように教義を曲げて、さも清き聖職者でありますという顔で、自分たちに都合のいいように清き者を蹴落とし蹴落とし、宗教を何だと心得るか!」
目の前の人物は偉い剣幕である。
周りを見渡すと、枢機卿が全員居り、赴任先は未定だが、司教の資格を得た者も全員居る。つまりはウーマンティ大聖堂で、それなりの地位に居る者全員集合である。
「手前ら、キモーラの言葉を取り合わなかったな?」
「キモーラ? あぁ、あの神託の巫女という閑職の」
ナハンジャロ枢機卿の発言に、また目の前の人がヒートアップし、
「何?我らの意思を伝える職に、何が閑職じゃ!そんな心構えだから我々神に見放されて神託が無いのじゃ!」
目の前の人間は、神を気取り、啖呵を切る。
しかし、これくらいの脅し、何てことはない。
我々は厳しい階級競争に、貴族からの圧力に耐え抜いて今の地位があるのだ。
これくらいの圧力や怒声など屁でもない。
ほら。何人かは薄ら笑っとる。
「これだけ言っても手前らの心には響かぬか。失望した」
謂れなき脅しには屈しない我々を見て、諦めたか、目の前の人間は、怒声を上げるのを止め、
「キモーラを通じて警告はしたからな。邪魔立てだけはするなよ」
そう言うと、その人陰は、スーっと霧散し、私はまた深い眠りにつくのであった。
*
「朝食の前に一言言っておく。とある用事でこれからしばらく、家の中がゴタゴタすると思う。事が終わるまで不便をかけるかも知れんが、いずれまた落ち着くと思うのでそれまで我慢してもらいたい」
朝食の前、父と母たちが1列に並び、父はそう言って、全員で頭を下げた。
エミールは、スキカの案件だなと分かったが、黙っておいた。
重苦しい雰囲気の中、今日は朝食を済ませるのであった。
「エミール、マームダラ教の聖典を持っているね?出しなさい」
父にそう言われたので、8冊全部渡す。
「それじゃぁ、勉強に行ってきなさい」
エミールがブリトニーたちが勉強している部屋に行こうとしたとき、
「エミール様、お客様がお見えです」
「どなたですか?」
「キモーラ・スバシウムという方だそうです。ウーマンティ大聖堂の神託の巫女と名乗っておいででした」
すると二郎が、
「私も一緒に居よう。エミール、ついて来なさい」
「はい」
二郎たちは、キモーラを玄関先で出迎えることにした。
「初めまして。キモーラ・スバシウムといいます。ウーマンティ大聖堂で、内々では神託の巫女と呼ばれています」
「で?ウーマンティ大聖堂の方がエミールにどういったご用件で?」
キモーラは、決心したような顔をして、
「神から、ムハド様からご神託がありました。信じてもらえないかも知れませんが、マダラーウ教は、教義が改変された歴史があり、真理から遠のいたため、正しい教えを伝えに来た宣教師が来ているエミール様を頼れと言われて来ました」
二郎とエミールは、あぁ、なるほど、という顔をして、
「神々の世界も本当に大々的に動きましたな」
「複数同時に動くと仰っていましたからね」
「えっ?えっ?」
エミールは、キモーラに、バーハーグト大陸のマームダラ教のこと、昨日のスキカからのご神託の内容、ダダグッド聖神国から宣教師が来ていることを伝えた。
「あぁ、やはり。あれはただの夢ではなかったのですね」
「バーハーグト大陸とニムテズ大陸では言葉が違います。今、この屋敷の大人たちがバーハーグト大陸のマームダラ教の聖典を手分けして翻訳している最中です。翻訳が終わったら査読していただけますか?」
「はい!もちろん!」
「それでは、今からダダグッド聖神国から来ている宣教師たちに説明をしますので、お時間があるようでしたら同席していただけますか?」
「はい!」
キモーラは喜んで承諾するのであった。
「エミールは勉強をしに行ってらっしゃい。こちらでできることはしておくから」
「はい!」
エミールも元気よく返事をするのであった。
*
「あなた方の言葉と我々の言葉は違いますが、あなた方はこちらの言葉は分かりますか?」
「話しは通じているように思うのですが」
「それは私が翻訳の魔法をかけているからです。あなた方は翻訳の魔法を使えますか?」
宣教師たちは二郎の言っていることをやっと理解したようで、
「翻訳の魔法は知りません。教えていただけますか?」
「分かりました。お教えしましょう」
そして二郎は、宣教師たちにコミュニケーションの魔法を教え、使えるようになったことを確認し、
「キモーラさんは用事はありませんか?このままここに居ても大丈夫ですか?今は行動を普通にしていて下さいよ」
キモーラは今気付いたような顔をして、
「はっ!今までのことを放ったらかしにしてました。教会に戻ります!」
「お暇なときにまたいらっしゃい」
「はい。またお伺いさせていただきます」
キモーラはウーマンティ大聖堂へと帰って行った。二郎は宣教師たちに向き合い、
「ここに簡単なニムテズ大陸の地図とその特色を簡単に書いた紙があります。これを基に、どこで布教活動をするか話し合っておいて下さい」
宣教師の1人が代表して、
「分かりました。いろいろとありがとうございます」
「それでは私は用があるので失礼」
二郎は部屋を出て、自室に戻り、
「日本の会社に掛け合うなんて久しぶりだよまったく」
マームダラ教聖典アーメイヤス語版や、マームダラ教聖典ガカスドロフ語版を自費出版するため、日本の印刷業者に掛け合うため電話をかける二郎なのであった。
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