仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

バービニス大神殿

「いやぁ、実に美味しかった」


 あれから雑談しながら昼食をいただき、そろそろお開きとなった。


「実にいいご縁ができました。また気軽に訪ねに来て下さい」

「それでは今後ともよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」


 挨拶をして麻宗あそう家一行は馬車に乗込む。数分して、


「着きましてございます」


 御者が馬車のドアを開け、二郎、二郎に手を取られたミランダ、そしてエミールの順で馬車を降りる。

 そこは、絢爛けんらん豪華な建物であった。

 白を基調とした建物に、様々な細工をほどこされ、細やかな作りの様々な像があちこちに飾られている。

 それに、何と言っても建物がデカい。

 麻宗あそう家の面々は、その建物に圧倒され、しばしボーッと見つめていた。

 それでも復帰し、入り口の方に歩き出す。

 すると、中から1人の女性が出てきた。

 白を基調とした祭服に身を包み、その際服は、細やかな刺繍ししゅうが施され、一目で位の高い聖職者なのが分かる。


「初めまして。『御使い』様と、その後家族様。お待ちしておりました。私はこのバービニス大神殿で、マームダラ教の教皇をしておりますエリーカ・ホーラルと申します」

「私はエミールの父で、ニムテズ大陸にあるアハントルト王国の公爵、ジロウ・アソウと申します。以後お見知りおきを」

「妻のミランダと申します」

「息子のエミールです。以後、よろしくお願いします」


 自己紹介も終わり、建物の中へ。

 途中、白の祭服に身を包んだ女性が1人加わり、やがて、部屋に着き、


「この子は神託の巫女、ミーナ・ブレッドよ」

「ミーナ・ブレッドと申します」

「私はエミールの父で、ニムテズ大陸にあるアハントルト王国の公爵、ジロウ・アソウと申します。以後お見知りおきを」

「妻のミランダと申します」

「息子のエミールです。以後、よろしくお願いします」


 挨拶も済んだところで、


「さあ、おけになって。お話ししましょ」


 エリーカ教皇とミーナが座ったところで麻宗あそう家の面々も椅子に座った。

 それぞれの面々にお茶が出される。


「私の生きているうちに『御使い様』にお会いできるなんて嬉しいわ」

「スキカ様にいろいろと指示をもらいましたが道半ば。いまだ何の成果も上げてないにもかかわらず、こちらのバーハーグト大陸では『御使い様』と、持ち上げられて、正直肩身が狭いです」

「あらあら。それでも何かを成しげようと、行動しているのでしょ?それならそんなに自分を卑下ひげすることはないわ。『御使い様』として、下にも置かない扱いを受けたとしても、活動はしやすいでしょ?悪い面ばかりを見ずに良い面も見てあげなきゃ」


 エミールは、その言葉を受けて、これから少し前向きに見られるようになりそうな気がしてきた。


「ところで、そちらのニムテズ大陸のマームダラ教は、どのような感じかしら?どんな違いがあるか気になるわ」


 すると、困惑したようにミランダが答える。


「ニムテズ大陸にはマームダラ教はありません。みな、マダラーウ教を信じており、ガムンダル様をあがめております」

「その、マームダラ教での教えというのはどのようなものかしら?」


 ミランダは、マームダラ教について、かいつまんで教えた。


「それはいけません!間違ってます!あぁ、それなら宣教師をつのってニムテズ大陸に送らねば!」


 エリーカ教皇はハッとして、


「すみません。取り乱しまして。それではあなた方もマームダラ教を知らないと?」

「はい。存じ上げません」

「それはいけません。聖典を用意しますので、それをお読みになって下さい」


 するとエミールは、


「こちらの言葉や文字に不慣れなため、いただいても読めないかも知れません」


 すると、エリーカ教皇は、


「それなら子供向けのやさしい言葉の聖典も差し上げましょう」


 そう言ってどこからか本を持って来たエリーカ教皇。


「こちらが大人向けの詳しく書かれた聖典で、こちらが子供向けに書かれたやさしい聖典です。それぞれ4冊ずつ差し上げますので正しい神や自然のことわりの知識を身につけて下さいませ」


 エミールは代表として聖典をもらい、アイテムボックスの中にしまった。


「布教などは追々のこととして、ニムテズ大陸について教えていただけるかしら?」


 エミールは地図を出して、二郎は、ニムテズ大陸について話し始めた。

 一通り話し終えたところで、


「では、私の方から、このバーハーグト大陸の話しを」


 と言って、エリーカ教皇は、このバーハーグト大陸のことを、宗教家の観点から話し始めた。


「と、まぁ、こんなところです」


 落ち着いたところでお茶を飲んで心を落ち着かせた。


「それで、この子が今代の神託の巫女なわけです」

「神託を受ける儀式という者がありまして、定期的に行なっているのですが、ご神託なんて、そうそう授かるものではありません。ただ、あのときはハッキリと授かることができました」


――はるか西の大陸から来た、八咫烏やたがらすもんを持つ少年が、我がバーハーグト大陸の各国に降りかかる災難を排除し、我が大陸のみならず、この世界の王となる。彼は我々が直接に神託を授け、行動を代行する者。その行動を妨げる者は、我々と敵対する者と見なす。行動を阻害せず、尊重し、助けよ。彼には重婚を許す。彼が惚れた者、彼を惚れた者の恋路や婚姻を邪魔することを禁ずる。若年じゃくねんでも婚姻と子作りを認めよ。彼とその家族、仲間はこの大陸に大いなる恵みをもたらすだろう


 エミールは、アイテムボックスから紋章の入ったメダルを取り出し、


「それで、ニムテズ大陸という西の大陸から来た、この八咫烏やたがらすもんの入ったメダルを持つ私が『御使い様』と、されたわけですね」

「はい。しかし実際、スキカ様から指示は受けていらっしゃるわけですよね?」

「はい」

「私の場合、アウラ様という別の神からご神託を授かるのですが、別の神様からもエミール様に言及なされたということは、神界全体が、エミール様を『御使い様』として扱っているのではないかと私どもは思うのです」

「アーノルド大統領や、スイソン議長とも話しましたが、エミール様がご神託を受けての行動に関しましてはこのダダグッド聖神国は、全面的にバックアップしたいと思っております。我々の力が必要ならば、遠慮えんりょなくおっしゃって下さい」

「分かりました」

「我々に用事があるときはもちろんのこと、用事がなくとも、ただ気が向いたとか、会いたくなったとか、理由は問いません。私たちに会いたくなったら気軽にお越し下さい。いつでも待ってますよ」


 その後、雑談を交わし合い、ダダグッド聖神国の訪問は終わるのであった。

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