仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

エミール、バーハーグト大陸で晒される

2021.12.23 エミールの冒険者ランクをDへ昇格ではなく、FからEに昇格に変更しました。





「セーベルトはるか!」


 新大陸、バーハーグト大陸のナサスティア王国のザーサランド侯爵家当主、ガーギニヤは執事長のセーベルトを呼び出した。


「セーベルトにございます」

「明日、至急国王陛下へ報告することができたため私は王都へ向かう。準備いたせ。それからモンテスティを呼んで来てくれ」

「かしこまりました」


 ガーギニヤ侯爵が書類仕事をしていると、ザーサランド領代官のモンテスティがやって来た。


「旦那様、モンテスティ、ただ今参上しました」

「急に呼び出して済まんな。『御使い様』が見つかったので陛下に報告するため明日王都へ向かう。済まぬがその間、領地を頼む」

「『御使い様』がですか!」


 モンテスティは大層驚いた。


「急なことで済まぬな」

「かしこまりました。こちらのことはお任せ下さい」

「それでは頼んだぞ」


 そして次の日、ガーギニヤ侯爵は王都へ旅立つのであった。


 2日の旅を経て、ガーギニヤ侯爵は王都、ナステディグラートへ到着し、すぐに国王への謁見を願い出た。

 運良くその日のうちに謁見することになった。


「国王陛下、お忙しい中、お時間をいただき、誠にありがとうございます」

「うむ。この時期にお主がわしに会いに来るのは急を要することであろう。して、要件は何じゃ?」

「『御使い様』が見つかりましたので、そのご報告に参りました」


 国王、ウルボロン・ナサスティアは驚いた顔をし、


「詳しく申してみよ」

「はっ」


 ガーギニヤ侯爵は、エミールに娘を助けられたこと、そのお礼をするために屋敷に招いたこと、話していると、遠く西にあるニムテズ大陸のアハントルト王国からやって来たと言い、八咫烏やたがらすの紋章の入ったメダルを所持していたことを話す。


「御使い様の名前はエミール・アソウ。遠く西に離れたニムテズ大陸にあるアハントルト王国の公爵家のご子息にございます」

「ふむ。でかした」

「それと、取り急ぎ、画家に御使い様のお姿を描かせましたので、お収め下さい」

「なんと!お姿まで分かるのか!ようやった!」

「おめいただきありがとうございます」


 そして、ガーギニヤ侯爵は、褒美ほうびをもらい、謁見は終了するのであった。

 ガーギニヤ侯爵は王都にある自分の屋敷で1泊し、領地への帰路につくのであった。


 ガーギニヤ侯爵の謁見が終わると、ウルボロン国王は指示を出し始めた。


「画家を集めてこのお姿を描いた絵を早急に描き写させろ!今から文を書くので描き写させたお姿と共に神殿へ届けよ!その後わしは各国の王族への手紙を書く。これは急務じゃ。『御使い様』の件は他の執務より優先して事に当たれ!」

「はっ!かしこまりました」


 そして、ナサスティア王国発信で、エミールの情報は各国に伝えられ、神託のときと同様にバーハーグト大陸全土にその情報は伝えられるのであった。


     *


「うーん、何だかこの前よりみなが親切にしてくれているような気がする」


 次の休みの日にもエミールは冒険者ギルドの依頼を受けに来ていた。

 街に入って自分の顔を確認すると、みなの態度が今までと変わっていたので少し戸惑ったが、害があるわけではないので、エミールは、あまり気にしないことにしたのであった。

 エミールは、薬草関連の常時発動依頼を確認し、そのまま薬草取りに出かけた。

 そして、いつもより少し早めに薬草採取を終え、いつものようにギルドの受付に行った。


「エミール様でいらっしゃいますね。薬草採取ですか?」

「はい。これをお願いします」

「はい。確認します」


 しばらくすると、


「確認しました。依頼達成です。こちらが報酬の銅貨6枚です」

「ありがとうございます」

「今回の依頼達成でEランクへの昇格条件を満たしますがランクアップなさいますか?」

「お願いします」

「それではギルドカードをお願いします」


 そしてギルドカードを渡してしばらくすると、


「ギルドカードをお返し致します。またのご利用お待ちしております」


 ギルドへの用事が終わって少し時間ができたので、エミールは少し街をブラブラ歩くことにした。

 歩くことしばらく。掲示板に出くわした。

 どれくらいこちらの文字が読めるようになったかを知るために、掲示物を読んでみることにした。


「なになに?御使い様情報、西方のニムテズ大陸にあるアハントルト王国の公爵家のご子息。ご芳名、エミール・アソウってえーーーーー!」


 ご丁寧にエミールの絵まで描いてあった。

 どういうことか、ザーサランド侯爵に聞きに行こうかとも思ったが、訪ねるには時間が遅い。

 心の中になんとも言えぬ複雑なものを抱えながら、もう何もする気も起きず、エミールは麻宗邸へと帰るのであった。

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