仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

新大陸の発見と早速行ってみる

誤字修正と、神託と、エミールの出発時の持ち物の修正をしました。




 それから3ヶ月後、アメリアは出産した。

 女の子であった。アメリフィスと名付けられ、大切に育てられるのであった。


 エミールは4才になった。

 夜の授業はまだ続いている。

 錬金術の初級編も終わり、今は魔道具学初級編を教えている。

 夜の授業後の補習は、神代魔法中級編まで進み、もう半月もすると、補習も必要なくなり、終わることだろう。


     *


 所変わってエミール達が住むニムテズ大陸のずっと東。バーハーグト大陸のダダグッド聖神国にある祈りの間。そこに1人の少女が祈りを捧げていた。

 しばらくして、彼女は胸の前で組んでいた手を降ろし、一礼してふっと息を漏らした。

 すると、少し離れたところにいた老いた白の衣に身を包んだ男性が、


「せ、成功したか?」

「はい。お言葉をいただきました」


 彼は「おぉ」と感嘆の声を発した後、


「では、何と?」

「はるか西の大陸から来た、八咫烏やたがらすもんを持つ少年が、我がバーハーグト大陸の各国に降りかかる災難を排除し、我が大陸のみならず、この世界の王となる。彼は我々が直接に神託を授け、行動を代行する者。その行動を妨げる者は、我々と敵対する者と見なす。行動を阻害せず、尊重し、助けよ。彼には重婚を許す。彼が惚れた者、彼を惚れた者の恋路や婚姻を邪魔することを禁ずる。若年じゃくねんでも婚姻と子作りを認めよ。彼とその家族、仲間はこの大陸に大いなる恵みをもたらすだろう、と」


 そう言った彼女は体中の力が抜け、倒れそうになるが、すぐに2人の神官に支えられ、丁寧に運ばれ、別室のベッドに寝かせられた。


 彼女の言葉はすでに一字一句書き留められており、大量に書き写され、神託として各国の王族に早馬を出して届けられ、各、街、村にその文言が掲示され、文字の読めない者には口頭で、望む者には何度でも伝えられるのであった。


     *


 エミールは手が空いたときには何度も「カラワ」と意識共有し、つぶさにこの大陸を観察し、地形や町や村の位置などを憶えた。

 地図に起こすこともしており、それは軍の持っているものよりも精密で、色数が少ないことを除けば、現代の地球でも通用するような精度を誇っていた。

 それがかなりの枚数に上っており、1冊の地図帳ができるほどであった。彼はその地図の貴重性、持っていることの危険性などを分かっており、いつも自分用のアイテムボックスにしまっており、決して人前にさらすことはしなかったのであった。

 彼は魔道具学を勉強しているうちにとある魔道具の存在を知り、作成して気に入った動物に取り付けていた。

 その魔道具は、居場所を知らせる魔道具と似ており、この星のどこにいても居場所が分かる。あと、意思の伝搬もし易く、たとえ世界の裏側にいても会話ができ、意識共有も問題がない。


 とある休みの日に何気に動物の位置を確認してみると、1羽の鳥が、ずいぶんと東の方にることが分かった。


「tu-pkpk」

「ガガー」


 彼はその遠く東にいる鳥と会話し、情報を集めた。

 その鳥によると、その今る場所には大きな大陸があり、今まで何度か行き来したことがあるのだそうな。

 その大陸は、エミールの今るニムテズ大陸よりも広く、ニムテズ大陸では食べられないエサが豊富なのだそうな。

 今は休みの日の午前中。二郎に「ずっと東に大陸を見つけたから行ってくる」と伝えて、冒険者スタイルの服装に着替え、身分証、居場所を知らせる魔道具、麻宗家の家紋かもんである八咫烏やたがらすの絵柄を彫り込まれたメダルを持った。

 意思疎通した動物の居場所は憶えることができ、場所が憶えられればそこにゲートを開くことができる。エミールはその鳥がる場所にゲートを開き、行ってみた。


 エミールは森の端に出た。遠くには街が見える。歩いて行けない距離ではない。エミールは「コミュニケーション」の魔法を自分にかけ、まずはその街を目指した。


 街の門前。そこには2人の兵士が立っており、検問をしている。検問を待っている馬車が5台ほど列を成していたのでその後ろに並んだ。

 しばらくしてエミールの番になった。


「見慣れない恰好の坊主だな。身分証は持っているか?」


 ここはニムテズ大陸からはずっと離れており、船の行き来など、交流を望めなかった。ニテムズ各国の身分証は役に立たないと思い、


「いえ、ありません」


 と、答えた。


「それなら通行料に銀貨二枚必要だ」


 エミールはダメ元でニテムズ大陸で流通している銀貨2枚を渡すが、


「何だこりゃ?これは使えないな」


 にべもなく通貨として認められなかった。そこで、銀のインゴットを渡すと、


「これは銀貨2枚以上の価値がありそうだ。よし、通行を許可する。街で身分証を作れば1週間以内なら、この街で身分証を作ってまたここへ来てくれればこのインゴットは返す。身なりからして冒険者だろう?よっぽどのことがない限り、冒険者ギルドでギルドカードを作れるはずだからそこで冒険者登録をすることをお薦めするよ。冒険者カードがあるだけで、通行料は免除されるしな。で、名前を聞いていいか?」

「エミール・アソウと申します。いろいろ教えて下さってありがとうございました」

「何、いいってことよ。それじゃぁこの街を楽しんでくれ」

「ありがとうございます。物のついでに教えて欲しい場所があるのですが」


 エミールは両替商の場所と冒険者ギルドの場所を聞き出し、街の中へ入っていった。


「まずは両替商だな。この国の貨幣を持っていないと何かと不便だと予想が付いたからだ」


 両替商で銀のインゴットを指し出し、硬貨に換えて欲しいむねを伝えると、両替商はいろいろとインゴットを調べて、


「金貨2枚と銀貨6枚だ。これで良ければ取引成立だ」

「それで構いません」

「そうかい。それでは硬貨を渡すよ。老婆心ながら忠告するが、無くさないようにしっかり管理するんだね」

「はい。ご親切にありがとうございます」

「困ったらまた来なさい。仕事以外にも相談に乗ってあげるから」

「ありがとうございます。また今度」

「あぁ、君の冒険に幸あらんことを」


 両替商を出たエミールは、その足で冒険者ギルドに向かった。

 冒険者ギルドでは出入りのピークを過ぎているのか、人がまばらであった。それでも受付には3人列を組んでいた。エミールはその後ろに並んだ。

 エミールの番になった。


「坊ちゃん、何の用ですか?」

「冒険者登録をしたいと思いまして来たのですが、登録は可能ですか?」

「必要用紙に情報を書き込んで、手数料に銀貨1枚をお支払いいただければお作り致します」

「それではお願いします」


 受付のお姉さんは新規入会の用紙を出し、


「自分で書いてもらうこともできますが、文字が書けなければ代筆もうけたまわります」

「文字は書けないので代筆をお願いします」

「かしこまりました。それでは質問しますので、答えていって下さい」


 そこで、名前、年齢、出身地を聞かれたのだが、名前を「エミール・アソウ」とフルネームで答え、年齢を答えたまでは良かったのだが、出身地に「ニムテズ大陸アハントルト王国」と答えたことで、雲行きが怪しくなった。


「ま、まぁ、入会の用紙は形式のものですし、そのまま書かせていただきます。後で問題になることはないでしょう」


 お姉さんはギルドカードを作る指示を出すため奥に引き込み、すぐにカウンターに戻って来た。


「これがあなたのギルドカードです。このカードはこの大陸全土で有効で、街に入るときに通行料免除など、持っているだけで様々な特典が受けられたます。それでは銀貨1枚をいただきます。このギルドカードに1滴あなたの血を垂らして下さい」


 エミールは言われたとおり、銀貨1枚を渡すと、指を針で刺して、1滴ギルドカードに血液を垂らした。


「これでギルドカードの作成の作業は済みました。ギルドカードに血を垂らすことによって、持ち主以外の者が持っていてもカードは何も文字の書かれていない板きれになります。あなたがギルドカードに触れる事によって、文字が浮かび上がり、ギルドカードとして情報を使えることができます」


 エミールは真新しい、自分のためのカードを眺めていると、


「新規に冒険者になったということで、冒険者の決まり事の説明をさせていただきたいのですが、お時間は大丈夫でしょうか?」

「大丈夫です」

「それではまず、この冊子をお渡しします。今から言う説明は必ず知ってもらいたいことを述べます。その冊子には他の細々しかルールが載っているので、詳しく知りたくなれば、その冊子を読めるようになるか、誰かに読んでもらって下さいね」

 そして、ギルド規約で重要なことをお姉さんから教わり、


「質問や疑問点はありますか?」

「特に今は思いつきません」

「分かりました。それでは冒険者登録を完了させていただきます。命を大切にされることと、安全に冒険者を続けられること、そして冒険者として大成することをお祈り致します。ご利用ありがとうございました」

「長々とお時間を占有してしまって申し訳ありません。それに、ありがとうございます。アドバイスを心に刻み、精進致します」

「またのご利用、お待ちしております」


 それからエミールは、街をブラブラと歩き、気の合いそうな動物や鳥を見つけては会話をして、今後エミールの力になってくれるかどうか、意識共有に嫌悪感がないか質問して、大丈夫な動物や鳥に例の魔道具を装着して仲間になってもらった。


 それが済むと、今日はこの街には用がない。入ってきた門へと向かい、ギルドカードを提出し、銀のインゴットを返してもらい、門を出て、人目に付かないところでゲートを出し、アハントルトの王都の屋敷へと帰るのであった。




お読み下さりありがとうございます。

エミールは、以前4才だと言われて認めましたが、訂正を面倒がってしていなかっただけで、今回で4才になります。

地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。

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