仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

居場所を知らせる魔道具の使い方

 その1週間半後、

 エミールの夜の授業は順調に進んでいた。


「それでは今日、作ってもらうのは、居場所を知らせる魔道具です」


 マヌエラとベリーシャの、夜の居残り実習も順調に続いていた。

 居残り実習も終わる頃には2人とも居場所を知らせる魔道具を完成させていた。

 マヌエラもベリーシャも、目立たない方が良いということで、アンクレットタイプにして、その上からタイツなり、靴下なりを履くように決めたようだ。


「魔力反応を見たいので、タイツの上からで構いません。装着して、魔力を通してみて下さい。まずは、マヌエラ様から」


 マヌエラとベリーシャは、右足の靴を脱ぐと、アンクレットを装着して、靴を履き直し、マヌエラは魔力を通した。


「ふむふむ。分かりました。マヌエラ様、もういいですよ。次、ベリーシャ様」


 マヌエラは魔力を通すのをめ、ベリーシャが魔力を通し始めた。


「ふむふも。分かりました。ベリーシャ様ももういいですよ」


 ベリーシャも、魔力を通すのをめた。


「次の休みの日に国王陛下夫妻と王太子殿下夫妻にお目にかかりたいのですが、マヌエラ様、予約を取ってもらえますか?」

「一度に4人となると、スケジュール上難しいと思います」

「4人バラバラでも構いませんよ」

「それなら大丈夫だと思います。4人には話しておきますね」

「お願いします」


 今日の実習は終わった。国王陛下夫妻と王太子殿下夫妻への謁見も何とかなりそうだ。エミールは、頭の中で忘れていることがないかザッと考え、大丈夫なのを確認して、


「それでは今日の実習を終了します。お疲れ様でした」

「「お疲れ様でした」」


 授業が終わり、マヌエラとベリーシャの姉妹は、マヌエラの開いたゲートで王城のマヌエラの私室に戻った。


「お帰りなさいませ、マヌエラ様、ベリーシャ様」

「ただ今戻りましたわメリアンジュ。早速で悪いのだけれど、今度の休みにエミール先生が国王陛下夫妻と王太子殿下夫妻に会いたいとおっしゃってるの。面会時間は4人バラバラでもいいからスケジュール調整をお願いできるかしら?」

「かしこまりました。予約が取れるよう手配致します」

「お願いね」


 そして、ベリーシャは自室に戻り、王族私室区画のメイドのメリアンジュ・ティバレッジは一旦退出して執事のトップの家令かれいにエミールの面会のことを伝えた後、マヌエラの私室に戻り、マヌエラの着替えを手伝った後、退出した。


「さて、明日の授業の部分の教科書をざっと目を通しますか」


 マヌエラはざっと明日の授業の予習をした後、眠りにつくのであった。


 翌日の夕方、


「お帰りなさいませ、マヌエラ様」

「ただ今戻りましたわ」


 エルビン達との図書館での勉強を終え、学校からゲートで王城の私室へと帰ったマヌエラは、いつもの様に待機していたメリアンジュと挨拶を交わし、


「ところで、エミール先生と国王陛下夫妻や王太子殿下夫妻への面会、かないそうですか?」

「はい。国王陛下と王太子殿下は別々の時間で、王妃殿下と王太子妃殿下はご一緒で、ですので3回に分けて、それぞれ会っていただくことになりますが、今度の休日に、4名の方々に会っていただくことはできます」

「分かりました。エミール先生にはそのようにお伝えします。ご苦労様」

「それではお召し替えをしましょう」


 そうしてマヌエラは着替えて、しばらくベリーシャと夜の授業の予習をして、夕食、その後食休みをして風呂に入って体を乾かした後着替えて夜の授業のためベリーシャと麻宗邸へと向かうのであった。


 そして次の休みの日。エミールは正装に着替え、食事をった後、数枚の紙を持ってゲートで王城へ。

 少し時間があったので、メイドにマヌエラの部屋にることを告げ、ベリーシャを呼んで、


「もう、錬金術の初級編は追い付きました。これからの夜は神代魔法の初級編の授業に移りたいと思います。座学の方はテキストを渡していてある程度読み込んでいると思いますので今日は、さらっと復習をしましょう」


 そうして、マヌエラの部屋で、エルビン、マヌエラ、ベリーシャがテキストで復習をしていると、


「失礼します。王太子殿下がお会いになるそうです」

「そうですか。何をしに来たか知っておいてもらいたいので、マヌエラ様とベリーシャ様も一緒について来てもらっていいですか?それと、この前作ったアンクレットを足にお願いします」


 そうしてマヌエラとベリーシャにタイツの上からアンクレットをし、3人で王太子と会いに別室へ移動した。


「やぁ!こないだぶり。マヌエラとベリーシャも一緒か。今日は何の用だい?」

「王太子殿下お時間をいていただいてありがとうございます。先日、マヌエラ様とベリーシャ様に居場所を知らせる魔道具を作ってもらったので、その使い方についてご説明にうかがいました」

「ほぉ」


 エミールはその魔道具の説明をして、 


「呪文は「アダ:迷子検索」です」


 分かった。「アダ:迷子検索!」


 そして、マヌエラに、アンクレットに魔力を通してもらった。


「これが「迷子検索」か。分かるぞ。マヌエラの方に魔力を感じるぞ」


 それからマヌエラには魔力を切ってもらって、ベリーシャには魔力を通してもらった。


「今度はマヌエラの方に魔力を感じる。また違った魔力に感じる。個人識別もできるのか!」

「はい」


 それから、地図を併用すると、魔術具の持ち主の居場所を地図上のどの場所か、分かるようになることも伝え、


「これは素晴らしい魔道具だ!マヌエラ!ベリーシャ!風呂のとき以外はずっと付けていなさい!」

「落ち着いて下さい。追加で魔道具が必要ならマヌエラ様とベリーシャ様も作れますが、私にお声がけ下さい。また、お2人の居場所が分からなくなったときは、私は意識的に魔道具に魔力を通していないときでも魔力を感知できますのでお探しするのを手伝います。そのときはお声がけ下さい。説明は以上です」

「あぁ、わかった。素晴らしい物をありがとう!」


 それから部屋を出て3人でマヌエラの私室に戻る。そうしてエミールは、マヌエラとベリーシャを連れ立って、同じ説明をあと2回した。説明を受けた3人も大層喜んでくれるのであった。


「ゼヒ:噴水」
「ゼヒ:噴水」


 4人への説明が終わると、城の中庭で神代魔法の初級編の実習を行なった。ちなみに火では危なそうだったから水の魔法を最初の練習で選んだ。最初はできなかった2人は、練習して打てるようになった。


「先生、今日は楽しい1日でしたわ」

「また夜の授業も頑張ります!」

「2人とも、そう言ってくれて嬉しいよ。どんどん教えるからね!」


 集中して練習していたら、空はすっかりとあかね色に染まっていた。3人は「また明日」と挨拶をして別れるのであった。

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