仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

学術院へ

「今日、3年後期までの単位を取り終えて、卒業認定をもらいました」

「ぷっッ」


 アハントルト王国王都、ペンテレストロフの麻宗家の私邸で夕食中、いきなりの花菜香はなかの発言に、思わずきそうになる二郎。


「それで、残りの2年と半年弱、学術院に誘われたのですが行ってもいいですか?」

「そ、それは家族会議にかけようかな。かおるに食後、家族会議を開くことを念話で伝えておきなさい」

「分かりました」


 食後すぐにサガンガ王国の麻宗邸にやって来た二郎、花菜香はなか風雅ふうが。夕食が済んだ者からリビングへやって来て、皆がそろってから、


「今日、3年後期までの単位を取り終えて、卒業認定をもらったのですわ」

「それで、残りの2年と半年弱、学術院に誘われたのですが行ってもいいですか?」

「別に学術院へ通ってもいいけれども学術院ってどんなところなのよ?」


 花菜香はなか風雅ふうがは、高等部へやったのだ。学術院のことは知らないかおるなのであった。


「学術院へ通う年数は人によってまちまちだそうです」

「ゼミによって勉強する課題が大幅に違うそうで、担当する先生が認めれば、教える側に立ったり、研究者にもなれるそうです」


 花菜香はなか風雅ふうがは、かおるたちにゼミの一覧を見せた。ゼミの名前がズラリと並んでいる。


「それで、どのゼミに入りたいの?」

「魔法発掘学ですわ。古い魔法の書物を読んで、今ではすたれて使われなくなった魔法の中から、今でも有用なものを発見して、現代に蘇らせるのですわ」

「僕は魔法創造学かな。今までの魔法の成り立ちを見て、新しい魔法を創造する。今まで無かった魔法を新たに創造する学問だよ」


 花菜香はなかの言う”魔法発掘学”は、かおるもしてきたことなので、やりたいことは何となく分かる。研究していけば実績も付くであろう。しかし、風雅ふうがの言う”魔法創造学”は、どんなものであろう?実績はあるのであろうか?


花菜香はなかの方は分かったわ。でも、風雅ふうがの方はゼミに実績あるの?」

「あまりないみたい。年に1個か2個、新しい魔法ができればいい方みたいだし」

「一応ものにはなるのね」


 かおるはしばし考えた。これは許可して良いものかどうかと。

 しばし皆と相談し、


「いいわ。3年間アハントルト王立魔法学校に通わせるって決めたのだもの。期間内目一杯めいっぱい勉強してらっしゃい」

「「はい」」


 そうして、花菜香はなか風雅ふうがを、学術院に通わせることにするのであった。


 翌日、花菜香はなか風雅ふうがは二郎を連れて、学術院の入学手続きをするため、アハントルト王立魔法学校の事務棟に来ている。


「高等部の卒業証書はどうしましょうか?他の生徒に合わせて学期末の卒業式でお渡しすることもできますし、今、お渡しすることもできますが」

「今もらいます」


 まずは高等部の卒業証書が渡される。

 書類上の手続きはとどこおりなく済んだ。学費の方は、高等部の方で1年分先払いしていることで免除された。


「あとはゼミが受けられるかよね」

「ハナカ・アソウさん、フウガ・アソウさん」

「「はい」」


 花菜香はなか風雅ふうがはそれぞれ用紙をもらい、


「これを受けたいゼミを開いている教授のところへ持って行って下さい。受けられるなら教授がゼミの名前とサインを書いてくれますので、それをまたここへ提出して下さい」

「「はい」」


 花菜香はなか風雅ふうがは、それぞれ受けたいゼミの教授のところへ行き、ゼミ名とサインをもらってきた。


「サインをもらってきたので処理お願いします」


 花菜香はなか風雅ふうがは書類を提出する。無事受理され、正式にそれぞれのゼミの所属になった。


「学術院のバッジをお渡しします。校内にるときには付けておいて下さいね。これで手続きは終了です」


 花菜香はなか風雅ふうがは2年生のバッジを外して学術院のバッジを付けた。


「では、本を買いに行きましょう」


 ゼミはゼミで本がる。3人は本を買いに行くのであった。

 本を買った後、二郎は屋敷へ帰り、花菜香はなか風雅ふうがはゼミの使っている研究室へ行った。


「それではゼミで使う教科書を読んでおいて下さいね。質問があれば私がるときは私が答えますし、私がないときは先輩に聞いて下さいね」


 花菜香はなかのゼミも、風雅ふうがのゼミも、初日は似たようなものであった。2人とも、下校時間まで本を読んで過ごすのであった。


「今日は本読みだけで一日が終わったわ」

「姉さんのところもかい?こっちもだよ」


 それから数日間、与えられた本を読むだけの日々が続くのであった。


 一方、アハントルト王国王城の宮廷魔道士部屋にるジェイン・バダック宮廷魔道士団長は、


「ううっ、ハナカさんやフウガさんが来ないから書類がまっていく。まだ2人から連絡は来ない。いつから来てくれるだろうか?」


 書類を積み上げて泣き言を言っているのであった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品