仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

戦闘直前の朝

とうとうこの話も100話を超えました。これも皆様のおかげです。ありがとうございます。



 翌朝、早く起きて、花菜香はなか風雅ふうがの学校での様子を聞くかおる


「まだ結果を聞いていない単元はありますが、1年後期までの必修科目はほぼ合格してますから落第はまずありませんわ」

「先生たちに授業をやれって校長先生が」

「先生たちに授業ってどういうこと?」

「あぁ。かおるがサガンガの図書室から発掘した便利魔法、あれを生徒に教えて欲しいって話だったんだけど、先生方も知らない魔法だったらしく、先週まずは先生にって教えたらしい。ちなみに今週は3年生に教える週になっていたらしいんだわ」

「教える側に立つのね。そういう予定があるなら先に言いなさい。今週その時間だけ返してあげる」

「「えっ、本当?」」


 子供たちの成長が嬉しいかおるなのであった。


「これからはここでのこと。花菜香はなか風雅ふうがは、魔物を殺すことは経験があるだろうけれども、人を殺した経験は無いわよね。今日は人を沢山殺すことになるだろうけど、相手は敵だから。ためらってはダメよ」

「はい。お母様」

「分かりました」

「それじゃぁそろそろみんな起き出す時間かな。まずは天幕に行きましょう」


 そうして二郎たちは幹部用の天幕に入っていくのであった。

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 夜間の出来事

*/

 サガンガ王国の魔道士たちが、遠見の魔法で偵察してくれている。他の国も負けてはいられないと思っている。ザガンガ王国、タンザナティア王国、ジルベチア王国、アハントルト王国の魔道士の混成チームが、夜の間に動くことになっている。

 ”またザガンガ王国の魔道士が混じっているじゃねえか”を言うなかれ。ばらせなかったからいたし方ない。

 これから俺達は、”敵の軍の食料などの軍備品の補給ルートが分かっています。あなたは以前に教えた便利魔法が使えます。あなたならどうしますか?”での共通意見。軍事物資をいただきに行くのである。

 この作戦があるからといって、わざわざアソウ魔道士団総長から”隠形おんぎょう”という魔法を教えてもらった。この魔法を唱えると、姿が見えず、気配も消して行動できるらしい。今回の作戦にはピッタリの魔法だ。

 だからといって油断はできない。ほとんどの者が寝静まる、夜中に作戦は実行されるのだ。

 まずはザッテリーニ連邦国侵攻軍の物資保管庫から。まずは隠形おんぎょうを使って姿と気配を消す。そして、夜間の見回りのすきを突いて物資保管庫に侵入。あとは保管庫が空になるまでアイテムボックスの魔法で異空間に物資をドンドン入れていくだけ。そうすると、あらあら不思議。仲間も入れて3巡くらいすると、保管庫の中身はあらあら空っぽ。明日の食事もくなっちゃった!

 物資保管庫が空になり、みな撤収し、中身は西方諸国連合が探してくれた空き倉庫へドンドン取り出す。アイテムボックスの異空間が空になったら今度は敵の補給ルートを回る。

 部隊は常に動いている。行動していたら腹が減る。腹が減ってどんどん食っていったら手持ちの食料が空になる。空にしないためには本国から食料を送る。で、その補給用の食料もいただいちゃおうというわけだ。

 今回は1カ所のみ。今運んでいるのがそこしかないから。

 隠形おんぎょうで、また身を隠し、ゲートで現地入り。見張りの目をかいくぐってドンドンアイテムボックスの魔法の異空間にほおり込みます。

 仲間と3巡くらいしたら馬車の中身が空になったのでゲートで撤収。また空き倉庫にどんどん取り出す。

 仕事をしていたらあっという間に時間が過ぎた。もう野営地に帰って仮眠を取って明日に備えようと思うまる。

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 ザッテリーニ連邦国侵攻軍の朝

*/

 俺はザッテリーニ連邦国軍の料理番だ。他の隊員より早起きして、今日も今日とて朝飯の準備だ。


「トニーお早う」

「お早うジャック。まだ眠いよ」

「いくら続けると朝に慣れるんだい?いい加減シャキッと起きろよ」


 そんなこんなの朝、いつものように朝食を作るために材料を取りに物資保管庫にしているテントに行ったのだが…


「食料どころかテントの中身が空だぞ!」


 騒いでいると、見張りがやって来て、


「お前ら、朝っぱらからうるせぇ!」

「おい!テントの中身空っぽだぞ!朝食どうするんだよ!」

「そんな訳あるか!見回りしていて異常は無かったんだぞ!」

「それじゃぁ中を見てみろよ!」

「あ、ほんまや」


 朝飯がないと困るので他のテントものぞいてみた。


「こ、ここも空か」

「とにかく責任者に連絡してくる!」


 とりあえず俺は物資の管理責任者、ヨーゼフ様の下へ。


「テントの中身が空だぁ?夜も見張りがいるしそんなわけがあるか!」


 怒られた。しかしいくら怒ったとしてもテントの中身は戻らない。


「ウソだと思うなら自分の目で確認してくれ」


 ヨーゼフ様は全部の保管用テントを覗き、


「本当に無くなってる。食料もポーションも薬も包帯も何もかも!」


 ヨーゼフ様は幹部用の天幕に飛んで行き、ブランドル将軍に物資が一晩でくなったことを説明する。


「これから戦いなので調査している時間話無い。後回しだ。各員非常用に持っているはずの携帯食料で朝食を摂れ。水も水筒を持っているはずだから飢えはしないだろう」

「食事は今日だけではありません。明日の食事はどういたしましょう?」

「食事は持っているヤツが軍の目の前にるじゃないか」


 そう言って、ブランドル将軍は、西方諸国連合軍の方を見やる。


「食料のためにも、今日は気合い入れて行けや!」


 俺は天幕には入れなかったが、ヨーゼフ様が、中の様子を教えてくれた。

 そう言われると、勝って腹一杯食えるような気がしてきました。

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