仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

西方諸国連合軍集合

 敵対心旺盛なザッテリーニ連邦国を牽制するためにできた西方諸国連合軍。その初合同練習を成功させるため、魔道士団総長に就任したかおるは、前準備に追われていた。

 一方、本来なら蚊帳の外の二郎も、かおるに頼まれて、かおるとは別行動で初合同練習の準備に取りかかる。二郎は本来なら関わりない人間なので、裏方の仕事をかおるから振られている。

 まずは隊員全員が訓練場所に集合しなければならない。しかし隊員の現在位置は西方諸国全土に散らばっている。

 まずはかおるからもらった資料から、集合場所、合同練習を行う場所に向かう。二郎が憶えている中で一番集合場所に近い場所に行き、そこから浮遊魔法で向かってまず二郎が集合場所にゲートで行けるようにした。

 そして西方諸国連合軍の魔道士団で、ゲートが使えるのがアハントルト王国以外の人間なので、まずは地元、ザガンガ王国の魔道士団から手を着けていく。要は魔道士団のゲートを使える人間が集合場所を憶えれば、各自で現地に行ってくれるのである。魔道士を運ぶときに一緒に騎士団の人間も運んでもらうよう段取りするのも忘れないようにしないと。

 二郎はザガンガ王国の宮廷魔道士だった関係で、サガンガ王国の地方の魔道士団の位置、全てを憶えている。まずはゲートで魔道士団へ行き、「今から行く場所を憶えて」と、そこから魔道士を選んで合同練習の集合場所にゲートで連れて行ったのである。

 それを続けて各支部全地域に集合場所を知っている人間が1人は居るようになった。これをタンザナティア王国、ジルベチア王国でも同じことをするのである。次にタンザナティア王国。二郎はタンザナティア王国王城へ行き、地図をコピーさせてもらい、魔道士の居る場所を教えてもらう。そして、その魔道士が居る一番近くにゲートで向かってそこから飛翔魔法で現地へ向かい、事情を説明して魔道士を1人選んでもらってその人をゲートで合同練習の集合場所に運んで場所を憶えてもらった。

 これを地道にやっていったらザガンガ王国でやったときより5倍も時間がかかったが、何とかタンザナティア王国でも各支部全地域に集合場所を知っている人間が1人は居るようになった。あとはもう1カ国、ジルベチア王国も同じようにするのであった。

 次にアハントルト王国。この国は事情が違う。先に書いたようにここの魔道士にはゲートを含む便利魔法の指導をしていないのだ。なので、アハントルト王国の集合は、まず、準備して各支部に集合してもらう。そこから二郎がゲートの魔法で合同練習を行う場所までつなぐのである。なので、アハントルト王国の国内では、まず、アハントルト王国の王城へ行き、地図をコピーさせてもらい、魔道士の居る場所を教えてもらう。そのとき魔道士や騎士の集合場所を決めてもらう。

 そして二郎は各魔道士支部へ行き、自己紹介、顔合わせ、集合日時と集合場所を伝えて次にゲートの魔法について簡単に説明した。そのとき、「他の国の魔道士は、そんな便利な魔法が使えるんですね」と感心された。ついでに近くの騎士団にも同じ用で顔を出した。

 そうして集合だけの下準備に1ヶ月程かかってしまった。ついでに、1度行ったことによって、どの国のどの支部にも行くことができるようになったのだった。


 そして、その西方諸国連合軍の初合同練習の日が近づいてきた。アハントルト王国の魔道士はゲートが使えないのでもう出発してもらっている。そして、日にちを見計らって、前に決めてもらった予定に沿ってアハントルト王国の魔道士と騎士を順々に練習予定地へ運ぶのであった。

 練習日前々日、各自のゲートで魔道士や騎士が各国から集まってきた。一気に練習場の人数が増えてきた。

 練習場所とはいっても、軍事練習をできるくらいの何も無い場所。なので住む場所、テントの設営からだが、まずは身分が高い人用のものから準備が成されていく。まずはすぐに必要な上官が会議などをするための天幕を張っていく。

 かおるたち幹部は幹部だけで集まって会議を始めた。その間、他の隊員たちは順々に偉い人用からテントを組み立てていき、最後に身分の一番低い、一般の魔道士用の大型テントが張られていく。

 ”住”が整ったら次は”食”。かまどの準備がされて、調理台が出され、昼食用に調理が始まっていく。食事が終わったら、幹部から出された指示を元に、下級隊員にこれからの予定が説明される。ここでアハントルト王国とそれ以外の国とで説明が異なった。それは、先に述べたように魔術師に便利魔法の指導をしていないので、この合同練習で集まったのを良い機会だとして、期間中に便利魔法の指導をすることになったのだ。ちなみにここで学んだ者が地元の魔道士にも教え、便利魔法を全国の魔道士に伝える手はずになっている。これを聞き、アハントルト王国の魔道士は、「これでやっと他の国の魔道士に追い付くことができる」と喜んでいたのであった。


 そんなこんなで2日が過ぎ、合同練習の開始日となった。

 初日ということで、魔道士と騎士、合同での開会式となった。

 騎士団総長、ジリアン・ナイツの長い挨拶の後、魔道士団総長として、かおるが挨拶することとなった。


「先日、魔道士団総長を決めるために各国の筆頭宮廷魔道士が集められ、戦い、そこで勝ち、私は魔道士団総長の座を手に入れました。しかしその大会で私は信じられない現実を突きつけられました。私以外の筆頭宮廷魔道士が、ただの1人も移動しながら魔法を打てなかったのです。ここまで技術に差があるのかと。厳しいようですが、あなたたちは未熟です。なので今日から始まる訓練で少しはましに仕上げたいと思います。なので訓練は厳しくなります。それを心得て真摯しんしに訓練に打ち込んで下さい。以上」

 そうして合同練習は開始されるのであった。

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