仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

サガンガでペーパードライバー教習

”今日も残業ッス”
”お疲れ様”
”さて、残業片付けてさっさと帰りますか”
”頑張ってね”


 ここは王城の宮廷魔道士の部屋。二郎は仕事中である。つい何気にスマホを見たら、日本時代の会社の後輩がツイッターをあげていたので返信した。

 時刻は20時を少し回ったところ。動員人数を減らしてはいるが、遠見の魔法を用いた21時までの夜の警戒はまだ続いていた。もちろん、部下にだけ負担を押しつけるわけにはいかず、二郎もかおるもそれ相応の負担分がある。

 チェックしていると見つけてしまった。酔っ払い同士のケンカである。二郎はゲートの魔法で仲裁に行くのであった。

 21時を回った。最後、チェックをして、


「お疲れ様。そろそろ終わろうか」


 その日は業務終了とした。周りの宮廷魔道士に今日の業務の終了を告げた。みなで帰り支度をして、最後、二郎が部屋の戸締まりをして、宮廷魔道士部屋を出た。

 何気にスマホでツイッターを見た。


”やっと仕事終わった”
”お疲れ様。こっちもやっと終わった”
”ところで先輩、今何の会社に勤めているんですか?”


 二郎は困った。日本に宮廷魔道士という職業は無い。


”日本で言うところの警備会社… かなぁ?”

 ~中略~

”最近寝に行くだけ。その他は仕事。まぁ、繁忙期はんぼうきだから仕方がないんですけどね”
”休みはちゃんとあるだろ?それだけマシじゃないか”
”それで、車を乗ってなくて、すっかりペーパードライバーになりました”
”車、持ってるんだっけ?”
”持ってはいます”
”走らせやすい道を知ってるから今度教えるわ”
”本当ですか?ありがとうございます”


 後輩が繁忙期を抜けた頃、二郎は後輩と休みを合わせて車の練習をすることにした。


「先輩、迎えに来させてしまったすみません」

「いいっていいって。じゃぁ、早速出かけるか」


 後輩、名を半沢はんざわ稲一とういちと言うが、彼の車の運転席に二郎、助手席に後輩を乗せて、出発。


「まずは昼飯と飲み物を用意しないとな」


 二郎はスーパーに寄って、弁当と飲み物を2人分買った。

 その後、ガソリンを満タンに給油して、


「じゃ、早速出かけるか」

「よろしくお願いします」


 二郎は適当に路地に入り、転移魔法を使ってサガンガへ飛んだ。


「な、な、な、何が起こったんですか!?」

「着いたぞ交われ。ここなら道路交通法のしばりもない。存分に練習できるぞ」


 二郎は運転席を後輩と変わって、二郎は助手席に着いた。


「まずは街道沿いを走るか」


 二郎は後輩に指示を出し、車は走り始めた。


「本当に何も無い走りやすい道路ですね」

「だろ?」

「地面がアスファルトでなく土というのも田舎の道路っぽい」

「田舎ついでに馬車も走るから前には注意してくれな」

「馬車ですか!?」


 言っていると、遠くに馬車が見え始めた。


「左側から抜かせば大丈夫だから」

「左側って道じゃないですよね」

「大丈夫。もっと大型の車でも大丈夫だったから。対向車線を抜けるより安全だろ?」


 二郎の指導の甲斐かいあってか、後輩は、馬車を抜かすことができた。


「じゃぁ次。ミラーでの確認の練習」


 二郎は後輩に、ミラーでまわりを見ることを練習させた。


 そうこうしていると、


「あちゃー」


 街に着いてしまった。


「運転ばかりでも味気ないし、観光でもするか?」

「いいですね。田舎町の観光」

「じゃぁ、適当な場所に車を止めて。本当に適当でいいから」 


 後輩は適当に車を止め、鍵をしっかりかけた。


「じゃぁ、収納するね」

「収納って、えっ!」


 車はアイテムボックスに収納された。


「大丈夫。好きなときに取り出せるから」

「へ、へぇー」


 そして、二郎は通訳しながら後輩に街の観光をさせた。

 ついでに昼食にする。買った弁当、無駄になったな。

 適度に休憩して、また車の練習をする。


「ガソリンまだ大丈夫か?」

「あ!もうほとんどありません!」

「仕方ないな。交われ」


 二郎が運転席に乗り、日本へ転移してガソリンスタンドでガソリンを入れる。そしてまたサガンガへ。


「ガソリンは時々チェックしないとな」


 そして着いたのは、シドニーに管理を任せているサガンガの自動車教習所だ。


「ここで細やかな車の練習をする」


 そして、ここでS字カーブ、クランク、縦列駐車などの細かな車の取り扱いについて練習した。


「先輩、結構けっこう勘を取り戻せました」

「うん。それは良かった」


 そして夕暮れ時、二郎は日本へ転移し、後輩の運転で無事、駐車場へ車を止めることができた。


「先輩、今日はありがとうございました。いい練習になりました」

「なに。いいってことよ」


 ここで別れて二郎は家路に就いた。


”先輩、また教習いいですか?”
”運転できるようになったんじゃなかったのか?”
”周りに話したら、自分もやりたいって言う人間が出てきて、断れないッス”
”分った分った。人数にもよるが、引き受けてやるよ”


 後輩の面倒だけを見るだけのつもりが話が大きなことになった。


「しばらく休み、潰れるな」


 ちょっとがっくりくる二郎なのであった。



次は明後日投稿します。

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