仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

サーカスが来た

 魔法師団にはネットワークがある。
 何か異変があれば、いち早くまわりに知らせ、対策を取らせて被害を最小限におさえるためである。
 とは言っても害のあるものだけを知らせるものではない。変わったもの、面白ネタがネットワークに乗り、何もない街では良い娯楽になることもある。

 そんな魔道士団のネットワークに、

”タンザナティア王国方面からサーカス団という集団がサガンガにやって来た”

 という知らせが届いた。

 それを聞いたかおるは、

”サーカスが興行こうぎょうするとお祭り状態になるので、お祭りのときのように警備を強めよ”

 と、返信しておいた。

”サーカスというのはどういったものでしょうか?”

 サガンガ王国に、サーカスがやって来たことはない。サガンガの人間はみな、サーカスを知らないのだ。行って説明することもできるが、これは周囲に拡散した方が良い。かおるはネットワークを通じてサーカスの説明をするのであった。

 二郎は”とうとうサガンガにも娯楽がやって来たか”と感慨かんがい深げだった。


「サーカス団というものがサガンガに入ってきたらしいですね」


 警備隊との定例会議でも、サーカスの話題が出た。


「サーカスというのはどのようなものでしょう?」


 またかおるは、サーカスについて説明をするのであった。


「サーカスが興行こうぎょうすると、お祭り状態になります。サーカスがサガンガニアに入ったら、警備を増やす必要があります」


 ここでもかおるは、警備の重要性をくのであった。ちなみにサガンガニアは王都の名前である。


”お祭り状態になるとは聞いていましたが、あれほどになるとは思っておりませんでした”

”お祭りのときより盛り上がっていました。見かねて我々も警備に当たりましたよ”

 というのが、サーカスが興行こうぎょうされた街々の感想である。やはり街が盛り上がるらしい。


 かおるは宮廷魔法師団のシフトの調整に入った。サーカスがサガンガニアで興行こうぎょうするときに、全員出勤で警備に当たるためである。


 そしてやって来たサーカス団。中央広場で興行こうぎょうしたいと申請され、許可が下りた。

 サーカスはやって来てすぐ興行こうぎょうとはいかない。テントを立てないといけないし、リハーサルも必要だろう。サーカスがやって来てから2週間後、興行こうぎょうするらしい。

 一度に観覧希望者を全員入れられないらしく、4日間興行こうぎょうするらしい。警備隊や宮廷魔道士団はその間、全力で警備に当たるのである。

 1日目は主に貴族が見に行った。特に混乱もなく、その日は終わった。

 これだけ混乱がなければ見に行けたのに。ちぇっ。

 2日目から一般市民が見に行った。出店が立ち並び、やはりお祭り状態となった。開演前、賑やかになったが、特にめ事もなく、お祭りの良い雰囲気だけが中央広場に広がった。

 開演中、静かであった。厄介事の原因が、サーカスに集中しているからである。

 終演。サーカスのテントから続々と人が出てくる。出店もまた活気にあふれる。ここでトラブルが頻発ひんぱつした。宮廷魔道士も出動して街の治安を守る。

 翌日からは、開演前も終演後もトラブルが起きるようになった。やはり警備は手厚くしておいて正解だったようだ。


 そうこうしているうちに、サーカスの興行こうぎょうは終わった。

 1週間もしないうちに片付けが終わり、次の街に移動するらしい。


 警備隊との定例会議で、


「サーカスも警備を厳重にしておいたおかげで、無事、乗り越えることができました」

「いやぁ、あの人混ひとごみはすごかったですな」


 サーカス時の混乱を話す人が多かった。


 その後、二郎は考えていた。サガンガには娯楽が少ない。娯楽をもっと増やすべきではないかと。


 そう考えていると、魔道士団のネットワークに、

”紙芝居屋さんというのが入ってきました”

 という連絡が入ってきた。

”吟遊詩人という人が入ってきました。”

 という連絡も入ってきた。


「俺が動かなくても、外から娯楽がやって来たな」


 そう思う二郎なのであった。



お読み下さりありがとうございます。

ネタがなくなってきました。
これから”connect”とネタが被ることになるかも知れません。

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