仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

魔道具で空へ

また遅れてしまいました。



 思うところがあり、二郎は日本で自転車と、キャブレター方式の250ccバイクを買い、サガンガ王国に持ち込んだ。それを研究部会に持っていった。

 二郎が思った通り、研究部会は自転車とバイクに興味を持ち、譲って欲しいと言われたので、”燃料はてんぷら油じゃないよ”と断ったうえで、買った値段で売却することにした。これでサガンガにも自転車とバイクが走るかも知れない。二郎は喜んだ。


 数日後のある日、二郎とかおるが書類仕事をしていると、とある人物が訪ねてきた。その人の仕事はいわゆる宅配業者。とは言っても自宅から自宅ではなく、窓口から窓口まで。日本で言うところの局留めで配送するようなものである。その宅配業者の言うには、


「前から急ぎの手紙の依頼がありまして、今の配送時間に不満を持っている利用者が一定数ます。そういった人たちは特急料金を上乗せしてでも早く届けたいとおっしゃいます。今代高名な魔法使いであらせられるエリアリアーナ様がいらっしゃいますので、この長年の課題が解決するのではないかと思いまして参上した次第にございます」


 かおるはしばし考え、


「では、こういうのはどうでしょう?私が高速で飛行することのできる魔道具を作りますので、それで飛んでいくという方法です。これなら馬でけるよりも早く目的地に到着することができますわ」

「それはいいですな。して、それを可能にする人員は、どういったものが求められるでしょう?」

「魔道具ですので、魔道具を扱うことができるくらいには魔法の適性が必要になりますわ。魔力は私たちどもが有料で提供しましょう。それでいかがですか?」

「それで結構です。お願いいたします」


 そうして、魔道具の開発費などの費用に関する話を詰めていった。


 家に帰った後、話を詰めていった。


「空を飛ぶなら、やっぱりほうきかな?」

「ほうきはめておいた方がいいわよ。あんなものに乗ったらお股が痛くて数秒もたないわよ」

「じゃぁ、自転車かバイクをモデルにして、必要なところは残して変形させようか。で、魔道具なんて作ったことないんだが、魔道具ってどういうものなんだ?」


 魔法が使える二郎は、それで不便を感じたことがない。かおるに、魔道具について聞いてみた。


「魔道具っていうのは、魔法を使うのに必要な魔力がない人が主に使うのよ。全く魔力のない人もたまにるからその人は魔道具があっても使えないけどね。で、そんな魔力不足な人に、ある特定の動作をさせる専用の器具が魔道具なの」


 かおるが言うには、全く魔力を持たなかったり扱えない人は魔道具があっても使えない。少し魔力を持っていて、扱える人なら魔道具は使用可能。足りない魔力は魔晶石から魔力の補助を受けて、魔道具に埋め込まれた術式をもって魔法が使えるようになるらしい。

 基本的なことが分った二郎は、空を走る道具、空を飛ぶ自転車だからフライングサイクル、フライクルとでも呼ぼうか。フライクルのラフ図面をかおると相談しながら描いた。


 翌日、フライクルの図面を持って、研究部会へ。魔道具なので、魔力を通すことができる素材を使うことと、制作費が出るから請求書をキッチリ書くように厳命しておいた。かおるは魔晶石を買いに行った。


 そして翌日、フライクルのボディーが出来上がった。かおるに魔術刻印をしてもらい、それに魔晶石を固定する。魔力は昨日のうちに満タンにしておいた。運転してみた。うん。分らないね。二郎は自分で浮遊魔法が使える。はっきり言って、どっちを使っているのか分らなかったのだ。

 と、いうことで、宅配業者さんに人を派遣してもらった。場所は王都から出た草原。ナタリーさんというその人は、言われたとおり、フライクルをまず浮かせて、走らせてもらった。最初はおっかなびっくりだったが徐々に慣れてきて、テスト終わりには高速運転が可能になっていた。


「いいですよこれ!荷物運びが早くなります!」


 気に入ってもらえて何よりだ。


 同じものをあと4台作って宅配業者におさめた。


 後日、あの、依頼してきた宅配業者の人がお礼を言いにやって来た。


「まだ近隣の町の慣らし運転ですが、あれ、いいですよ!」

「お気に召してもらったようで何よりです」

「また、何かありましたらよろしくお願いします」


 そして、入れ替わりに研究部会の人がやって来た。


「あの、フライクルでしたか、あれ我々で作って売っていいですか?」

「構いませんよ。どうせ宮廷魔道士うちだけでは作れませんし」


 そうして、その後、研究部会ではフライクルも作り始めた。二郎は思った。


(大丈夫か?あそこ、やっと自動車の量産体制が整って、今、忙しい時期だろうに)


 まぁいっか。よその話だし。自分の問題じゃないから放置する二郎なのであった。

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