仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

ミネルバとカッテリーナの魔法練習と新領地

「また面白そうな魔法が使えるようになったのよ」


 かおるがそう言うので教えてもらう。


「私たちは転移魔法が使えるでしょ?その魔法は『ゲート』って言うんだけど、これも移動のための魔法には違いがないんだけど、開いた門を通るタイプの魔法なのよ。で、転移魔法よりも消費魔力は少ないし、通る間中開きっぱなしにすれば人数制限もないのよ。ね?面白そうでしょ?」


 確かに面白そうなので、『ゲート』の魔法を教わることにした。


     *


「こうやって俺はかおるにいろいろと魔法を教わっているけど、子供たちはどうする?」

「んー。もう少し大きくなってからかな?」

「じゃぁ、とりあえずしばらくは保留で」

「うん。そうね」

「そういえば、ミネルバとカッテリーナって魔法、使えるんだろうか?」

「そういえば聞いたことがないわね」


 ということで、直接本人に聞いてみることにした。


「私は、火種程度しか魔法を使えませんでして…」

「私もそれくらいです」


 どうやら自己評価はギリギリ魔法が使えるだけのレベルのようだ。


「フーエル・レムナント」


 かおるは、魔法で、客観的に、2人の魔力量を見てみる。すると、


「2人とも、中級魔法使いくらいの魔力は持っているわよ」

「え?本当ですか?」

「魔力は持っていても使い方が分らなければ宝の持ち腐れです」

「何なら便利魔法のいくつかを教えるけど、どう?やってみる?」

「はい。お願いします」

「秀才、エリアリアーナに教わるなんて幸運です。是非、お願いします」


 そうして、ミネルバ、カッテリーナはかおるの魔法の弟子となった。


「これで長い距離を歩かずに王城へ行けますぅ~♪」

「これで外出先で簡単なお化粧直しができます~♪」

「別に魔法、使えないわけじゃないじゃない」


 とりあえず、光取りの魔法をいくつかと、フーエル・レムナント、念話、コミュニケーションの魔法、アイテムボックスの魔法、ゲートの魔法を教えたが、かおるの指導法が良かったのか、ミネルバとカッテリーナは割とすんなりとその魔法を習得するのであった。


「ゲートも使えるようになったし、これからたまに、護身用に攻撃魔法を教えるわね」

「「はい。よろしくお願いします」」


     *


 ミネルバとカッテリーナに魔法を教えたのは、今後にとって利点があったからだ。これから先日もらった領地の視察に行く。移動魔法の使い手は多いに越したことはないのであった。


 もらった領地は王都から馬車で1週間程度離れた土地で、元は王族直轄地の一部だったらしい。そこに新たに代官を立て、面倒を見てもらっているのだが、一度自分の目で見てみたかったのだ。


 移動は、二郎かかおるのどちらかが、キャンピングカーで、休みの日に早朝から日が暮れるまで走り、日が暮れると転移で王都の麻宗あそう邸まで戻り、次は前回移動したポイントに転移でキャンピングカーごと運転手を送り、そこからまた領地まで走るという移動方法にした。

 そんな面倒なことをしなくても、転移かゲートで行ければいいのだが、転移は行ったことがない所に飛ぶと、誤差が多かったり、全然違うところに出る危険性があったため、安全策として。これは要練習である。ゲートはそもそも行ったことがない所へは行けない仕様になっている。そこはちょっと不便である。


 そうこうして移動に4日かけて、とうとう到着したもらった領地、アレストバート。領主邸にキャンピングカーで乗り付け、まずは代官に会うことにした。


「新領主のジロウ・アソウです」

「ようこそおいで下さりました。私が代官のアーザガ・ハリゾエッティです」

「忙しい所済まんね」


 このアレストバート、二郎に下賜かしされるのに、わざわざ王族直轄地を分割して、新たにできた領地で、アーザガも新任の代官。アーザガは書類整理やいろいろ多忙な時期であった。


「どうだね、新領地は回していけそうかね?」

「まだ始めて間もない領地のためまだ見通しは立っていませんが、せっかくたまわった大役、しっかりこなしていきますよ」

「その言葉を聞いて安心しました」


 聞けば、この領地、山、平野、海とあり、自然に恵まれ、平野では麦の栽培が盛んで、食糧自給率も100%を超え、少し他領にも売っているらしい。王様もいい領地をくれたものだ。


「たまに様子を見に来ます。それではまた」


 そう言い残し、二郎はこの領地の地図を借りて日本のコンビニでコピーを取り、簡単な視察がてら、領地をキャンピングカーでざっと見て回った。本当に自然豊かだなぁ、この領地。

 領地をざっと見た後は、王都の麻宗あそう邸に戻り、かおる、ミネルバ、カッテリーナのケートが使える人員を、場所を覚えさせるために連れて来て、ゲートで王都の屋敷と領地の屋敷を往復できるか確認した。


「これで好きなときに自然豊かな所で遊べるぞ!」


 二郎は領地をたまわったことを実感し、喜ぶのであった。

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