仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

車の献上

 二郎じろうかおるが宮廷魔道士になって3日目、二人は国王に呼ばれた。

 そして向かったとある会議室に待っていたのは


「二郎君にエリアリアーナ、忙しいところすまんね」


 呼んだアバン国王の他に、薫の父、リチャードお義父様もいた。


「実は二人にお願いがあるんだよ」


 何でも、国王もリチャードお義父様も、車が欲しいらしい。


「車は買ってお渡しできますが、一口に車といってもいろいろ種類がございます。どんな車が良いかいろいろ聞かせていたいただきたいです」


 そして国王とリチャードお義父様への質問タイム。二郎じろうかおるは要望をいろいろ聞いてみた。


     *


 自動車購入会議2日目。希望に添いそうな車のカタログを見せ、どれがいいか国王、リチャードお義父様それぞれに聞いてみる。一応ノートパソコンも持って来た。


「うむ。ワシはこれが気に入ったぞ」

「二郎君、うちはこれね」


 どうやら車は決まったようだ。


「分りました。それでは手配に入らせていただきます」



 国王もリチャードお義父様も選んだのは2ボックスタイプの軽油を使うハイブリッドカー。乗車人数は9人乗り。2人とも車は廃油で走るものだと思っているので購入してから廃油で走らせられるように改造が必須。そこで二郎は、納車までの期間を多めにもらった。
 なので日本に戻って車の購入と改造してくれる自動車整備工に話を通すために日本へ行かなければならない。国王からの依頼なので仕事の方は休みをもらえた。
 今までは日本へ行くときはかおるに転移を任せていたが、あれからかおるに習って二郎は自分で転移できるようになっていた。


「あなた、それじゃぁ車の手配の方はお願いね」


 そう言ってかおるは登城するため出かけた。二郎は交渉のため自らに転移魔法をかけた。


 二郎は車関係の交渉と、その他、急ぎではないもののやっておいた方が良い雑多な仕事を片付けるともう夕方近くになっていた。自らに転移魔法をかけてザガンガ王国の自分の屋敷へ飛んだ。


「旦那様、お帰りなさいませ」


 使用人たちに出迎えられ帰宅。


「奥様、お帰りなさいませ」


 ほどなくしてかおるも帰って来たので軽く情報のすり合わせをした。

 後日、王城の御者にキャンピングカーを使って車の教習をした。この世界に車を運転できる者は少ない。渡してお終いにはできなかったので、御者に教習をしたのだ。何事も先を読んで手を回しておくのは大事だ。


     *


 1ヶ月後、車の準備ができ、二郎はまた休みをもらって廃油で走らせる改造の終わった車を受け取りに行く。一台受け取って物陰に隠れて二郎邸に転移。それをもう一度やって2台が二郎邸にやって来た。

 王様献上用の車を走らせ王城へ。車を駐車場に止めて王に謁見の予約を入れた。できるだけ遅い時間に。

 もう1台の車をバーンクリット邸へ移してから宮廷魔道士の職場で時間を潰し、王との謁見の時間が来たので部屋を移動。すると、今日の執務を全て終えたアバン国王と、パトリシア王妃、パーサー王子にミネルバ、カッテリーナ王女と家族勢揃いで出迎えてくれた。


「おぉ、楽しみにしておったぞ。して、車は準備できたのか?」

「準備ができまして、もう王城に運び入れております。一度乗ってみますか?」

「あぁ、乗ってみるとも。おいお前たち、行くぞ!」


 二郎を先頭に、王族がゾロゾロ王城の玄関へ。王族を少し待たせて玄関へ車を回し、王族にお披露目した。


「これが国王に献上する車にございます」

「「「「「おぉー」」」」」


 王族の方々はそれぞれ物珍しそうに車を眺めた。


「もう乗れるんだよな?」

「はい。これからドライブに行きましょうか?」

「おぉ、楽しみだ。そうしよう」


 運転席に二郎、助手席に王様、後部座席に護衛3人が乗り込んで、真ん中の席に他の王族が乗り込んだ。


「それではお楽しみのドライブに出発!」

「「「「「出発!」」」」」


 城下町では徐行運転をし、門を出ると他の馬車がないのを見計らって徐々にトップスピードへ。


「おぉー速い速い」

「ここまで速度が出るのか!」

「馬車とは比べものにならんな」


 それぞれが感想を言い合い、王族は初めての楽しい時間を過ごした。


「車の運転は御者に教えていまして、あと少し、車の特徴を教えるために練習をさせればもう任せられますのでその後はご自由にお使い下さい」

「うむ。二郎君、ご苦労であった」


 ん?王様、僕のことを二郎君って呼んでたっけ?二郎はそんなことを考えながら、車を引き渡すのであった。


「あとはバーンクリット家への手当てか」


 二郎とかおるは、王族と同じようにバーンクリット家でも同じように車をお披露目した。しかしバーンクリット家では、御者だけでなく、「自分たちも運転してみたい」と、みなが練習したがったので、それだけ手間はかかったが、二人とも嫌な顔をせず、それに付き合うのだった。

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