仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

マグドネヒキシリンの処分方法

 何かのどまで出かかっている。




「あなた」


「何だい?」




 もう少しで答えが出てきそうなのにまだるっこしい。じれったい。




「魔物たちが南下する原因となった、ガーネルザロドロイスの森に山盛りにある毒物、マグドネヒキシリンという名前の毒物なんだけど、」


「それが何?」


「薬にできないかなぁって考えてるの。動く前に二郎に言っておこうと思って」


「分った。危険な物でない限りは協力するよ」


「ありがとう」




 時間、あるだろうか?








 私は二郎とお父様の部屋に向かった。




『失礼します』


『エリアリアーナに二郎君か。登城前なので話なら手短に願うよ』


『ガーネルザロドロイスの森のマグドネヒキシリンについてなんですが』


『あぁ、あれか。あれなら火属性の魔法で焼却処分に決まったよ』




 あの量のマグドネヒキシリンを燃やすには、何人の魔術師が何ヶ月処理に時間を費やさねばならないのだろうか。




『あれを材料に薬ができないかと思いまして』


『何ができるのかね?』


『それが、もう少しでアイデアが出そうなんですが、』


『1週間待とう』


『えっ?』


『1週間待とうと言っている。それでアイデアが出れば聞いてやる。もし、1週間ってもアイデアが出なければ、決定通り焼却処分をする。あれは危険なんだ。あそこに置いておくだけで、森林破壊がどんどん進むんだ』


『お時間をいただきありがとうございます』


『王には私から伝えておく。何か有用な物に代わるといいな』


『お願いします』




 そうしてお父様、お兄様、妹は、城へ向かうのであった。








 子供たちのお守りをステインたちに任せて、図書室へ向かう。




「原料に、主にモヤシスギを使っていたって言ってたから、あのマグドネヒキシリンには火の属性が燃料の方に抽出されて無くなっていて、闇と水の属性が残っていると思うのよね。私も本を探すから、闇の属性か水の属性の薬を見つけたら、声に出して知らせて欲しいの。もう少しでアイデアが出そうで出ないのよ」


「分った。薬の本を探して闇の属性か水の属性の薬を見つけたら、名前を言えばいいんだな」


「うん。お願い」




 そうしてアイデア出しのため、私と二郎は邸宅の図書室にこもった。








 図書室にこもってから4日がつが、マグドネヒキシリンの有効利用方法がまだ見つからない。




「ダルクリド、テトラクルクリド、ザビエシン…」


「ザビエシン?」


「何だ?かおる


「ザビエシン、ザビエシン、ザビエシン、ザビエシン… ちょっとその本見せて」




 私は、二郎が持っていた本を読み始める。もうちょっとで出かかっている。こういうときには本を頭から読むに限る。




「マグドネヒキシリンとブタザエールでザビエトロキシンを精製、ザビエトロキシンを分離してザビエシンとトロトシールを精製すれば… あっ!これイケそう!」


「何か思いついたのか?」


「ちょっとアイデアをまとめてくる!」


「あぁ、分った」




 私は借りている部屋に戻り、アイデアを書き殴った。書き殴って頭の中を整理していく。




「ねぇ、お母さん、何してるの?」


「何かいいアイデアを思いついたみたいだよ。考えがまとまるまで応援してような」


「うん。応援する」


「私も私も」




 私は気付かなかったが、家族に応援されながら、アイデアを煮詰めていった。








『お父様、お兄様、お帰りなさいませ』




 お父様とお兄様が帰ってきた。ちなみに妹はもう帰って来て一緒に出迎えている。




『お父様、マグドネヒキシリンの有用な使い方、思いつきました』


『食後に聞こう』




 夕食後、応接室にみなが集まった。




『で?エリアリアーナ、マグドネヒキシリンから何が出来できるのかね?』


『マグドネヒキシリンとブタザエールでマグドネヒキシリンの解毒剤と成長促進剤が出来できます』


『ブタザエールとはあのどこにでも生える雑草か?』


『はい』


『生成方法を見せなさい。資料は作っているだろう?』




 私は父に今日整理した資料を見せる。




『ふむ。悪くないな。私から王に伝えておく。しかしこれ、エリアリアーナ、お前にしかできないのじゃないか?』


二郎じろうにも教えればできると思います』


『そうか。それなら2人には頑張がんばってもらわないとな』




 胸につかえていたモヤモヤが無くなってスッキリした。


 応接室を辞して部屋に戻る。すると二郎じろうが、




「俺、何やらされるんだ?」


「うん。今から説明するね」




 私は手元に書き留めていた資料を見せ、説明を始めるのであった。

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