仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ
試作したエンジンが動かないよー by 研究部会
旅の目的を経験溜めから魔王捜しにしてから数日後。王へ謁見していた。
『この度、実力を上げる旅から魔王捜しの旅に目標を変えました』
『やっと本来の目的に移りよったか… 長かったのぉ』
王からちょっと嫌みを言われる。
『他のパーティーメンバーはともかく、我々家族はずぶの素人でしたから』
『素人から戦いができるようになるには時間が必要だったのです』
謁見が終わり、武器庫へ寄って、薬倉庫へ寄って… と予定を考えていると、
『おぉ、やっとお会いできました』
やって来たのは以前に会った研究部会の人たちであった。
『エンジンを組み立ててみたのですが、動かないのです』
『それでは、現物も見てみたいので、明日、王城へ来ますので、その時に詳しいお話しを』
と言ってその場は逃げ、武器庫と薬倉庫へ寄って、バーンクリット邸へと帰った。
食事が終わり、作戦会議をすることにする。
『中ボスはいずれも森にいました。魔王もひょっとしたら森に生息しているのかも知れません。森を調べましょう』
『まずはウンザバンテの森に行きましょう。そこでも見つからなければさらに北上して…』
とりあえず、森巡りをすることに決まった。
明くる朝、王城へキャンピングカーで乗り付け、ノートパソコン持参で研究部会を探す。
『おぉ、いらっしゃいましたか。お待ちしておりました』
周りの人に研究部会の部屋を聞きつつ向かっていると、あちらから声をかけられた。
『あなた方のエンジンをまるっとそのまま完全コピーしたのですが、全く動かないのです』
どうやらキャンピングカーのエンジンをそのままコピーしたらしい。セルモーターまで再現されている。
『弁を付けたのですが、それが全く仕事をしないのです』
そこまで分ってるなら自分たちで何とかしろよと思いながら、動かない理由が分った。
『我々のキャンピングカーに付いているエンジンは電子制御式と言って、ちょっと高度なものなのですよ。単体で動くようにしたいなら、一世代昔のカムシャフト式がいいのではないですか?』
俺はノートパソコンを開いて、カムシャフト式を説明する。
『こちらなら弁も動きますし、エンジン自体も動くと思います。上の方だけ交換すれば大丈夫なので下は流用できますよ』
『おぉ。ご指導ありがとうございます。その通りにやってみます』
説明を済ませると、もうこちらの様子は全然気にしない様子で、放ったらかしにされる。よほど研究して何とか動かしたいようだ。
『それと…』
『まだ何かあるのですか?』
今まで放ったらかしにしておいたのに、声をかけるとこちらに注目する。俺はそのまま続ける。
『バッテリーも見てもらった方がいいかも知れません』
と言って、キャンピングカーの鉛蓄電池を取り出し、こちらを解析させ、解析が終わるとまた元に戻す。
『とりあえず、今教えられることは以上です。実験が成功することを祈っております』
『おぉ。ありがとうございます』
こちらから気がそれたようなので、お暇することにする。
*
勇者一行とすれ違う。なんとまぁ口惜しいこと!
私はカッテリーナ・ルイジアンヌ。このザガンガ王国の第二王女。最初の頃は、勇者様がイイ男なら積極的にアプローチしちゃうんだから♪ なんて思ってたけど、今はそんな気も起きない。
『勇者の奥さんがエリアリアーナ・バーンクリットですって?』
あれは2年前、王妃に直に勇者一行から報告されたらしい。
エリアリアーナ・バーンクリット。周りに秀才、天才児と、将来有望、王国随一の魔術師になると言われた彼女は、兄弟げんかの末、行方不明になった。
『秀才、エリアリアーナ・バーンクリットなんて、私が敵うわけないじゃない。ちぇ』
一応ルイジアンヌ家が国を担う役目をしているが、力関係でいえばバーンクリット家の方が上。バーンクリット家が研究バカでなかったなら、バーンクリット家から国王が出ていたでしょう。
『結婚したら、私が第二夫人になるじゃない!』
第二夫人になるくらいなら、私は諦めよう。ちぇ。結構イイ男だったのになぁ。
『ここは気持ちを切り替えて、いい男を探すんだから!』
とは言ったものの、家格が合う人間なんて、皆、もう顔なじみである。これから出会いを求めるなんて、到底無理な話である。
『ハァ』
一つため息を吐き、トボトボと自分の部屋を目指すのでした。
*
勇者一行とすれ違う。どこをどうやって攻めようかしら。
私はミネルバ・ルイジアンヌ。このザガンガ王国の第一王女。いますれ違った勇者様との結婚もやぶさかではない。
『ほほぉ。勇者と一緒にいたあの奥さんがエリアリアーナ・バーンクリットだったのですか』
あれは2年前、王妃に直に勇者一行から報告されたらしい。
エリアリアーナ・バーンクリット。周りに秀才、天才児と、将来有望、王国随一の魔術師になると言われた彼女は、兄弟げんかの末、行方不明になった。
そんな慧眼の持ち主なら、きっと頭も良いに違いない!
一応ルイジアンヌ家が国を担う役目をしているが、力関係でいえばバーンクリット家の方が上。バーンクリット家が研究バカでなかったなら、バーンクリット家から国王が出ていたでしょう。
『結婚したら、私が第二夫人になるわね。でも、あのバーンクリットが相手と言われれば、誰も文句は言わないでしょう。どうやって彼をおとそうかしら♪』
ミネルバの頭の中は、どうやって麻宗二郎をおとそうか、必死で考えていた。
『姫様前を向いて下さい。それでは柱にぶつかります!』
おっと、考えに集中していたらうっかり柱にぶつかるところだったわ。しかし、何かきっかけはないものかしら。
2年間の間に何度か勇者一行とすれ違っているが、一向にアプローチさえ叶わない。
『声をかけるのさえ叶わないのね。前途多難だわ』
そうしてまた考え込み、壁にぶつかるミネルバであった。
*
そんなこんなでウンザバンテの森に入ってから4日が過ぎ、討伐は順調に進んでいた。
『今日の討伐も順調ですね』
『それではもう少し奥まで行きましょうか』
カーライルとアンリエッタがそんなことを話ながら、一行は奥へ奥へと進んだ。
奥へ進んでしばし、視力を強化していたメンドローサが、
『前方に巨大な敵発見!敵に見つかりました。避けられません。相手は白旗を掲げています!こちらに向かって走ってやって来ます!』
『白旗ってこっちではどういう意味なんだ?』
気になったので聞いてみる。
『戦う気がない。話を聞いて欲しいときに掲げます』
つまり、不意打ち狙いでもない限り、戦うことはないって事だろう。
『警戒はしつつ、とりあえず、話を聞いてみよう』
『こちらは戦う気はありませーん!魔法を打たないで下さーい!』
そう言いながら、巨大な魔物は走ってやって来る。とりあえず、話はできるようだ。ちょっと距離を保ちつつ、相手の話を聞くことにした。
『私はアンドレシロシウス。父から魔王の地位を受け継いだ者です』
『まぁ、魔王は世襲制だったのですね』
妙なところで相づちを打つメンドローサ。
『5年前から北の方から木々が枯れ、川は汚れ、土は汚れて食料にしていた木々や木の実が採れなくなり、徐々に一族は南に南下していきました』
それで?と先を促す。
『しかし、南は人間の住処でした。元々我々は人々から恐れられていました。姿を見せる度に攻撃を受けるようになりました。魔物と人間の言葉は違います。人間の言葉が話せるのは私くらいでしょう。話し合いもできないまま、多くの仲間は人間に殺されました』
それで、どうしたいの?と先を促す。
『このままでは我々は絶滅してしまいます!何とか人間と共存できる道は無いものでしょうか?』
いきなり討伐対象に共存したいと申し出されてしまった。
『それでは、人間代表の国王と話してきます。アンドレシロシウスはこの森の奥に居て下さい。結果をお教えするなり、何か対応致します』
『おぉ、ありがとうございます』
俺たちは森を出、薫に王へ手紙を出してもらった。
”とある森で魔王と遭遇。しかし、魔王は人間との共存を希望。至急戻り、話し合いたく思う。 勇者一行”
『話し合いが穏便に進むといいがなぁ』
王の出方次第では、どう話が転ぶか分らない。不安に駆られる勇者一行であった。
『この度、実力を上げる旅から魔王捜しの旅に目標を変えました』
『やっと本来の目的に移りよったか… 長かったのぉ』
王からちょっと嫌みを言われる。
『他のパーティーメンバーはともかく、我々家族はずぶの素人でしたから』
『素人から戦いができるようになるには時間が必要だったのです』
謁見が終わり、武器庫へ寄って、薬倉庫へ寄って… と予定を考えていると、
『おぉ、やっとお会いできました』
やって来たのは以前に会った研究部会の人たちであった。
『エンジンを組み立ててみたのですが、動かないのです』
『それでは、現物も見てみたいので、明日、王城へ来ますので、その時に詳しいお話しを』
と言ってその場は逃げ、武器庫と薬倉庫へ寄って、バーンクリット邸へと帰った。
食事が終わり、作戦会議をすることにする。
『中ボスはいずれも森にいました。魔王もひょっとしたら森に生息しているのかも知れません。森を調べましょう』
『まずはウンザバンテの森に行きましょう。そこでも見つからなければさらに北上して…』
とりあえず、森巡りをすることに決まった。
明くる朝、王城へキャンピングカーで乗り付け、ノートパソコン持参で研究部会を探す。
『おぉ、いらっしゃいましたか。お待ちしておりました』
周りの人に研究部会の部屋を聞きつつ向かっていると、あちらから声をかけられた。
『あなた方のエンジンをまるっとそのまま完全コピーしたのですが、全く動かないのです』
どうやらキャンピングカーのエンジンをそのままコピーしたらしい。セルモーターまで再現されている。
『弁を付けたのですが、それが全く仕事をしないのです』
そこまで分ってるなら自分たちで何とかしろよと思いながら、動かない理由が分った。
『我々のキャンピングカーに付いているエンジンは電子制御式と言って、ちょっと高度なものなのですよ。単体で動くようにしたいなら、一世代昔のカムシャフト式がいいのではないですか?』
俺はノートパソコンを開いて、カムシャフト式を説明する。
『こちらなら弁も動きますし、エンジン自体も動くと思います。上の方だけ交換すれば大丈夫なので下は流用できますよ』
『おぉ。ご指導ありがとうございます。その通りにやってみます』
説明を済ませると、もうこちらの様子は全然気にしない様子で、放ったらかしにされる。よほど研究して何とか動かしたいようだ。
『それと…』
『まだ何かあるのですか?』
今まで放ったらかしにしておいたのに、声をかけるとこちらに注目する。俺はそのまま続ける。
『バッテリーも見てもらった方がいいかも知れません』
と言って、キャンピングカーの鉛蓄電池を取り出し、こちらを解析させ、解析が終わるとまた元に戻す。
『とりあえず、今教えられることは以上です。実験が成功することを祈っております』
『おぉ。ありがとうございます』
こちらから気がそれたようなので、お暇することにする。
*
勇者一行とすれ違う。なんとまぁ口惜しいこと!
私はカッテリーナ・ルイジアンヌ。このザガンガ王国の第二王女。最初の頃は、勇者様がイイ男なら積極的にアプローチしちゃうんだから♪ なんて思ってたけど、今はそんな気も起きない。
『勇者の奥さんがエリアリアーナ・バーンクリットですって?』
あれは2年前、王妃に直に勇者一行から報告されたらしい。
エリアリアーナ・バーンクリット。周りに秀才、天才児と、将来有望、王国随一の魔術師になると言われた彼女は、兄弟げんかの末、行方不明になった。
『秀才、エリアリアーナ・バーンクリットなんて、私が敵うわけないじゃない。ちぇ』
一応ルイジアンヌ家が国を担う役目をしているが、力関係でいえばバーンクリット家の方が上。バーンクリット家が研究バカでなかったなら、バーンクリット家から国王が出ていたでしょう。
『結婚したら、私が第二夫人になるじゃない!』
第二夫人になるくらいなら、私は諦めよう。ちぇ。結構イイ男だったのになぁ。
『ここは気持ちを切り替えて、いい男を探すんだから!』
とは言ったものの、家格が合う人間なんて、皆、もう顔なじみである。これから出会いを求めるなんて、到底無理な話である。
『ハァ』
一つため息を吐き、トボトボと自分の部屋を目指すのでした。
*
勇者一行とすれ違う。どこをどうやって攻めようかしら。
私はミネルバ・ルイジアンヌ。このザガンガ王国の第一王女。いますれ違った勇者様との結婚もやぶさかではない。
『ほほぉ。勇者と一緒にいたあの奥さんがエリアリアーナ・バーンクリットだったのですか』
あれは2年前、王妃に直に勇者一行から報告されたらしい。
エリアリアーナ・バーンクリット。周りに秀才、天才児と、将来有望、王国随一の魔術師になると言われた彼女は、兄弟げんかの末、行方不明になった。
そんな慧眼の持ち主なら、きっと頭も良いに違いない!
一応ルイジアンヌ家が国を担う役目をしているが、力関係でいえばバーンクリット家の方が上。バーンクリット家が研究バカでなかったなら、バーンクリット家から国王が出ていたでしょう。
『結婚したら、私が第二夫人になるわね。でも、あのバーンクリットが相手と言われれば、誰も文句は言わないでしょう。どうやって彼をおとそうかしら♪』
ミネルバの頭の中は、どうやって麻宗二郎をおとそうか、必死で考えていた。
『姫様前を向いて下さい。それでは柱にぶつかります!』
おっと、考えに集中していたらうっかり柱にぶつかるところだったわ。しかし、何かきっかけはないものかしら。
2年間の間に何度か勇者一行とすれ違っているが、一向にアプローチさえ叶わない。
『声をかけるのさえ叶わないのね。前途多難だわ』
そうしてまた考え込み、壁にぶつかるミネルバであった。
*
そんなこんなでウンザバンテの森に入ってから4日が過ぎ、討伐は順調に進んでいた。
『今日の討伐も順調ですね』
『それではもう少し奥まで行きましょうか』
カーライルとアンリエッタがそんなことを話ながら、一行は奥へ奥へと進んだ。
奥へ進んでしばし、視力を強化していたメンドローサが、
『前方に巨大な敵発見!敵に見つかりました。避けられません。相手は白旗を掲げています!こちらに向かって走ってやって来ます!』
『白旗ってこっちではどういう意味なんだ?』
気になったので聞いてみる。
『戦う気がない。話を聞いて欲しいときに掲げます』
つまり、不意打ち狙いでもない限り、戦うことはないって事だろう。
『警戒はしつつ、とりあえず、話を聞いてみよう』
『こちらは戦う気はありませーん!魔法を打たないで下さーい!』
そう言いながら、巨大な魔物は走ってやって来る。とりあえず、話はできるようだ。ちょっと距離を保ちつつ、相手の話を聞くことにした。
『私はアンドレシロシウス。父から魔王の地位を受け継いだ者です』
『まぁ、魔王は世襲制だったのですね』
妙なところで相づちを打つメンドローサ。
『5年前から北の方から木々が枯れ、川は汚れ、土は汚れて食料にしていた木々や木の実が採れなくなり、徐々に一族は南に南下していきました』
それで?と先を促す。
『しかし、南は人間の住処でした。元々我々は人々から恐れられていました。姿を見せる度に攻撃を受けるようになりました。魔物と人間の言葉は違います。人間の言葉が話せるのは私くらいでしょう。話し合いもできないまま、多くの仲間は人間に殺されました』
それで、どうしたいの?と先を促す。
『このままでは我々は絶滅してしまいます!何とか人間と共存できる道は無いものでしょうか?』
いきなり討伐対象に共存したいと申し出されてしまった。
『それでは、人間代表の国王と話してきます。アンドレシロシウスはこの森の奥に居て下さい。結果をお教えするなり、何か対応致します』
『おぉ、ありがとうございます』
俺たちは森を出、薫に王へ手紙を出してもらった。
”とある森で魔王と遭遇。しかし、魔王は人間との共存を希望。至急戻り、話し合いたく思う。 勇者一行”
『話し合いが穏便に進むといいがなぁ』
王の出方次第では、どう話が転ぶか分らない。不安に駆られる勇者一行であった。
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