仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ
王族への報告
薫が実家へ帰省したものの、家族には会えず、代わりにおじに会ったその後、薫の素性を王族に伝えるため、一路王城へと向かった。
『勇者様ご一行、いらしゃいませ』
しばらく風呂に入っていないため、王族に謁見する前に風呂に入りたい旨を伝える。
客室に通され、お茶とお菓子を出され、我が家のようにくつろぐ麻宗家一行。ちなみにカーライルたちは他の部屋をあてがわれている。
風呂に入って頭を乾かす。やはり結構汚れていたようで、ごっそりと汚れが落ちた。子供たちの世話をカーライルたちに任せっぱなしだったため、久々に世話を焼く。その間薫は化粧をする。
準備が整ったので、カーライルたちに準備状況を聞いてみる。あちらも大丈夫なようだ。
なので、城の従者に準備ができたことを伝える。
しばし待たされ、
『謁見の間へお越し下さい』
お声がかかった。
『勇者様のおなーりー』
謁見の間へ入ってみると、そこに居たのは王ではなかった。女性であった。
礼をしたまま王族の言葉を待つ。
『頭をお上げ下さい』
了解を得たので頭を上げる。
『私はパトリシア・ルイジアンヌ。王妃である』
王妃様だった。
『して、今回は何用だ?』
『私の妻、薫についてですが、思い出したことを伝えに参上しました』
薫は、兄弟げんかで、文化も言葉も分らない、異世界日本に飛ばされ、孤児として苦労したこと、あちらでは薫と名づけられたこと、俺と結婚して2児のママになったことを伝え、
『私の本名は、エリアリアーナ・バーンクリットと申します』
薫が名を告げた瞬間、王妃の顔が凍り付いた。周りも顔を見合わせている。
『そ、そなた、エリアリアーナと申したか』
『はい、左様です』
『…秀才エリアリアーナが異世界から戻って来よったか』
…うちの妻、秀才だったんだ。
『報告は以上か?』
『はい』
『それでは、もう遅い。今日は泊まっていくがよい』
『ありがとうございます』
『それに、城の図書館は出入り自由とする。読みたいときは城の者に伝えよ』
『ありがとうございます』
俺たちは客間へ戻り、一休みする。お茶菓子が美味しい。
しばらくして、
『お客様がお見えです』
客?俺たちに?誰だろう。
ドアが開いた瞬間、
『お姉様!』
薫によく似た女性が薫に突進してきてそのまま抱きついた。
『アヴァリンですか?』
『はい。お久しゅうございます。アヴァリンです。よくご無事で…』
アヴァリンという女性は目に涙を浮かべている。
『私のせいで、ご苦労なさったそうで、申し訳ございませんでした』
そのままアヴァリンという女性は薫に抱きつきながら、泣いた。
ひとしきり泣いたと、薫から離れ、
『私はアヴァリン・バーンクリット、エリアリアーナお姉様の妹でございます』
『私は夫の二郎、こちらが長女の花菜香、こちらが長男の風雅だ』
『まぁ、お姉様、あちらでご結婚なさったのですか?』
『えぇ。今では、夫、二郎は勇者と呼ばれ、ただ今家族で魔王退治に向けて、日々鍛錬の日々です』
『あら、そうだったのですか』
『夫が召還されなければ、私は記憶を失ったまま、こちらに戻ってくることはなかったのですよ』
その後、アヴァリンさんにも座っていただき、家族と他愛もない話しをする。
『屋敷にお寄りになったのですか?』
『えぇ、シンロブモントおじさまと、セバテベスしか、馴染みの者は居ませんでしたけど』
そうか。お屋敷で会ったおじさまは、シンロブモントという名前なのか。覚えておこう。
『それは時期が悪うございました。今、父上と兄上たちは、ビッグゴスゴリルが目撃された、クロッドキューブの森に討伐に出ております』
『…昨日、私、ビッグゴスゴリルを倒したのですが、ビッグゴスゴリルというのはいっぱいいるのですか?』
『いいえ、ビッグゴスゴリルはこの世に一体だけ、魔王直属の部下でございます。 …ん?倒した?』
………
……
…
『えぇぇーーー!!!』
何でも、ビッグゴスゴリルは、この世に4体しかいない、魔王直属の部下の1体なのだそうだ。俺たちはこの4体を全て倒し、力をまた付けて、魔王に立ち向かわなければならないのだそうだ。
…まぁ、俺たちは、薫1人の手柄で、そのうちの1体を既に倒しちゃったわけだけど。
アヴァリンお嬢様は、すぐに手紙を書き始め、魔法でミニチュア飛行機を出し、それに手紙を入れ、空に飛ばした。
『これでお父様方は早めに帰って来ますわ。しかしまぁ、帰って来て早々、ビッグゴスゴリルを倒すとは思ってもみませんでしたわ』
あの飛行機はお貴族様の連絡手段のようだ。
『あら、お返事かしら?』
しばらくして、飛行機が帰って来た。飛行機は、アヴァリンお嬢様の元で止まり、手紙を取り出すと、飛行機は跡形もなく消えた。
『お父様も兄上も、お姉様のお帰りを喜んでおいでのようですわ。ビッグゴスゴリルが討伐された以上、討伐対象がもう居ないわけですから、討伐隊は引き返すそうです。お父様のお帰りも早まりますわ』
アヴァリンお嬢様は、にこやかに笑った。そして、
『あら、いけない。もうお時間のようですわ。戻らなくては。お姉様もお気軽にお屋敷にお立ち寄り下さいな。それでは近いうちにまた会いましょう。今日はこれで失礼します』
アヴァリンお嬢様は帰っていった。
そしてその後はメシを食って寝た。
*
『勇者ご一行は様々は不思議な道具をお持ちですな』
『実に興味深いものですな』
ここはザガンガ王国の研究者のとある会議室。様々な研究をしている者たちが定例会議をしているのである。
『研究してこちらで作れないものですかな』
『作れるようになれば、この国も、さらに発展するやも知れませんな』
会議中、緊急の知らせが入ってきた。
『会議中だぞ。何用だ?』
『今入った情報によりますと、勇者様の奥様、薫様は実は、行方不明だったバーンクリット公爵家のご令嬢、エリアリアーナ・バーンクリット様であるとのことです』
『秀才エリアリアーナ・バーンクリット様だと!それはまことか』
『はい。王妃様からのお知らせにございます』
『分った。下がれ』
『はっ』
伝令は下がり、会議室には沈黙が走った。1人の男によって沈黙は破られる。
『勇者様ご一行にバーンクリット家のご令嬢が居るということは好都合ですな』
『というと?』
『対象は違えどもあちらも研究者。こちらの意図をくみ取り、いろいろと協力してくれるのではないかと思ったのです』
『『おぉー』』
その後も会議は落ち着いた雰囲気で進んだ。変わった物を持っているとは言われても、実際に使ったところを見た者は居ない。なので具体的な話は進まない。それぞれに夢の道具を思い描き、都合の良い絵空事を並べてその日の会議は終了したのだった。
*
「今日も天気だ空気がうまい!」
やはり家族では1番に目の覚めてしまった二郎。スマホをチェックする。うん。夕刻の神隠し事件はさらに尾ひれ、背びれを増やしてさらに大きくなっている。ネットでは、被害者として、まるで別人の名前があがっている。うん、誰の話だ?これ?
次に薫が目を覚ます。やはりスマホを弄る。
「ネットも変わりないようね。でも、夕刻の神隠し事件は変わったことになっているわね」
「薫もそう思うか。そうだよな」
俺たちが身支度を調えると、
「パパ、ママ、おはよう」
2人の子供も起き出す。
子供2人の身支度も済ませると、
『勇者ご一行様、朝食の準備が整いました』
俺たちは朝食へ向かった。
『遠いので飛ばしても大丈夫ですよ』
俺たちはパーティーメンバーと合流し、食料を買い込み、カーライルの案内で一路魔法の訓練ができそうな場所に向かっていた。
そこは見晴らす限りの荒れ地で、人っ子1人居ない。
『ここなら誰も用がありませんし人も寄りつきません。ここなら気兼ねなく、特大魔法の練習に最適です』
『いきなり初心者にそんな危ない魔法、教えないわよ。失礼ね』
…家族は適性もあるかどうか分らない初心者。そんな者が高度な魔法が使えるわけがない。いつもは適切に物事を決められるのに、そんなことも失念しているカーライルであった。
『勇者様ご一行、いらしゃいませ』
しばらく風呂に入っていないため、王族に謁見する前に風呂に入りたい旨を伝える。
客室に通され、お茶とお菓子を出され、我が家のようにくつろぐ麻宗家一行。ちなみにカーライルたちは他の部屋をあてがわれている。
風呂に入って頭を乾かす。やはり結構汚れていたようで、ごっそりと汚れが落ちた。子供たちの世話をカーライルたちに任せっぱなしだったため、久々に世話を焼く。その間薫は化粧をする。
準備が整ったので、カーライルたちに準備状況を聞いてみる。あちらも大丈夫なようだ。
なので、城の従者に準備ができたことを伝える。
しばし待たされ、
『謁見の間へお越し下さい』
お声がかかった。
『勇者様のおなーりー』
謁見の間へ入ってみると、そこに居たのは王ではなかった。女性であった。
礼をしたまま王族の言葉を待つ。
『頭をお上げ下さい』
了解を得たので頭を上げる。
『私はパトリシア・ルイジアンヌ。王妃である』
王妃様だった。
『して、今回は何用だ?』
『私の妻、薫についてですが、思い出したことを伝えに参上しました』
薫は、兄弟げんかで、文化も言葉も分らない、異世界日本に飛ばされ、孤児として苦労したこと、あちらでは薫と名づけられたこと、俺と結婚して2児のママになったことを伝え、
『私の本名は、エリアリアーナ・バーンクリットと申します』
薫が名を告げた瞬間、王妃の顔が凍り付いた。周りも顔を見合わせている。
『そ、そなた、エリアリアーナと申したか』
『はい、左様です』
『…秀才エリアリアーナが異世界から戻って来よったか』
…うちの妻、秀才だったんだ。
『報告は以上か?』
『はい』
『それでは、もう遅い。今日は泊まっていくがよい』
『ありがとうございます』
『それに、城の図書館は出入り自由とする。読みたいときは城の者に伝えよ』
『ありがとうございます』
俺たちは客間へ戻り、一休みする。お茶菓子が美味しい。
しばらくして、
『お客様がお見えです』
客?俺たちに?誰だろう。
ドアが開いた瞬間、
『お姉様!』
薫によく似た女性が薫に突進してきてそのまま抱きついた。
『アヴァリンですか?』
『はい。お久しゅうございます。アヴァリンです。よくご無事で…』
アヴァリンという女性は目に涙を浮かべている。
『私のせいで、ご苦労なさったそうで、申し訳ございませんでした』
そのままアヴァリンという女性は薫に抱きつきながら、泣いた。
ひとしきり泣いたと、薫から離れ、
『私はアヴァリン・バーンクリット、エリアリアーナお姉様の妹でございます』
『私は夫の二郎、こちらが長女の花菜香、こちらが長男の風雅だ』
『まぁ、お姉様、あちらでご結婚なさったのですか?』
『えぇ。今では、夫、二郎は勇者と呼ばれ、ただ今家族で魔王退治に向けて、日々鍛錬の日々です』
『あら、そうだったのですか』
『夫が召還されなければ、私は記憶を失ったまま、こちらに戻ってくることはなかったのですよ』
その後、アヴァリンさんにも座っていただき、家族と他愛もない話しをする。
『屋敷にお寄りになったのですか?』
『えぇ、シンロブモントおじさまと、セバテベスしか、馴染みの者は居ませんでしたけど』
そうか。お屋敷で会ったおじさまは、シンロブモントという名前なのか。覚えておこう。
『それは時期が悪うございました。今、父上と兄上たちは、ビッグゴスゴリルが目撃された、クロッドキューブの森に討伐に出ております』
『…昨日、私、ビッグゴスゴリルを倒したのですが、ビッグゴスゴリルというのはいっぱいいるのですか?』
『いいえ、ビッグゴスゴリルはこの世に一体だけ、魔王直属の部下でございます。 …ん?倒した?』
………
……
…
『えぇぇーーー!!!』
何でも、ビッグゴスゴリルは、この世に4体しかいない、魔王直属の部下の1体なのだそうだ。俺たちはこの4体を全て倒し、力をまた付けて、魔王に立ち向かわなければならないのだそうだ。
…まぁ、俺たちは、薫1人の手柄で、そのうちの1体を既に倒しちゃったわけだけど。
アヴァリンお嬢様は、すぐに手紙を書き始め、魔法でミニチュア飛行機を出し、それに手紙を入れ、空に飛ばした。
『これでお父様方は早めに帰って来ますわ。しかしまぁ、帰って来て早々、ビッグゴスゴリルを倒すとは思ってもみませんでしたわ』
あの飛行機はお貴族様の連絡手段のようだ。
『あら、お返事かしら?』
しばらくして、飛行機が帰って来た。飛行機は、アヴァリンお嬢様の元で止まり、手紙を取り出すと、飛行機は跡形もなく消えた。
『お父様も兄上も、お姉様のお帰りを喜んでおいでのようですわ。ビッグゴスゴリルが討伐された以上、討伐対象がもう居ないわけですから、討伐隊は引き返すそうです。お父様のお帰りも早まりますわ』
アヴァリンお嬢様は、にこやかに笑った。そして、
『あら、いけない。もうお時間のようですわ。戻らなくては。お姉様もお気軽にお屋敷にお立ち寄り下さいな。それでは近いうちにまた会いましょう。今日はこれで失礼します』
アヴァリンお嬢様は帰っていった。
そしてその後はメシを食って寝た。
*
『勇者ご一行は様々は不思議な道具をお持ちですな』
『実に興味深いものですな』
ここはザガンガ王国の研究者のとある会議室。様々な研究をしている者たちが定例会議をしているのである。
『研究してこちらで作れないものですかな』
『作れるようになれば、この国も、さらに発展するやも知れませんな』
会議中、緊急の知らせが入ってきた。
『会議中だぞ。何用だ?』
『今入った情報によりますと、勇者様の奥様、薫様は実は、行方不明だったバーンクリット公爵家のご令嬢、エリアリアーナ・バーンクリット様であるとのことです』
『秀才エリアリアーナ・バーンクリット様だと!それはまことか』
『はい。王妃様からのお知らせにございます』
『分った。下がれ』
『はっ』
伝令は下がり、会議室には沈黙が走った。1人の男によって沈黙は破られる。
『勇者様ご一行にバーンクリット家のご令嬢が居るということは好都合ですな』
『というと?』
『対象は違えどもあちらも研究者。こちらの意図をくみ取り、いろいろと協力してくれるのではないかと思ったのです』
『『おぉー』』
その後も会議は落ち着いた雰囲気で進んだ。変わった物を持っているとは言われても、実際に使ったところを見た者は居ない。なので具体的な話は進まない。それぞれに夢の道具を思い描き、都合の良い絵空事を並べてその日の会議は終了したのだった。
*
「今日も天気だ空気がうまい!」
やはり家族では1番に目の覚めてしまった二郎。スマホをチェックする。うん。夕刻の神隠し事件はさらに尾ひれ、背びれを増やしてさらに大きくなっている。ネットでは、被害者として、まるで別人の名前があがっている。うん、誰の話だ?これ?
次に薫が目を覚ます。やはりスマホを弄る。
「ネットも変わりないようね。でも、夕刻の神隠し事件は変わったことになっているわね」
「薫もそう思うか。そうだよな」
俺たちが身支度を調えると、
「パパ、ママ、おはよう」
2人の子供も起き出す。
子供2人の身支度も済ませると、
『勇者ご一行様、朝食の準備が整いました』
俺たちは朝食へ向かった。
『遠いので飛ばしても大丈夫ですよ』
俺たちはパーティーメンバーと合流し、食料を買い込み、カーライルの案内で一路魔法の訓練ができそうな場所に向かっていた。
そこは見晴らす限りの荒れ地で、人っ子1人居ない。
『ここなら誰も用がありませんし人も寄りつきません。ここなら気兼ねなく、特大魔法の練習に最適です』
『いきなり初心者にそんな危ない魔法、教えないわよ。失礼ね』
…家族は適性もあるかどうか分らない初心者。そんな者が高度な魔法が使えるわけがない。いつもは適切に物事を決められるのに、そんなことも失念しているカーライルであった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
4112
-
-
3395
-
-
3
-
-
4
-
-
4503
-
-
1168
-
-
157
-
-
755
-
-
1359
コメント