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葵雪(きせつ)さんちのご長男っ!〜キョウダイ同士で結婚できると発表された次の日から四姉妹のアプローチが凄い件について

柏木イズモ

第7話 学園での葵雪家〜主に四女(冬羽)

「すりすり〜」

「無」

 私は今、何を見せつけられているのだろうか。
 兄さんの腕に秋奈お姉ちゃんがくっついている。これはいつものことだ。問題はその格好・・である。
 秋奈お姉ちゃんは兄さんの膝に座り、兄さんの首に手を回している。言うならば座りお姫様抱っこだ。

「フユ、顔が怖いよ」

「頼先輩は逆によく平然といれますね」

「まぁー」

「?」

「慣れたね」

「すいません……」

「慣れたね」

「ほんと、すいません……」

 どこか遠い目をしている頼先輩にとりあえずひたすら謝った。

「はーい、アキ、後輩くんそこまで。神聖なる生徒会室でイチャイチャしなーい」

 手をパンパンと叩き、そう注意する頼先輩。私だけでは手に負えないので有難い。

「いや俺、なんもしてないですよ、師匠」

「頼ちゃ〜ん。秋奈ちゃんはしー君成分を摂取中だよ〜」

「しー君成分?」

「会長もとい秋奈ねぇの体内成分の99パーセントを占めているらしいですよ。本人曰く不足したら死ぬとか」

「それ、本当そうだから無理に注意できないなー…」

 確かに本当そう。でも注意しないと会議が始まらない…。

「も、もうっ!秋奈お姉ちゃん!」

「ごめん、ごめんー。冬羽ちゃん怒らないで〜」

 秋奈お姉ちゃんはそう謝ると、兄さんから離れて自分の席へと座った。

「こほんっ。じゃあ例の案件について進展があったから話すね」

「例の案件?」

 そういえば兄さんには言ってなかった。なんせ、女性ものの私物や下着が無くなるという事件で、男の人にこういうのを話すか迷っていたからである。

「しー君は初めて聞くね〜。女性用の私物や下着がなくなることについてだよ」

「急に重い題材っ!」

 確かに今までノホホーンとしてたから……。

「じゃあメモしないとね。……って、あれ?シャーペン・・・・がない」

 新たに分かったことについてメモを取ろうと思い 筆箱の中を探すも、お気に入りのシャーペンがなかった。

「俺の貸そうか?」

「ううん、大丈夫。理科室に忘れたって分かってるから」

 5時間目までは確かに使ってたので、無くなるとすれば6時間目にあった科学の授業だ。実験もしていたし、その間に落としたとか、忘れたとかあるかもしれない。

「明るいうちに取りに行くね」

 早く戻って会議が始められるよう駆け足で理科室へと向かった。
 

———冬羽が出て数分後

「待って。冬羽に言い忘れていた……」

「ん?どうしました、師匠?」

「実はさ……」


  ◇             ◇                 ◇

「あった。やっぱりここに忘れてた」

 シャーペンは実験室のテーブルの下に置いてあった。
 このシャーペンは兄さんが買ってくれた物。だからどうしても取りに行きたかった。

「葵雪冬羽さん、こんにちは」

「あ、えっと……。こんにちは」

 突然、私に話しかけて来たのは理科の先生だ。

「これから生徒会業務かい?」

「はい。すいません、忘れ物をしたので取りに来ました」

 そう返すと先生は「構わないと」言って私の方へと近づいてきた。

「あっ、済まないがガスが止まっているかチェックしてもらえないだろうか?」

「えっ、はい」

 それくらいならお安い御用と、反対を振り向き、ガスが止まっているかチェックする。
 すると急に後ろから抱きしめられた。

「葵雪冬羽……っ、私が求める最高のモルモット……」

 耳元でそう囁かれたと思えば、先生に口を塞がれ、手を後ろに回された。
 
 まさか、この人が一連の犯人…!?
 シャーペンが無くなっていたのはこの人のせい?実験の片付けをしていたあの時ならいつでも盗める……。

 私は罠にはめられたんだ。

「んー!んー!」

 体格差があり、なかなか逃げれない。口を押さえられていて助けが呼べない。耳元では「はぁはぁ」と吐息がかかり、恐怖が増す。怖くて目尻に涙が溜まるのが分かる。

 お兄ちゃん…助けて……

————バンッ!!

「おいお前!うちの妹何してるんだっ!?」

 すると、願いが届いたように兄さんが助けに来てくれた。

「なっ……!?き、葵雪四季……っ!」

「とりあえず、一回死にやがれっ!」

「ぐはっ……ッ!?」

 すると兄さんは私を抱き寄せ、先生を思いっきり殴った。殴られた先生はそのまま倒れ込むとビクとも動かない。おそらく気絶しているのだろう。

「冬羽っ……!」

 心配そうにそう言い、私を抱きしめてくれた兄さん。

「大丈夫……じゃないよな。よく、頑張ったな……」

「お、お兄ちゃん……っ」
 
  お兄ちゃんに抱きしめられると温かくて落ち着く。お兄ちゃんの匂い、お兄ちゃんの温度。

「お兄ちゃんだと……。よし、よし、お兄ちゃんのお胸でたんと泣きなさい」

 今気づいた。お兄ちゃん呼びに戻っていたこと……。こんな状況にも関わらずお兄ちゃん呼びを喜んでいるこの人には一言言ってあげないと。

「お兄ちゃん」

「ん?」

「バカっ」

「えー…」


 その後、聞いた話では兄さんは被害が理科室で多発していると聞いて急いで駆けつけてくれたとか。
 
 そして兄さんの連絡により駆けつけた秋奈お姉ちゃんと頼先輩が「一発ぶたないと気が済まない」と言って先生はビンタされていた。
 挙げ句の果てに、いつの間に出来上がっていた『フユたんかい』の親衛隊の人にボコボコにされていて、警察が到着した頃には先生はアザだらけで流石に可哀想だなと思った。


「フ、フユたん母、怖ぇー…」

 本気でそう怖がる兄さんの姿が、先程、格好良く助けてくれた姿とギャップがあり思わずクスリと笑いが出た。
 
 お兄ちゃんはいつだって私のヒーロー。
 そんなお兄ちゃんが私は大好き。
 お兄ちゃんとしても一人の男の子としても。

 だから四季争奪戦は負けられない。

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