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葵雪(きせつ)さんちのご長男っ!〜キョウダイ同士で結婚できると発表された次の日から四姉妹のアプローチが凄い件について

柏木イズモ

第3話 変化が訪れる頃〜なお四季は気づいていない模様

「ん……」

 微睡の中、寝返りをうつとなぜか隣から温もりを感じた。

「あっ、しー君おはようー♪」

 そう言われた瞬間、一気に目が冴えた。

「……しゅ、秋奈ねぇ?もしかして部屋、間違えた?」

「ううん」

「あっ、起こしにきてくれたとか」

「ううん」

「正解は?」

「しー君の温もりを感じたかったから〜」

 破壊力抜群のだらしない笑顔でそう言う秋奈ねぇ。
 正直に言おう。めちゃくちゃ可愛い!

「ぎゅー〜〜」

「うおっ!?」

 そう思っていたらいきなり、というかいつも通り抱きついてきた。

「すりすり〜」

 そして頬を擦り寄せてきた。
 いつも通りなのだが、なんだか今日はいつもよりスキンシップが激しいようなー…。

「あっ、秋奈お姉ちゃん、やっぱりここにいた」

 声の方に目を向けると部屋の入り口にエプロンに身を包んだの冬羽姿があった。

「あっ、冬羽ちゃ〜ん。冬羽ちゃんも一緒にぎゅーってする?」

「しないよ。ほら、秋奈お姉ちゃん、朝ごはんできたから離れようね」

 俺たちの側により、秋奈ねぇにそう呼びかける冬羽。

「しー君、連れて行って〜」

 両手を広げ、だっこしてポーズを取る秋奈ねぇ。
 してあげたいのは山々だが、甘やかし過ぎるとダメ人間になってしまう恐れがあるため、しない。

「抱っこはダメだよ。頭撫でてあげるからそれで許して」

 そう言い、頭を撫でてあげると満足したのか俺から離れ、下へ降りて行った。

「ん?」

 俺もそろそろ下へ降りようかと制服に手をかけた時、冬羽が俺のことをジーと見ていることに気づいた。冬羽のことだから俺の着替えを凝視している訳じゃないと思う。

「どうした、冬羽?」

 なにやら悩んでいるような、難しい表情をしている冬羽にそう聞く。

「兄さん、私……これから頑張るねっ」

「お、おう……?頑張れ?」

 何を頑張るかは分からなかったが、とりあえず応援の言葉を掛けた。
   
   
    ◇       ◇       ◇

「で、なに?」

 登校して早々、俺は千春ねぇに呼び出されていた。場所はもちろん保健室。
 すると、白衣を羽織り、胸元が見えそうな服を着て、足をクロスさせている千春ねぇがようやく口を開いた。

「……率直に聞くわ。昨日の会見を観てどう思った?」

「どう思った?」

「……質問を質問で返さないでよね?昨日の会見を観ての率直な感想」

「率直な感想はー」

「感想は?」

「友人の陸の念願が叶って良かった思う!」

「………ほんと、バカっ……」

「えっ、なに?」

 聞こえなかったので聞き返したらものすごく睨まれた。

「友人のことはどうでもいいのっ!貴方の感想よ!」

「えっ、今、率直な感想って言ったじゃん……」

「普通は自分の感想を言うでしょっ!」

 えー、理不尽な。

「あら、四季。何やってるの?」

「ん?あっ、夏々ねぇ」

 千春ねぇに怒られているとスーツ姿の夏々ねぇがやって来た。

「べ、別に……何もしてないわよっ……」

「ふーん。千春、抜け駆けするつもり?」

「ぬ、抜け駆けって……。私はただ、昨日の会見の感想を聞いてただけよっ」

 すると夏々ねぇが俺の方を向いてきたのでコクコクと頷いた。

「四季、悪いけどここから席を外してもらえる?今から大事な話し合い・・・・・・・があるから」

 この真剣な眼差し……。理事長と擁護教諭としての話か。

「了解ー」

「ちょっ……話はまだ終わって……」

 葵雪家の長女は千春ねぇであるが、一番権力が上なのは夏々呼ねぇなので、呼び止める千春ねぇを無視し、夏ねぇの指示に従い、保健室を出て行った。

 ちなみにこの時の話し合いとは仕事の話ではなく、四季に関しての話し合いだった事とは当然、本人は知らない。
  
   ◇              ◇               ◇

「ふっふ〜ん♪」

 隣から聞こえる上機嫌な声。そして腕に当たる柔らかい感触。

「会長、そんなにくっついていたら仕事ができません」

「むー、会長じゃなくてー秋奈ねぇだよ〜?」

「生徒会業務では会長って呼ぶルールだろ?」
 
  保健室を出た後、廊下でばったり会った会長と副会長に仕事を手伝ってと頼まれたので、生徒会室にて3人で仕事をしている。
 そして今は会長である秋奈ねぇが俺の腕にくっついてきて作業がやりにくいという状況だ。このままだと仕事が捗らないと思った俺は副会長に助けを求めることにした。

「師匠、どうにかしてください」

「僕に振られても困るよ、後輩くん」

 目の前の俺たちの光景を微笑ましく見ているのは一つ上の先輩、笹城頼ししじょうたよ
 一人称が僕だが、れっきとした女の子である。
 容姿は明るい灰みの青みの緑のボブに、紫色の瞳。胸はペタンコまではいかないが、ちょっとあるくらい。
 頼れるボーイッシュ先輩であることから、師匠とお呼びしている。

「あっ、今、僕の胸を見てたでしょー。しかも小さいとか思ってたでしょー」

 師匠すげぇー!?人の心まで読めるんですか!?

 俺の反応が物語っていたのか、師匠からチョップを喰らった。全然痛くなかったけど。

「にしても、今日のアキは随分と後輩くんに懐いてるね?懐いてるというより誘惑してる?」

「朝もこんな風にくっついてきたんですよ。師匠、なんでか分かります?」

「原因は昨日の会見にあるね」

 確信したようにそう言う師匠。その言葉で昨日の光景を思い出した。

「そういえば姉ちゃん達、昨日の会見観て泣いてたなー」

「そこまで分かってるなら気づいてもいいと思うよ……?」

「えっ?」

「えっ?」

 まるで「嘘でしょ……」という顔で俺を見つめる師匠。するとやれやれと呆れ気味にため息をついた。
 
「ここまで鈍感とは…。しかもこの話、本人の前でしちゃってるしね」

 確かに本人がいますね。

「しー君が鈍感なのは今更だしね〜。秋奈ちゃんはこれくらいのことじゃあ驚かないですぞぉ〜〜」

 と、いつの間にか俺の膝に顎を乗せてゴロゴロしている秋奈ねぇ。
 机の上に置かれた秋奈ねぇの分の仕事は全て終わっていた。さすが敏腕生徒会長。俺もそろそろ終わりそうだし、師匠も終わりそうだ。

「この話は放課後まで保留だね。フユも混ぜたら面白そうだし」

 ちなみにこの生徒会には冬羽も所属している。会長の秋奈ねぇ、副会長の師匠、会計の冬羽、書記の俺という4人、というかその内の3人は葵雪家という家族運営でこの学園は生徒会を筆頭に回している。
 そしてこの生徒会、なぜか先生や生徒たちに絶大な指示を集めている。

 朝から色々あった俺だが、ようやく教室へと向かった。

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