二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第265話 悪魔の軍師
倒した……。
なんとか倒したか……。
ダゴンが風の中に消え、ゆっくり十を数えるくらいの時間をおいてから、俺はメイシャに視線を送った。
こくりと頷きがかえってくる。
「悪魔の気配は感じませんわ。ダゴンは滅びたと考えてよろしいかと」
「そうか……ギリギリだったな……」
大きく息を吐いた。
よく勝てたよ。
もっとも、これで話が終わりというわけじゃないんだけどな。
南にあるというアーカムに移動し、中央大陸へと渡る船を探さなくてはならない。
勝った勝ったと喜んでられる状況じゃないんだよね。
ただ、今だけはちょっと休んでも良いだろう。
とにかく疲れた。
どっこらしょ、と地面に腰を下ろそうとした瞬間、視界の隅でなにかが光った。
認識したのはそれだけ。
気がつくと俺は地面に倒れていた。
激痛が絶え間なく襲い、まったく動けない。
それでもなんとか視線を巡らせる。
腹に大穴があいてる。
モツが煮えてる。
そりゃ動けないわ
よく即死しなかったなあ。
どっから攻撃されたんだ?
「ネルママ!? いや! いやぁぁぁぁぁっ!!」
滑り込むようにして駆けよったメイシャが髪を振り乱し、青い目に涙をいっぱいためて、まるで鬼みたいな形相で回復魔法を使おうとする。
けど、舌がもつれてうまく聖句を紡げない。
おいおい。聖女様がそんな顔をしたらファンに幻滅されるぞ。
それに、攻撃が単発で終わるとは限らないんだ。前線にきちゃダメじゃないか。
注意してやろうと思ったんだけど声が出ない。
あー、これはもうダメかもな。
「メイシャ。落ち着いて回復をお願いします」
声を震わせながらもミリアリアがクールに言う。
OK。良い子だ。
魔法使いはチームの頭脳。どんなときでもクレバーにな。
「大丈夫。もう敵には指一本、母ちゃんに触らせないから」
宣言したアスカが立ち塞がった。
悪魔ダンタリオンの前に。
そうか、あいつか。
このタイミングを狙って隠れていたのか。
「相打ちになるように仕組んだダンジョンを生き残り、ダゴン教団を滅ぼし、ついには私が出るしかなくなった。さすが『希望』というところか」
ぱちぱちと拍手をするダンタリオン。
余裕綽々だ。
ていうか嘘だよな、それ。
人間同士を相打たせようとしたのは、上手くいけば幸い、くらいの策だろう。本命は俺たちとダゴンたちを戦わせること。
しかも俺たちが勝つと予想していた。
辛勝でね。
メイシャの極大回復を受け、なんとか半身を起こす。
「もう大丈夫だ。ありがとう、メイシャ」
「臓物はまだ復元しきっておりませんわ。激しく動いてはだめです」
「わかってる」
右手を伸ばして金髪をなでる。
それからゆっくりとダンタリオンに視線を向けた。
「なんでダゴンたちを倒したかったんだ? あんた」
投げかけた言葉に娘たちがぎょっとする。
当の悪魔だけは面白そうに笑っていた。
「さすがだな。いつ気がついた? 軍師ライオネル」
「たった今さ。全部終わってからあんたが出てきたから判っただけだ」
ダゴンとダンタリオンが協力関係にあるなら一緒に戦う。そのほうがずっと勝算は高い。というより俺たちに勝ち目なんか薄紙一枚分も残されていたのか微妙なラインだろう。
そうしなかったのは、少なくとも好意的中立ではないという証拠だ。
「私たちの目的は滅びだからな。宗教ごっこや、すでに滅んだ悪魔を復活させるというのは、目的を大きく逸脱しているのだ」
「だから争わせ、勝った方を倒す。見事な算術だな」
俺は唇をゆがめる。
まったく見事だ。
「そんなこと! させるわけないでしょ!」
七宝聖剣を構えたアスカが気を吐く。
しかしその表情には疲労が浮かんでいた。
連戦につぐ連戦の上に剣の力も最大限に使ってダゴンに勝利したのである。
彼女だけじゃない。
他のメンバーもかなりへばっている。
アマテラスの超回復があったとはいえ、たとえばメイシャなどはホリーサンダーと極大回復まで使っているのだ。
とっくに燃料切れをおこしていても不思議じゃない。
ユウギリは武器を失い、メグも小道具を使い果たしている。
そして俺は重傷から回復したばかりでまともに動けないわけだ。
サリエリとミリアリアもけっこう魔力を消耗しているだろう。この状態でもう一回悪魔と戦えというのは、少しばかり無理筋すぎる。
にいと、ダンタリオンが嗜虐の笑みを浮かべた。
こうなることまで読んで、ぎりぎり致命傷にならない程度のダメージを俺に与えたってことか。
弔い合戦になったら、娘たちが実力以上の力を発揮するかもしれないからね。
悪魔の軍師か。まったく可愛くないったら。
この状況から勝てる作戦を立てないといけないのかよ……。
絶望が俺の心を蚕食しようとした、そのとき、大空に爆音が響く。
驚いて全員が見上げた。
上空に浮かぶのは、俺たちが何度も乗ったことのある空飛ぶ船。リアクターシップである。
しかも、豆粒のようだったそれは一瞬ごとに大きくなっていった。
ものすごい速度で接近しているのだ。
一直線に。
ほとんど真っ逆さまに。
「おい! やめろ! 無茶苦茶だ!!」
何をするつもりなのか悟った俺は叫ばずにいられなかった。
次の瞬間。
不合理きわまりないものを見てしまったかように呆然とするダンタリオンに、リアクターシップの船首が直撃した。
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