二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第262話 ホーリーサンダー
「悪魔は人類の仇敵だったと記憶しているがな? 娘一人の犠牲で滅ぼすことができるなら、採算は正に傾こう」
「嫌いなんですよ。誰かの悲しみの上に成りたつ幸福ってやつ」
我ながらぶっきらぼうな応えだ。
けど本音である。
万単位の孤児や未亡人を出したことから目をそむけ、戦争に勝ったから平和になったなんて主張する連中を俺は信用しない。
「幸福になるなら、みんなで幸せになりたいじゃないですか。誰も犠牲になんかしないで」
「……汝、軍師だよな? ずいぶんと青臭いことをいうものだ」
「駄目軍師ですから」
「じゃがまあ、あやつが気に入るのも判る気がするな」
くすりと笑う。
見た目はユウギリなのに、まったく雰囲気が違うね。
「我がチカラを振るわぬとすれば、汝らだけでダゴンを討ち滅ぼさねばならぬぞ? それでは勝算が一桁ほども下がるのではないか?」
「ゼロやマイナスになるわけじゃないってことですよね。それで充分です」
俺もまた笑ってみせた。
十回に一回でも、百回に一回でも、とにかく勝ちの目が残るなら大丈夫。
自分たちが勝てるたった一回を最初に持ってくれば良いだけだ。
「それが軍師の仕事なんで」
「そして、軍師の立てた作戦を正確に実行するために、わたくしたちがいるのですわ」
すっくと立ったメイシャが朗々と告げる。
良かった。回復したんだな。
「やれ。勇ましいことよな。あやつの愛し子たちは。しかしそれでは、我は神気を満たしただけで用なしになってしまうのう。こんなしょうもない神降ろしは前代未聞じゃ」
呵々大笑。
すごく面白そうだ。
「さすがにそれでは神族として面目が立たなすぎるというもの」
ふうわりと両腕をふりあげる。
柔らかな光が俺たちを包んだ。
傷が癒え、気力が充実していく。
インスマスに連れ込まれる前より調子が良いくらいだ。
「これは……?」
「我の神気をわずかばかり分けてやろう」
なんと。
これが完全回復ということなんだろうな。
神の奇跡って、本当に半端ないな。
「汝の意思を尊重し、力を貸すのはここまでとする。征くが良い。ここからは汝らの道だ」
「承知いたしました。神族アマテラス」
すっと顔の前に月光をかざす。
神への礼儀なんか知らないから、騎士の礼っぽくね。
もう一度笑った神族がユウギリの身体から離れた。
まったく姿は変わってないのに、そういうのはなんか雰囲気で判るもんなんだね。
「バカですね。ライオネルさん」
「いまさらだろ。俺が利口だったことがあるか? ユウギリ」
神を降ろしたとき、彼女は死ぬ気だったのだろう。
自分が犠牲になってダゴンを打ち倒し、みんなを救おうとした。
悪いけど、そういうのは認められないんですよ。『希望』では。
「さあ、こっちは元気いっぱいだぞ! ダゴン! 第二ラウンドとしゃれ込もうじゃないか!」
びしっと月光の切っ先を突きつけてやる。
「人間どもが! 唯一の勝機を逃したぞ!」
情けをかけられたと感じたのだろうか、ダゴンが激昂して足を踏みならす。
ずんずんとイハ・ンスレイが鳴動した。
「くたばれ!」
手の先から水が迸る。
水芸? って一瞬思ったけど、悪魔が宴会芸を披露するはずがない。
「大きく避けろ!」
最小限の動きではなく。
「了解ス!」
狙われたメグが、二転三転ととんぼを切った。
地面を切り裂きながら極細の水流が追いかけていく。
水が地面を切るって、マジかよ。
「プロテクション!」
「ホーリーシールド!」
このままでは追いつかれる、という瞬間に、ミリアリアとメイシャの魔法が完成する。
危険すぎる水流を光の壁が打ち消した。
魔力攻撃か物理攻撃か判らなかったから、二人で防いだのである。
「物理でしたわ」
メイシャが笑う。
一度受ければ対処法が判る。
このウォーターシュートは、メイシャの防御魔法で対応できるということ。
すなわち、もう一人は攻撃に移って良いということだ。
「すごい速度と密度で水を打ち出せば石ですら斬れる。理屈としては八つ裂きリングと一緒ですね」
言うが早いか、ミリアリアの頭上に浮かんだ氷の輪が高速回転しながらダゴンへと飛んでいった。
そこらへんの石柱を切り裂きながら。
「こういうことでしょう?」
「てめえ!」
だーんと右足を地面にたたきつける。
一瞬で無数の石筍が錐のように生え、伸び、八つ裂きリングを破壊した。
多芸だな。
けどあれは有効範囲が狭そうだ。
いきなりこっち使わないところをみると。
やっぱり接近させないのが吉だろう。まあ、身の丈五丈(約十五メートル)の怪物と殴り合いなんかできないしね。
「距離を置いたまま削りきるぞ」
「判ってます。受けてみなさい! 無限弾」
無数のつぶてがダゴンを襲う。
殺傷力はそれほど高くないのだが、とにかく手数が多い攻撃魔法だ。
ゴブリンやコボルドの大群をなぎ払ったりするのに使われることが多い。
「舐めてんのかてめえ!」
ダゴンは防御すらしない。
顔に向かって飛んでくるつぶてを簡単に払いのけるだけ。
油断して目にでも入ってくれればと思ったのだが、さすがにそういう幸運はないようだ。
「舐めてませんよ?」
『ホーリーサンダー!!』
「ぐああぎゃあぁぁぁぁああああっ!?」
突如として天空から降り注いだ雷に打たれ、ダゴンが絶叫をあげる。
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