二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第248話 作為を感じるぞ
逃げたダンタリオンを追うのは難しくないらしい。
「魔力の反応を追えますから」
と、ミリアリアが自信満々で胸を叩く。
人間だろうと悪魔だろうと、魔力の波長というのはひとりひとり違うのだそうだ。
先ほど姿を見せたダンタリオンの魔力は、ちゃんと記憶してあるからそれを追いかければ良い。
「そうやって悪魔を追いかけることができるなんてな」
初めて知ったよ。
「まあ逃げませんからね。悪魔なんて」
「たしかに」
ミリアリアの言葉に深く頷く。
あいつら逃げないもん。
そもそも、人間に負けるなんてこれっぽっちも思ってないだろうしね。
本気を出せば軽くひねれる、と。
それはまったくの事実ではある。人間と悪魔の個体戦闘力の差なんか、十対一とか二十対一とか、そんなレベル。
つまり十人で囲んでなんとか互角ってことなんだけど、前にもいったとおり悪魔と多人数で戦うのはかえって不利になる。
一対一での決闘ってのが、本当は理想なんだけどね。
でも、単体で悪魔に勝てるわけがない。人を増やせば不利になる。
どうしろってんだよって叫びたくなるような相手なのさ。
だから基本的に悪魔は人間と戦うときには余裕綽々だ。
いつでも殺せるから、その前にちょっと遊んでやるかって感じっていえばニュアンスとしては伝わりやすいかな。
いままで俺たちはその油断につけ込む形で勝ってきた。
相手の口上を聞いているかにみせて途中でいきなりメイシャが神聖魔法で攻撃したり、俺の弁舌で煽ってカッカさせたり。
ようするに初手でこちらが有利な状態を構築する。これが必勝パターンなんだ。
そうやって開戦直後にアドバンテージを奪われているのに、悪魔は逃げない。
やっぱり、いつでも勝てるって心のどこかで思っているからだろう。
簡単に逆転できるって。
あるいは、逃げるというのは自己同一性に関わる問題なのかもしれないけどね。
「けど、そうなってくるとダンタリオンが逃げたのは、ちょっと気にかかるな」
「あるいは、誘っているのかもしれません」
「ミリアリアもそう感じたか」
「母さんはとっくに気づいていたんでしょう? 私に判るくらいなんですから」
いやあ、そいつは買いかぶりだよ。
なんかおかしいなって思った程度だ。
まあ、おかしくても怪しくても追いかけるしかないんだけどね。
人類の天敵である悪魔を放置しておくなんて、絶対にできない話だからだ。
「じゃあいってくる。一応『葬儀屋』は待機していてくれ。俺たちが負けたときのために」
「出番があった方が良いのかない方が良いのか、そこが問題だ」
真剣な顔で腕を組むナザルである。
いやいや、そこは勝利を信じて送り出してくれよ。
『希望』が勝つに越したことはないけど、自分たちの出番があっても良いかもしれない、なんて雰囲気を漂わせるなよ。
そんなんだから『葬儀屋』って、腕は良いけど変わり者ばかりだっていわれるんだぜ。
悪魔と戦いたいのかよ。
「こんな道、前はなかったはずスね」
野帳を確認し、メグが首をかしげる。
ここはラクリス迷宮の十八階層(同時にミノーシル迷宮の三十二階層らしい)。ガイリアの冒険者にとってみれば慣れ親しんだ庭みたいなものだ。
知らない道があるというのは、ちょっと予想の外側である。
「そもそも何千里も離れてるミノーシルとラクリスが繋がってる時点で常識外なんだけどな」
俺は肩をすくめた。
何が起こっても不思議じゃないぞ、と。
「まあねぇ~、軍師のいない『固ゆで葬儀連合』にぃ、ネルネルがまったく勝てなかったりとかぁ、あるしねぇ~」
のっへーっと笑うサリエリだ。
ひどい。
あいつらが、とびっきり優秀なだけなんだって。
ジョシュアもニコルもアンナコニーも、昔から俺の指揮を見てるし。
きゃいきゃいと騒ぎながら廊下を進む。
緊張感のないことおびただしいが、いまさら奇襲を気にしても仕方ない。
そもそも、普通のモンスターはまったく現れないのである。
「もしダンタリオンが悪魔の軍師だとするなら、疑いなく次の手を用意しているだろうな」
「姿を見せたことすら、今となっては作為にすら感じますわ」
こくりとメイシャが頷く。
幻覚が破れたことでコントロールしていたダンタリオンの姿が見えた。俺たちはそう考えていたし、正解の一部であろうとは思う。
ただ、やっぱり逃げたのが気にかかるよね。
あの状況、たしかに人間たちは精強だけど、それにびびったとも思えない。
まして悪魔との戦いの経験がないものだって多くいたのだ。
顔にも態度にも出さなくても、うっわやべえなって思った冒険者だっていただろう。
戦端を開いても良かったのだ。
にもかかわらず逃げた。
それはなぜか。
「あの場で戦うよりも有利な状況を作る自信があった」
「退いて誘いこむなんてぇ、ネルネル並にいやらしいよねぇ」
俺以上だろ?
勝算を高めるための行動をとる悪魔なんて、聞いたこともないよ。
「扉スね」
メグが呟いた。
凝った装飾のある両開きの立派な扉が見えている。
一本道の先に扉だなんて、ずいぶんと判りやすい歓迎だよな。
「鍵も罠もないス」
すすっと近づき確認する。
「さあ、ここからが本番だぞ」
俺はぐるりと仲間たちを見回した。
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