二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第229話 くるくる変わる戦況
らせん状になっている長い長い階段を降りていく。
慎重に慎重に。
なにしろ各階層は高さが三間(約五メートル半)もあるからね。
乏しい光源だけで降りていくのは、毎度のことながら緊張する。
まあ今回はミリアリアとサリエリに光源魔法をたくさん撃ちだしてもらっているからけっこう明るいんだけどな。
「狙い撃ちにされませんか?」
もちろん、ミリアリアの心配は一理ある。
こちらの場所がはっきりと判るってことだから。
ただ、じつはどっちもリスクは一緒なんだ。灯りをつけてもつけなくても。
俺たちガイリアの冒険者が十一階層に降りてくるのは既定の事実。だからそのタイミングを狙って攻撃するっての常道だといっていいだろう。
「けど、攻撃するってことは自分の場所も知られるってことだから」
「というと?」
「どんな攻撃でもそうなんだけど、上から下に仕掛ける方が有利だ。ここは高さが三間もあるからな。階段ホール全体を見渡せるし」
「向こうが撃った瞬間、こちらからも攻撃できるってことですか」
そういうこと。
しかも上から、光を背負って。
先制されるかもしれないけれど、かなり正確な逆撃が充分に可能だ。
「対してモンスターどもとしては、あそこが光ってるから敵っぽいなー、撃ってみよう。どきどき。くらいの命中精度しか期待できないしな」
メリットとデメリットを秤に乗せれば、俺にはデメリットの方に傾いているように思える。
「つまり母さんなら攻撃しないってことですか。でも、ぼーっと見ていたら十一階層に降りられてしまいますよ」
「そう。それもまた面白くないんだ。だから双方に損害が出るのを承知で攻撃してくるかもしれない」
「それでリスクは一緒ってことですか」
むーんと唇をとがらすミリアリア。
ストレスの溜まる選択です、と。
いや、本当にそう思うよ。
延々と続く腹の探り合いだもん。俺だっていい加減、胃もたれしてきたよ。
朝から一日中ずっと休みなくステーキを食い続けてる気分だって。
「最高じゃありませんの」
「それに至福を感じられるのは、たぶん全人類でひとりだけだって。メイシャ」
どうでも良い主張をするメイシャの頭を軽く小突いておく。
「むふふふ。ですわ」
十一階層の階段ホールは、十階層のそれと似たような広さだ。
しばらく前、キマイラが十階ホールに居座ってしまったときに、閉じ込められた冒険者たちがベースキャンプを張った場所でもある。
「攻撃はなかったね!」
「アスカはなんで喜んでるんスか?」
「やっばり母ちゃんの読みは当たる!」
「それをアスカが自慢する理由がわからんス」
きゃいきゃいと騒ぎながら、アスカとメグが周辺を警戒する。
まあ、この緊張感のなさからも判るとおり、敵なんか影も形もないんだけどね。
「たぶん、十五階層くらいまでこんな感じだろうなぁ」
やれやれと俺は肩をすくめた。
『希望』に続いて降りてきたギルド員や冒険者たちが手早く陣地を作っていく。
ここを拠点に十一階層の探索をおこなうためだ。
俺の予想では、敵なんかとっくに撤収しちゃってるんだけどね。
かといって調べないわけにもいかない。
もしどっかに潜まれていたら、大変なことになってしまうから。
つまり、もぬけの殻であることを確かめるためだけの探索であり、正直にいってかなりの時間と労力を食われる。
敵の狙いは、まさにそれだ。
ただすーっと退却しただけなのに、こちらに手間と時間を使わせるという、素敵な策略なのである。
「まったく。これだから軍師って生き物は食えない」
「おまいう」
ぼそっと呟いた俺の頭に、後ろから接近したギルド長がチョップを入れた。
ひどい。
数え二十五(満二十四歳)の男の頭をチョップするなんて。
もうちょっと大人として扱ってくれても良いのよ?
いくら俺が子供のころからの付き合いだからって。
「このまま各階層を解放していく感じか? ライオネル」
「どうしましょう?」
ギルド長の問いに俺は腕を組む。
解放っていうより、現状は敵が放棄したものを拾ってるだけなんだよね。
で、なんで敵は放棄してるのかっていえば、時間を稼ぐためなんだ。
一つの階層の探索に半日かけると仮定すれば、十五階層まで探索が終わることころには二日半がすぎてるって計算である。
どう思う? これ。
戦場で敵に二日半を稼がれたら。
「厳しいんですよね。正直」
「けど、さっきは封じ込めておくだけも有利だって言ってなかったか?」
「言ってました。でも、また状況を変えられちゃったんですよね」
がりがりと頭を掻く。
敵は後退して味方は前進した。
それってつまり、敵の補給線は短くなり味方のそれは長くなったってこと。
ガイリアから十階層まで物資を運び込むのと、十五層まで運び込むの、たいした違いはないじゃんって思う人は、そんなにいないと思う。
各階層の守備だってしないといけないしね。
「さっきはぁ、ネルネルが攻勢を中断することでぇ、相手に考える時間を与えたのぉ。でも今度ははぁ、敵がすーっと逃げたことでネルネルを追い込んだんだのぉ」
「そうなのか?」
「状況わぁ、くるんとひっくり返ったのぉ。お見事ぉ」
のへーっと笑いながら、サリエリがギルド長に説明している。
うん。
ロンさんの頭上に疑問符が飛んでるよ。
説明下手すぎか。
ともあれ、次の手をどう打つかっていう手番はこっちに渡された。
さて……どうするのが、敵が一番嫌がるかな。
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