二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第227話 ラクリス奪還作戦(2)
確保した小部屋のひとつまで後退する。
ギルドの後詰め部隊がすでに陣地化してくれていた。
相変わらず仕事がはやいね。
「おお。戻ったか。ライオネル」
「ギルド長。お疲れ様です」
テーブルと椅子を置いて簡易的な指揮所になっているそこで、いろいろ指示を飛ばしていた筋肉ムキムキのおっさんと挨拶を交わす。
この人はガイリアの冒険者ギルドの長でロンバルトという。
年齢は六十を超えているらしいが、俺が子供のころからまったく容姿が変わっていない妖怪である。
「ホールに逃げ込まれたんで引き揚げてきました。仕切り直しです」
「作戦開始前にネルが言っていた「こうならなければ良い」ってパターンになったってことか」
うーむとギルド長が右手で下顎を撫でた。
青々としたヒゲそり跡がすごく若い印象だね。この妖怪。
「ですね。敵は最初からホール以外の拠点の保持にはこだわってなかったんだと思いますよ。アスカと一合二合剣を交わしたらとっとと逃げる感じでした」
俺は肩をすくめる。
むしろこっちの姿を発見したら、戦いもせずに後退してしまう連中もいた。
戦術の徹底ぶりが空恐ろしいほどだよ。
サリエリが言うように、敵側にも軍師がいて作戦を指示してるんじゃないかと疑ってしまう。
ともあれ、ホールを除くすべての拠点はこちらの手に入った。
出入口をしっかり固めておけば奇襲されることはないから、すこしは時間が稼げることになる。
作戦の第一目標は達成といっていいだろう。
モンスターたちの無原則な侵攻を押しとどめることができた。
このままではどんどん上の階層まで占領されて、最悪のケースは地上まで攻め込まれていただろう。
そうなったら冒険者たちでどうこうできる事態じゃなくなる。
ガイリア軍の出番だ。
もちろんそのときには、ギルドのメンツなんてもんは失墜しまくって地面の下まで潜っているし、戦争ってことになったら人が死ぬ。
できればそんな事態にはならないで欲しいんだよね。
まして、敵の練度を考えたらガイリア軍が負けてしまう可能性だってある。こっちは口に出せないけど。
「本当に坊主は欲をかかないな。最低限のラインを決めて、それ以上を望むことがない。冒険しないっていうか、お前ホントに二十五(満二十四歳)か?」
「二十五歳に坊主はやめてくださいよ。勝算が少なくたって勝負に出なきゃいけない局面なんて、そりゃあ人生にはいくらでもありますけどね」
肩をすくめてみせる。
前哨戦ともいえないような、まだまだ様子見の戦いで無理をする必要はないというだけの話だ。
ホールは絶対に奪還しなくてはいけないが、まだ敵の思惑も読み切れていないのに強引に攻めるのはまずい。
「ようするに、ここからが本番って話ですよ。ロンさん」
「お前らが間に合ってくれて良かったよ」
謎のモンスターたちが現れたのは、まさに最悪のタイミングだった。
『希望』はスペンシルに行っていて不在。『固ゆで野郎』と『葬儀屋』はルターニャにいる。
ようするに、ガイリアを代表する冒険者クランのトップスリーがずぼっと丸々いない状態だった。
『山猫』や『御意見無用』といった中堅のクランが中心となって、なんとかモンスターの侵攻を遅らせていたのである。
いやあ、よく保ったよなぁ。
『山猫』のミッシェルにしても『御意見無用』のアイリーンにしてもひとかどの剣客ではあるけれど、たとえばライノスやナザルといった連中と比較してしまうと、やっぱり一段二段は落ちちゃうし。
クランの構成人数だって、どっちも二十人くらいだしね。
厳しい戦いだったと思う。
戦死者も出さずに、よく持ちこたえてくれたよ。
「そりゃあ、オレらにだって意地があるからね」
「ガイリアは三大クランだけ、なんて言われるの面白くないしね」
ミッシェルは黒髪に青い瞳という異国的な外見の優男で、すげえモテる。すなわち俺の敵だ。
戦い方はテクニック重視型で、まあ見栄えするんだわ。
女の子たちにきゃーきゃーいわれる感じなの。
むしろこいつは死んでいても良かったな。うん。
「心の声がダダ漏れになってるぞ。ライオネル。その理屈でいうなら、オレより先におめえさんが死ななきゃダメだろうが」
半笑いで言われた。
解せぬ。
「まあ、ネルは死ぬまで判んないだろうね」
アイリーンが意味のなく俺の足を軽く蹴る。
ひどい扱いだな、おい。
こいつは『御意見無用』のリーダーで、蜂蜜色の髪と瞳をもった女戦士だ。体格はメグと同じくらいでけっして恵まれているとはいえないが、左右の手に持ったショートサーベルの高速斬撃はものすごく鋭い。
俺も何度か負けたことがあるな。模擬戦で。
速すぎて、読んでいても防御が間に合わないという、なかなかに反則級の技の持ち主だ。
ただまあ、こいつらの腕をもってしたも、モンスターを一匹も倒せてないんだけどね。
双方損害なし。
ふざけているのではなく、どちらもちゃんと命を惜しんでいるから。
無謀な攻勢に出ないし、無理な守り方をせずちゃんと後退する。
非常に堅実で、隙のない戦いだ。
「耐えていれば、『希望』か『固ゆで野郎』か『葬儀屋』が必ず戻ってくると思ってた」
「だから、あたしらはゼロで待つって決めていたんだ」
「ここからは攻めて良いんだろう?」
「アテにしてるよ。軍師さま」
口々に言う。
俺はにやりと笑って、簡易テーブルの上に十階層の見取り図を広げた。
「任せとけ」
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