二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第95話 俺の観光は?
なんだか回り道をしてしまったが、旅の目的は果たすことができた。
アスラ神族の武器は無事に奉納できたし、アスカは新たな称号を得たのである。
まあ、かなりローカルなものだけど。
「称号どころかネルネルは一回戦で負けたけどぉ」
サリエルがいじめる。
こいつだって準決勝敗退のくせに。
一回戦敗退よりはだいぶマシだってだけじゃないか。
ちくしょうちくしょう。
「そんなに見事な負けっぷりだったなら見に行けば良かったですわ」
「オレの技でアスカが勝ったってのも格好いいスしね」
仲間が武術大会に出ているにもかかわらず、応援にすらこないで街で遊んでいたメイシャとメグの、ありがたーいお言葉である。
東大陸のお土産をいろいろ買いあさっていたらしいよ。
メアリー夫人とか、アニータとか、ジェニファとか、お土産を渡したい相手がずいぶん増えたもんな。
ちなみに俺は、東大陸のエロいものをなにか買ってきてくれとナザルとライノスに言われた。
エロいものってなんだろう?
なにを買っていけばエロいと思われるだろう。
艶本とか?
けど、荷物の中にそんなもんがあるって娘たちにバレたら、ものすごくゴミを見るような目で見られる気がするんだよな。
それはぜひ避けたいところだ。
まあ、適当に酒でも買っていけば良いか。
「ともあれ、これでやっと思う存分観光ができるな。俺は一回戦負けだから、注目する人もいないだろうし」
「やたらと一回戦負けをくちにするよね。母ちゃんって」
「じつはそうとう気にしてるんですよ。決勝でアスカに貫禄を見せつけるつもりだったんですって」
「それが一回戦でワンキル! 気に病むかー!」
アスカとミリアリアがぼそぼそ喋ってる。
聞こえてるわよ。あんたたち。
ほっといてちょうだい。
「ネルママ。ネルママ。気晴らしにごはんを食べに行きましょう。わたくしインダーラ特有の料理を発見しましたわ」
「うう。メイシャありがとう。お前だけだ。いつも通りに接してくれるのは」
「胸に顔を埋めて泣きますか? ママ」
「いや、それはいい」
相変わらずのバカな会話が心地良い。
「で、どういう料理なんだ? インダーラ特有のってのは」
「見た目はう○こですわね」
「……ちょっと、まってくれるか」
う○こっぽい見た目の料理を食ったの? この美貌のプリーストは。
どんだけ冒険者なんだよ。食の。
「大変に良い香りですから、見た目はそんなに気になりませんわよ」
「ほんとかよ……」
メイシャに引っ張られるようにして宿を出る。
ぞろぞろと他のメンバーも続いた。
大丈夫かな、とか口々に不安を口にしつつね。
そしてその見た目があれな料理を食べて、全員の蒙が啓いたよ。すごく複雑で美味いの。
あと、とても辛い。
「カライというらしいですわ。その名の通り辛いですわよね」
メイシャが笑うけど、みんな匙が止められないよ。
汗が噴き出してんのに。
「からっ うまっ からっ うまっ」
香辛料の刺激がたまらん。
伊達にふらふらと食べ歩きをしているわけではない。メイシャの食べ物屋を選ぶ目は職人といってもいいだろう。
「これを飲むと中和できますわ」
そういって差し出すのは、やや酸味のある飲み物だ。ラーシーって名前らしい。
燃えるような口の中が、なんだか洗われていく。
「飲んだら! また食べたくなっちゃう!」
そういって、ふたたびアスカがカライに挑む。
いやあ、世の中には、俺の知らない美味がまだまだあるなぁ。
などと考えながらカライとラーシーを楽しんでいると、にわかに外が騒がしくなった。
街の人々が何やら騒いでいる。
空飛ぶ船とか天空船とかいう言葉が、風に乗って伝わってきた。
「リアクターシップのことか?」
「だろうねぃ」
サリエリと顔を見合わせる。
俺たちを迎えにきた、とかだったら嫌だなぁとか考えながら。
だって俺、マリシテの街でやったことってカライを食べただけだよ? ジョシュアたちへのお土産も買ってないんだよ?
まあ、たいていの場合、こうならなければ良いなぁって方向に話は進むよね。
知ってました。
人生なんてそんなもんですよ。
街門の外に着陸し、マスル王国の勅使であると高らかに宣言したソンネル船長は、滞在しているはずの冒険者クラン『希望』を迎えにきたのだと告げたのである。
ひどい話だ。
生まれて初めて訪れた東大陸とは、闘神昇華の儀一回戦敗退と、カライの思い出だけを持ってさようならである。
「なんなんですか。一体」
半刻(一時間)後には、俺たちは空の人になっていた。
船長には苦情のひとつくらい言いたいですよ。
「戦争だよ。ライオネルどの」
「ガイリアが、じゃないですよね。どこかマスルに攻め込んできましたか?」
「正解だ。相変わらず聡いお母さんだな」
「お母さんは関係ないです」
隣り合う主権国家と主権国家の間に、完全な平穏などありえない。
つねにいくらかの摩擦は生まれているし、それが大きくなると容易に発火する。
それを避けるには、たとえばマスル王国とガイリア王国、それにピラン城のように同盟関係を構築するという方法が一般的だ。
もちろん、互いにとって利得がなくては、同盟関係など長続きしないが。
「ガイリアとの関係が強化されたことで、西のダガンがつむじを曲げてしまったのさ」
ダガン帝国というのは、マスル王国の西にある国だ。
ちなみに南にはオラリオ王国があり、北にはガイリア王国がある。そして東は海ね。
で、ダガンとマスルというのは、仲が良いのか悪いのか、よく判らない関係だったのだそうだ。
マスルが侵攻したこともあるし、ダガンが侵攻してきたこともある。
にもかかわらず同盟を結んだり、なぜか援助を要請したりもする。
「わけが判らない関係ですね」
「マスルからどれだけ援助を引き出せるか、というので、ダガン皇帝の資質が計られるというからな」
苦々しくソンネル船長が吐き捨てた。
地味にこの人、ダガン帝国が嫌いらしい。
アスラ神族の武器は無事に奉納できたし、アスカは新たな称号を得たのである。
まあ、かなりローカルなものだけど。
「称号どころかネルネルは一回戦で負けたけどぉ」
サリエルがいじめる。
こいつだって準決勝敗退のくせに。
一回戦敗退よりはだいぶマシだってだけじゃないか。
ちくしょうちくしょう。
「そんなに見事な負けっぷりだったなら見に行けば良かったですわ」
「オレの技でアスカが勝ったってのも格好いいスしね」
仲間が武術大会に出ているにもかかわらず、応援にすらこないで街で遊んでいたメイシャとメグの、ありがたーいお言葉である。
東大陸のお土産をいろいろ買いあさっていたらしいよ。
メアリー夫人とか、アニータとか、ジェニファとか、お土産を渡したい相手がずいぶん増えたもんな。
ちなみに俺は、東大陸のエロいものをなにか買ってきてくれとナザルとライノスに言われた。
エロいものってなんだろう?
なにを買っていけばエロいと思われるだろう。
艶本とか?
けど、荷物の中にそんなもんがあるって娘たちにバレたら、ものすごくゴミを見るような目で見られる気がするんだよな。
それはぜひ避けたいところだ。
まあ、適当に酒でも買っていけば良いか。
「ともあれ、これでやっと思う存分観光ができるな。俺は一回戦負けだから、注目する人もいないだろうし」
「やたらと一回戦負けをくちにするよね。母ちゃんって」
「じつはそうとう気にしてるんですよ。決勝でアスカに貫禄を見せつけるつもりだったんですって」
「それが一回戦でワンキル! 気に病むかー!」
アスカとミリアリアがぼそぼそ喋ってる。
聞こえてるわよ。あんたたち。
ほっといてちょうだい。
「ネルママ。ネルママ。気晴らしにごはんを食べに行きましょう。わたくしインダーラ特有の料理を発見しましたわ」
「うう。メイシャありがとう。お前だけだ。いつも通りに接してくれるのは」
「胸に顔を埋めて泣きますか? ママ」
「いや、それはいい」
相変わらずのバカな会話が心地良い。
「で、どういう料理なんだ? インダーラ特有のってのは」
「見た目はう○こですわね」
「……ちょっと、まってくれるか」
う○こっぽい見た目の料理を食ったの? この美貌のプリーストは。
どんだけ冒険者なんだよ。食の。
「大変に良い香りですから、見た目はそんなに気になりませんわよ」
「ほんとかよ……」
メイシャに引っ張られるようにして宿を出る。
ぞろぞろと他のメンバーも続いた。
大丈夫かな、とか口々に不安を口にしつつね。
そしてその見た目があれな料理を食べて、全員の蒙が啓いたよ。すごく複雑で美味いの。
あと、とても辛い。
「カライというらしいですわ。その名の通り辛いですわよね」
メイシャが笑うけど、みんな匙が止められないよ。
汗が噴き出してんのに。
「からっ うまっ からっ うまっ」
香辛料の刺激がたまらん。
伊達にふらふらと食べ歩きをしているわけではない。メイシャの食べ物屋を選ぶ目は職人といってもいいだろう。
「これを飲むと中和できますわ」
そういって差し出すのは、やや酸味のある飲み物だ。ラーシーって名前らしい。
燃えるような口の中が、なんだか洗われていく。
「飲んだら! また食べたくなっちゃう!」
そういって、ふたたびアスカがカライに挑む。
いやあ、世の中には、俺の知らない美味がまだまだあるなぁ。
などと考えながらカライとラーシーを楽しんでいると、にわかに外が騒がしくなった。
街の人々が何やら騒いでいる。
空飛ぶ船とか天空船とかいう言葉が、風に乗って伝わってきた。
「リアクターシップのことか?」
「だろうねぃ」
サリエリと顔を見合わせる。
俺たちを迎えにきた、とかだったら嫌だなぁとか考えながら。
だって俺、マリシテの街でやったことってカライを食べただけだよ? ジョシュアたちへのお土産も買ってないんだよ?
まあ、たいていの場合、こうならなければ良いなぁって方向に話は進むよね。
知ってました。
人生なんてそんなもんですよ。
街門の外に着陸し、マスル王国の勅使であると高らかに宣言したソンネル船長は、滞在しているはずの冒険者クラン『希望』を迎えにきたのだと告げたのである。
ひどい話だ。
生まれて初めて訪れた東大陸とは、闘神昇華の儀一回戦敗退と、カライの思い出だけを持ってさようならである。
「なんなんですか。一体」
半刻(一時間)後には、俺たちは空の人になっていた。
船長には苦情のひとつくらい言いたいですよ。
「戦争だよ。ライオネルどの」
「ガイリアが、じゃないですよね。どこかマスルに攻め込んできましたか?」
「正解だ。相変わらず聡いお母さんだな」
「お母さんは関係ないです」
隣り合う主権国家と主権国家の間に、完全な平穏などありえない。
つねにいくらかの摩擦は生まれているし、それが大きくなると容易に発火する。
それを避けるには、たとえばマスル王国とガイリア王国、それにピラン城のように同盟関係を構築するという方法が一般的だ。
もちろん、互いにとって利得がなくては、同盟関係など長続きしないが。
「ガイリアとの関係が強化されたことで、西のダガンがつむじを曲げてしまったのさ」
ダガン帝国というのは、マスル王国の西にある国だ。
ちなみに南にはオラリオ王国があり、北にはガイリア王国がある。そして東は海ね。
で、ダガンとマスルというのは、仲が良いのか悪いのか、よく判らない関係だったのだそうだ。
マスルが侵攻したこともあるし、ダガンが侵攻してきたこともある。
にもかかわらず同盟を結んだり、なぜか援助を要請したりもする。
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