二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第84話 VSドラゴンゴーレム
俺が構えていた剣を目の前にかざしたのは、こいつの名前が焔断だったからではない。
単なる偶然だ。
往生際の悪さといっても良いだろう。
人間ってのは最後まであがく。どんなに避けられないような状況でも、間に合わなかったとしても本能的に避けようとする。
俺の行動もそれに類するものだ。
だから、この結果は完全に予想の外側なのである。
ドラゴンブレスが俺の剣によって切り裂かれ、消滅したのだ。
「これが……焔断の力……」
「よくもネル母さんを狙いましたね! 喰らいなさい! スリーウェイアイシクルランス! ダブル!」
茶色い瞳を怒りに燃やしたミリアリアが氷狼の杖をドラゴンに向ける。
放たれた氷の槍は、なんと螺旋階段のように胴体に突き刺さった。
「攻撃が届かないなら、届くように道を作れば良いだけです。アスカ! サリエリ!」
「OK!」
「任されてぇ~」
ドラゴンに突き刺さった槍を足場にして、二人が駆け上がる。
ミリアリアやメイシャを狙って間断なく放たれるブレスは、俺が先回りして盾となり、彼女たちに届く前に切り裂く。
「せい!」
「とりゃ~」
気合いの入った声と気の抜けた声が響き、ドラゴンの背に乗ったアスカとサリエリが幾度も幾度も、背中や首を切りつけた。
危機を感じたのか、ドラゴンが大きく翼を広げる。
空中へとの逃れるつもりだろうか。それはまずい。空中にある相手とは戦えないし、そもそも背には娘たちが乗っているのだ。
「立体戦闘はやらせないスよ」
声とともにメグが現れ、つんのめるように巨体が四つん這いになった。
隠形していると思ったら、なんと彼女はドラゴンの両足をロープでそのへんの立木に固定していたのである。
ゴーレムを相手に隠形してどうするって一瞬思ったけど、俺たちの目から隠れるためのものか。
俺たちの意識がそちらにむけば、ドラゴンにも気づかれる可能性が高まるから。
狂ったかのようにドラゴンが暴れ出す。
まあ、自由に動き回れないってのは、人間だろうとゴーレムだろうとものすごい恐怖だからね。
なんとかしようともがく。
「そのロープは鉄線を混ぜこんであるス。そう簡単には引きちぎれないスよ」
にっと笑ったメグだったが、ぶっとい尻尾にひと打ちされる。
子供が投げ捨てた人形のように、二度三度と地面に接吻しながら吹き飛んでいった。
おそらく最初の衝撃であちこち骨折したのだろう。
かなり不自然な格好だ。
「ロング……いえ、それじゃ間に合いませんわね。ネルママ。援護を」
長距離回復では回復しきれないと一瞬で看破し、メイシャがメグの落下点へと走り込む。
その彼女に向けて放たれるブレスは、すべて俺が切り払った。
メグの状態はかなり控えめにいっても重篤で、腕や足はおかしな方向に折れ曲がり、皮膚を突き破って骨が露出している。
「すぐに回復いたしますわ」
「痛み止めでいいんスよ……おもいっきり飛べるやつをお願いするス」
「そういう魔法の持ち合わせはありませんわ。おとなしく癒やされてなさい」
メイシャの両手が輝き、みるみる傷を癒やしていく。
極大回復魔法と呼ばれる、大司祭級の魔法だ。
良いことでもなんでもないのだが、戦争が続いたため経験を積む機会に恵まれたのである。
「私の仲間をこんな目に遭わせて、まさかラクに死ねるとは思っていませんよね」
周囲にアイシクルランスを遊弋させ、ミリアリアが冷たい眼をドラゴンに向けた。
次の瞬間、氷の槍は砕けてリング状になり、高速でまわり始める。まるで回転式のノコギリのように。
そしてそれは、まるで意志を持っているかのように飛び回り、ドラゴンの翼と両足を切り飛ばした。
まさしく八つ裂き。
バラバラと部品がこぼれ落ちる。
「くくくくく……」
怖いよミリアリアさんっ。
その笑い方、怖すぎるよ!
あと、おまえさんあれだからね? ついさっきまで、ゴーレム可哀想とかいってたんだからね?
仲間が大怪我したからキレちゃったってことなんだろうけど、パーティーの頭脳である魔法使いがそれじゃだめなのよ?
どんなにカッカしていても、はらわたが煮えくり返っていても、頭だけは氷みたいに冷静に、味方の勝利を演出しないといけないんだから。
ミリアリアにはあとでお説教しないと。
ドラゴンの動きが止まってしまえば、あとは前衛二人の独壇場だ。
「いくよ!」
「あぃ~」
アスカが右へ、サリエリは左へ、ドラゴンの背から飛び降りる。
愛剣を長首に突き立てて。
彼女たちの着地と同時に、輪切りにされたドラゴンの首がどうと地面に落ちた。
両眼の赤い光がしばらく明滅していたが、やがてそれも消えていく。
なんとか勝ったようだ。
メグのことはメイシャに任せて、俺はふかーふかーと威嚇する猫みたいな状態のミリアリアに歩み寄る。
そしてとんがり帽子をはずし、こつんと頭を小突いてやった。
「クレバーにな。ミリアリア」
「はい。でも新技が完成したんで怪我の功名です。八つ裂きリングの魔法と名付けましょう」
「有効打になったのは認めるよ」
小突いた手で茶色い髪を撫でてやる。
刺突のみだったアイシクルランスに、切断の属性を持たせたってのはでかい。
使える局面がぐんと増えるだろう。
「母ちゃん! ごめーん!」
そうこうするうちに、アスカがこちらへ走ってきた。
こいつは最も説教が必要な娘である。
下手したら全滅だったんだからね。
おしりぺんぺんの刑くらいは覚悟しなさいよ。あんた。
単なる偶然だ。
往生際の悪さといっても良いだろう。
人間ってのは最後まであがく。どんなに避けられないような状況でも、間に合わなかったとしても本能的に避けようとする。
俺の行動もそれに類するものだ。
だから、この結果は完全に予想の外側なのである。
ドラゴンブレスが俺の剣によって切り裂かれ、消滅したのだ。
「これが……焔断の力……」
「よくもネル母さんを狙いましたね! 喰らいなさい! スリーウェイアイシクルランス! ダブル!」
茶色い瞳を怒りに燃やしたミリアリアが氷狼の杖をドラゴンに向ける。
放たれた氷の槍は、なんと螺旋階段のように胴体に突き刺さった。
「攻撃が届かないなら、届くように道を作れば良いだけです。アスカ! サリエリ!」
「OK!」
「任されてぇ~」
ドラゴンに突き刺さった槍を足場にして、二人が駆け上がる。
ミリアリアやメイシャを狙って間断なく放たれるブレスは、俺が先回りして盾となり、彼女たちに届く前に切り裂く。
「せい!」
「とりゃ~」
気合いの入った声と気の抜けた声が響き、ドラゴンの背に乗ったアスカとサリエリが幾度も幾度も、背中や首を切りつけた。
危機を感じたのか、ドラゴンが大きく翼を広げる。
空中へとの逃れるつもりだろうか。それはまずい。空中にある相手とは戦えないし、そもそも背には娘たちが乗っているのだ。
「立体戦闘はやらせないスよ」
声とともにメグが現れ、つんのめるように巨体が四つん這いになった。
隠形していると思ったら、なんと彼女はドラゴンの両足をロープでそのへんの立木に固定していたのである。
ゴーレムを相手に隠形してどうするって一瞬思ったけど、俺たちの目から隠れるためのものか。
俺たちの意識がそちらにむけば、ドラゴンにも気づかれる可能性が高まるから。
狂ったかのようにドラゴンが暴れ出す。
まあ、自由に動き回れないってのは、人間だろうとゴーレムだろうとものすごい恐怖だからね。
なんとかしようともがく。
「そのロープは鉄線を混ぜこんであるス。そう簡単には引きちぎれないスよ」
にっと笑ったメグだったが、ぶっとい尻尾にひと打ちされる。
子供が投げ捨てた人形のように、二度三度と地面に接吻しながら吹き飛んでいった。
おそらく最初の衝撃であちこち骨折したのだろう。
かなり不自然な格好だ。
「ロング……いえ、それじゃ間に合いませんわね。ネルママ。援護を」
長距離回復では回復しきれないと一瞬で看破し、メイシャがメグの落下点へと走り込む。
その彼女に向けて放たれるブレスは、すべて俺が切り払った。
メグの状態はかなり控えめにいっても重篤で、腕や足はおかしな方向に折れ曲がり、皮膚を突き破って骨が露出している。
「すぐに回復いたしますわ」
「痛み止めでいいんスよ……おもいっきり飛べるやつをお願いするス」
「そういう魔法の持ち合わせはありませんわ。おとなしく癒やされてなさい」
メイシャの両手が輝き、みるみる傷を癒やしていく。
極大回復魔法と呼ばれる、大司祭級の魔法だ。
良いことでもなんでもないのだが、戦争が続いたため経験を積む機会に恵まれたのである。
「私の仲間をこんな目に遭わせて、まさかラクに死ねるとは思っていませんよね」
周囲にアイシクルランスを遊弋させ、ミリアリアが冷たい眼をドラゴンに向けた。
次の瞬間、氷の槍は砕けてリング状になり、高速でまわり始める。まるで回転式のノコギリのように。
そしてそれは、まるで意志を持っているかのように飛び回り、ドラゴンの翼と両足を切り飛ばした。
まさしく八つ裂き。
バラバラと部品がこぼれ落ちる。
「くくくくく……」
怖いよミリアリアさんっ。
その笑い方、怖すぎるよ!
あと、おまえさんあれだからね? ついさっきまで、ゴーレム可哀想とかいってたんだからね?
仲間が大怪我したからキレちゃったってことなんだろうけど、パーティーの頭脳である魔法使いがそれじゃだめなのよ?
どんなにカッカしていても、はらわたが煮えくり返っていても、頭だけは氷みたいに冷静に、味方の勝利を演出しないといけないんだから。
ミリアリアにはあとでお説教しないと。
ドラゴンの動きが止まってしまえば、あとは前衛二人の独壇場だ。
「いくよ!」
「あぃ~」
アスカが右へ、サリエリは左へ、ドラゴンの背から飛び降りる。
愛剣を長首に突き立てて。
彼女たちの着地と同時に、輪切りにされたドラゴンの首がどうと地面に落ちた。
両眼の赤い光がしばらく明滅していたが、やがてそれも消えていく。
なんとか勝ったようだ。
メグのことはメイシャに任せて、俺はふかーふかーと威嚇する猫みたいな状態のミリアリアに歩み寄る。
そしてとんがり帽子をはずし、こつんと頭を小突いてやった。
「クレバーにな。ミリアリア」
「はい。でも新技が完成したんで怪我の功名です。八つ裂きリングの魔法と名付けましょう」
「有効打になったのは認めるよ」
小突いた手で茶色い髪を撫でてやる。
刺突のみだったアイシクルランスに、切断の属性を持たせたってのはでかい。
使える局面がぐんと増えるだろう。
「母ちゃん! ごめーん!」
そうこうするうちに、アスカがこちらへ走ってきた。
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