二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第77話 難民問題
なにがびっくりって、ロスカンドロス王がこれをやったってことですよ。
再現ってことはね。
「ちなみに陛下は、きてもらえないなら城の遠望台から同じセリフを叫ぶとのことでした」
やめて。
即位したばっかりの王様がそんなことしたら、民衆はどう思うよ。
もうこの国ダメなんちゃうかなって思っちゃうでしょ?
ほんっと、やめてくださいよ。
壊れすぎだから。
俺は、ジーニカ女史を引き剥がし、ちゃんとソファに座らせる。
「いきますから、わけのわからん脅迫はやめてくださいよ」
盛大なため息だ。
ていうか最近、俺の呼び出し方がどんどん小芝居じみてきてるのは気のせいか?
もっと普通に使者を送っていいのよ?
「王さまはぁ。娯楽に飢えてるもんだからね~」
騒ぎを聞きつけて飛んできたサリエリが、いつも通りののへーっとした顔で論評した。
そういえばこいつって、魔王イングラルの愛妾の従妹だったっけ。
王様の有閑には詳しいのかもね。
「で、一体なんですか? 義勇軍も解散したんだし、仕事の依頼はギルドを通してもらいたいんですけど」
「指名依頼扱いで、ギルドには後ほど話を通しておきます」
「そういうふうに、頭越しでやりとりしていると、陛下も俺たちもギルドに嫌われるんですよ?」
俺は肩をすくめてみせた。
たしかに君主の意志というのは、すべての立法に優先する。
王様が白いと言えばカラスだって白くならないといけない。それが専制国家というものだ。
が、本来は通すべき筋を通さないと、あちこちに軋轢がうまれていくのである。
「承知いたしました。以後は冒険者ギルドに使いを遣り、陛下の意志を伝えることとします」
「変な小芝居はしないでくださいよ?」
「善処します」
ホントに善処するんだろうな? とか思いながら、俺はサリエリにメグを呼んでくるように頼んだ。
成人の挨拶がまだったな、と思い出したから。
「すげー行きたくないス。王様の前に出るなんて、柄じゃないス」
などとメグは抵抗したが、さすがにやっておかないと義理が立たないからね。
あなたさまのおかげで無事に大人の仲間入りができました、的な挨拶を、知人の中で最上位の人にするのだ。
そんなにかしこまったものじゃないし、べつに正装とかも必要ない。
俺のときは、冒険者ギルドの組合長のところにルークと二人で行ってきた。
で、俺たち『希望』の知人で最上位っていったら、当然のようにロスカンドロス王だよね。
行かなかったら、王様の顔を潰してしまう。
ちなみに、義務なのは最上位だけであって、他の人に挨拶してはいけないって話ではないから、回りたいだけ回ってかまわない。
たとえばアスカたちなら、メアリー夫人のところには絶対に行くだろうしね。
「俺と一緒に行って、一言挨拶したら帰って良いから」
「そんな無責任なことはしないス。ちゃんとネルダンさんを守るスよ」
ふんすと鼻息を荒くするメグだった。
王城に参内するときになるべく誰か一人は伴うようにしているのは、べつに護衛ってわけじゃないんだけどね。
経験を積んでもらうためってのと、城の兵士に顔を憶えてもらうためっていう、二つの理由からだ。
コネ作りって大切だから。
ましてメグの担当は情報収集だもの。
あちこちに顔を繋いで、損をするってことは絶対にない。
「難民の数が四十万を超えた。どうしよう」
と、情けない顔をするのは、最大のコネ元たるロスカンドロス王だ。
メグの挨拶を鷹揚な笑みで受けた後、手のひらを返したように困り果てた顔になってしまった。
気持ちは判るが落ち着け。
俺は一介の冒険者であって、あなたの重臣でも親友でもないんですよ。
弱い面とか見せちゃダメでしょ。
「どうもこうも、ガイリアの街にそれだけの人数を受け入れるキャパシティはないと思いますよ」
四十万なんていったら、ガイリアの街をもう一つ作るのと一緒だ。
街壁のなかのどこにそんなスペースがあるんだって話である。
「結局、新たな街をつくらないといけないわけですよ。それはここ」
持参した手作りの地図を見せる。
俺が行った場所や、見聞きした情報が書き込んである『希望』の宝物だ。
こればっかりは、たとえ王様であろうとも譲ってあげることはできない。
「ピランの廃城?」
「ピラン城です。五百年前の人魔戦争からずっと、魔族が住んでいました。そして、ここはいまマスルの属国として再出発しています」
「え? え? ちょっと待って。ライオネル。初耳なんだけど、それ」
面食らうロスカンドロス王である。
なにしろ報告する暇がまったくなかったからね。ギルドには最低限の完了報告をしたけど、事の顛末をロスカンドロス王やカイトス将軍に伝える機会はなかった。
「これからは、マスル王国とピラン城、二つを商売相手として考えることができます。となればピラン城から最も近い、このミルトの宿場。ここを都市として再開発して、両国との貿易の拠点にするのが良いんじゃないかと」
ピランを示した指をすっと東に少しだけ動かす。
ここでリッチと戦ったんだよな。
メグが接近に気づいてくれたから問題なく先制することができた。
くすりと笑ってメグを見れば、彼女もまた笑っている。
思い出を共有できるってのは、なんだかこそばゆい。
ともあれ、これからは密貿易ではない。
ガイリア王国の主産業といっても過言でないほどのウェイトを占めていくことになるだろう。
拠点都市があった方が良いに決まっている。
「たしかにそれはそうだ。しかし、ガラングランで暮らしていたような連中が、魔族の近くに住み、魔族と交易することを肯んじるだろうか」
腕を組み、ロスカンドロス王が唸る。
魔族への偏見はかなり根強い。魔族側でも古い世代は人間への恨みを忘れてないっていうしね。
「嫌ならガイリアを去ってもらうしかないですね。俺たちに必要なのは、ともに未来を見つめ、苦楽をともにしながら歩んでいく仲間です。特等席で利益だけ得たいって人たちじゃないですよ」
俺は両手を広げてみせた。
家も土地も捨てて逃げてきたんだから私たちは可哀想でしょ、保護してよ、優しくしてよ、なんて理屈は通さない。これからはガイリア流に従ってもらわなくてはならないのだ。
ある意味で、これはふるい分けである。
同じ未来を見られるかどうかの。
「本当に、きみは優しいだけの男ではないな。ライオネル」
苦笑いを浮かべるロスカンドロス王だった。
再現ってことはね。
「ちなみに陛下は、きてもらえないなら城の遠望台から同じセリフを叫ぶとのことでした」
やめて。
即位したばっかりの王様がそんなことしたら、民衆はどう思うよ。
もうこの国ダメなんちゃうかなって思っちゃうでしょ?
ほんっと、やめてくださいよ。
壊れすぎだから。
俺は、ジーニカ女史を引き剥がし、ちゃんとソファに座らせる。
「いきますから、わけのわからん脅迫はやめてくださいよ」
盛大なため息だ。
ていうか最近、俺の呼び出し方がどんどん小芝居じみてきてるのは気のせいか?
もっと普通に使者を送っていいのよ?
「王さまはぁ。娯楽に飢えてるもんだからね~」
騒ぎを聞きつけて飛んできたサリエリが、いつも通りののへーっとした顔で論評した。
そういえばこいつって、魔王イングラルの愛妾の従妹だったっけ。
王様の有閑には詳しいのかもね。
「で、一体なんですか? 義勇軍も解散したんだし、仕事の依頼はギルドを通してもらいたいんですけど」
「指名依頼扱いで、ギルドには後ほど話を通しておきます」
「そういうふうに、頭越しでやりとりしていると、陛下も俺たちもギルドに嫌われるんですよ?」
俺は肩をすくめてみせた。
たしかに君主の意志というのは、すべての立法に優先する。
王様が白いと言えばカラスだって白くならないといけない。それが専制国家というものだ。
が、本来は通すべき筋を通さないと、あちこちに軋轢がうまれていくのである。
「承知いたしました。以後は冒険者ギルドに使いを遣り、陛下の意志を伝えることとします」
「変な小芝居はしないでくださいよ?」
「善処します」
ホントに善処するんだろうな? とか思いながら、俺はサリエリにメグを呼んでくるように頼んだ。
成人の挨拶がまだったな、と思い出したから。
「すげー行きたくないス。王様の前に出るなんて、柄じゃないス」
などとメグは抵抗したが、さすがにやっておかないと義理が立たないからね。
あなたさまのおかげで無事に大人の仲間入りができました、的な挨拶を、知人の中で最上位の人にするのだ。
そんなにかしこまったものじゃないし、べつに正装とかも必要ない。
俺のときは、冒険者ギルドの組合長のところにルークと二人で行ってきた。
で、俺たち『希望』の知人で最上位っていったら、当然のようにロスカンドロス王だよね。
行かなかったら、王様の顔を潰してしまう。
ちなみに、義務なのは最上位だけであって、他の人に挨拶してはいけないって話ではないから、回りたいだけ回ってかまわない。
たとえばアスカたちなら、メアリー夫人のところには絶対に行くだろうしね。
「俺と一緒に行って、一言挨拶したら帰って良いから」
「そんな無責任なことはしないス。ちゃんとネルダンさんを守るスよ」
ふんすと鼻息を荒くするメグだった。
王城に参内するときになるべく誰か一人は伴うようにしているのは、べつに護衛ってわけじゃないんだけどね。
経験を積んでもらうためってのと、城の兵士に顔を憶えてもらうためっていう、二つの理由からだ。
コネ作りって大切だから。
ましてメグの担当は情報収集だもの。
あちこちに顔を繋いで、損をするってことは絶対にない。
「難民の数が四十万を超えた。どうしよう」
と、情けない顔をするのは、最大のコネ元たるロスカンドロス王だ。
メグの挨拶を鷹揚な笑みで受けた後、手のひらを返したように困り果てた顔になってしまった。
気持ちは判るが落ち着け。
俺は一介の冒険者であって、あなたの重臣でも親友でもないんですよ。
弱い面とか見せちゃダメでしょ。
「どうもこうも、ガイリアの街にそれだけの人数を受け入れるキャパシティはないと思いますよ」
四十万なんていったら、ガイリアの街をもう一つ作るのと一緒だ。
街壁のなかのどこにそんなスペースがあるんだって話である。
「結局、新たな街をつくらないといけないわけですよ。それはここ」
持参した手作りの地図を見せる。
俺が行った場所や、見聞きした情報が書き込んである『希望』の宝物だ。
こればっかりは、たとえ王様であろうとも譲ってあげることはできない。
「ピランの廃城?」
「ピラン城です。五百年前の人魔戦争からずっと、魔族が住んでいました。そして、ここはいまマスルの属国として再出発しています」
「え? え? ちょっと待って。ライオネル。初耳なんだけど、それ」
面食らうロスカンドロス王である。
なにしろ報告する暇がまったくなかったからね。ギルドには最低限の完了報告をしたけど、事の顛末をロスカンドロス王やカイトス将軍に伝える機会はなかった。
「これからは、マスル王国とピラン城、二つを商売相手として考えることができます。となればピラン城から最も近い、このミルトの宿場。ここを都市として再開発して、両国との貿易の拠点にするのが良いんじゃないかと」
ピランを示した指をすっと東に少しだけ動かす。
ここでリッチと戦ったんだよな。
メグが接近に気づいてくれたから問題なく先制することができた。
くすりと笑ってメグを見れば、彼女もまた笑っている。
思い出を共有できるってのは、なんだかこそばゆい。
ともあれ、これからは密貿易ではない。
ガイリア王国の主産業といっても過言でないほどのウェイトを占めていくことになるだろう。
拠点都市があった方が良いに決まっている。
「たしかにそれはそうだ。しかし、ガラングランで暮らしていたような連中が、魔族の近くに住み、魔族と交易することを肯んじるだろうか」
腕を組み、ロスカンドロス王が唸る。
魔族への偏見はかなり根強い。魔族側でも古い世代は人間への恨みを忘れてないっていうしね。
「嫌ならガイリアを去ってもらうしかないですね。俺たちに必要なのは、ともに未来を見つめ、苦楽をともにしながら歩んでいく仲間です。特等席で利益だけ得たいって人たちじゃないですよ」
俺は両手を広げてみせた。
家も土地も捨てて逃げてきたんだから私たちは可哀想でしょ、保護してよ、優しくしてよ、なんて理屈は通さない。これからはガイリア流に従ってもらわなくてはならないのだ。
ある意味で、これはふるい分けである。
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