二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第66話 出番がきた!
俺が演出したのは、べつにそう珍しい作戦ではない。
重装歩兵による斜線陣形と呼ばれるものだ。
ようするに斜めに陣を敷くことによって、相手の側面を突くという戦術なんだけど、最初からそういうふうに布陣したら、王国軍だって意図に気づいてしまう。
なので、接敵してから、押されているフリをしながらグラント魔将軍の軍が後退し、カイトス将軍の軍が前進する。
自然な流れとして斜線陣にしてしまうのだ。
どうしてマスル軍が後退する役なのかというと、その方が王国軍の幹部にとって納得しやすいから。
しょせんは援軍でやってきた連中だから士気が高いわけがない。命を惜しまず戦うなんてあるわけがない、ってね。
より強く信じ込ませるために、ガイリアとマスルの両軍から罵声を飛ばし合うように指示もしてる。
そうやって王国軍の前衛部隊は、まんまと斜線陣に取り込まれてしまったわけだ。
そこから先は、俺の指示なんか必要ないね。
カイトス将軍もグラント魔将軍も、百戦錬磨の強者だもの。
王国軍の前衛が崩れたらどうすれば良いか、それを補うために左右両翼が動いたらどうするのがベストか。
ちゃーんと判ってるからね。
結局のところ戦ってのはさ、いかに相手の弱点を突くってのと、どうやって数的優位を確立するっていう二点を満たせるかどうかで勝敗が決まるんだ。
あ、もちろん敵を何千人も一瞬で焼き尽くす魔法とか、想像を絶する新兵器とか、そういうのは例外ね。
そもそもそんなもんを基準にして作戦を立てるなら、軍師も参謀もいらねーし。
今回は、王国軍の前衛部隊一万に対して、カイトス将軍の部隊一万が横撃からの突破ってかたちで弱点を突いた。
グラント魔将軍の部隊一万は、左右両翼の予備兵力で形成されたにわか前衛部隊五千に対して数的優位を確立させた。
そして残った王国軍本隊五千に対して、カイトス将軍は横撃プラス数的優位っていう、条件二つを満たした。
まさに必勝の条件ってやつである。
「けど、粘るな。王国軍」
「彼らもぉ、あとがないからねぇ」
つぶやいた俺に応えるのはサリエリだ。
戦場の狂風に白銀の髪がなびいている。
王国軍は撤退しない。
各所で分断され、各個撃破されながらも、未だに指揮の統一を保っているのだ。
「典型的な、有能だけど愚かな指揮官ってやつか」
「ここからなにかぁ、一発逆転の秘策があるのかもぉ」
にまにまとサリエリが笑っているのは、そんなものが存在しないことを知っているからだろう。
軍隊っていうのは、指揮系統と数と陣形が揃ってはじめて力を発揮するのだ。
現状ではそのうち一つしか満たせていない。
ここから逆転する秘策があるんだとしたら、俺が知りたいくらいである。
「逃げてくれればいいのに……」
「ネルネルは優しいねぇ」
このまま事態が推移すれば、ガイリア・マスルの連合軍が勝利する。それはほぼ確定的な事実だ。
しかしそれまでの間に、敵味方どちらの軍も相当数の損害を出すだろう。
この時点で死ぬのはまさに徒死である。
戦局に一切なにも寄与しない死というやつだ。
攻防いずれにしてもね。
それって、馬鹿馬鹿しいにもほどがあるというものだろう。
本来であれば散らせなくていい命なんだから。
「そおだねぃ。そういうことにしておくよぉ」
「なんだよ?」
「べぇつにぃ」
なんかサリエリの訳知り顔が、とても腹立つ。
両手でほっぺをつまんで、思い切り引っ張ってやりたいような、そんな気分だ。
と、そのときである。
「伝令! 伝令!」
と叫びながら、俺たちの陣にカイトス将軍の使いが駆け込んできた。
「カイトス将軍閣下からのご命令です! 聖剣オラシオンの剣先に敵司令官の首級を掲げて持ってこい、と!」
「承った。吉報をお待ちありたしと伝えてくれ」
「は! 武運を祈ります!」
一礼し、伝令兵が去っていく。
頭を潰せば王国軍は壊走するとカイトス将軍も読んだようだ。
「サリエリ。ライオネル隊を紡錘陣形に再編してくれ」
「わかったよぉ」
「メグたちは、各部隊に突撃する旨を伝えてくれ」
「了解ス」
ささっと二人が去っていく。
俺はあくまでもライオネル隊一千名の隊長であり、予備兵力五千の指揮権を持っているわけではない。
なので他の隊長たちに伝えておかないと、勝手な行動をしていると思われてしまうのだ。
もしかしたら他の隊にもカイトス将軍から指示がきてるかもしれないけど、それは俺には判らないしね。
やがて、紡錘陣形というもっとも突破力のある陣形に再編を終えた俺たちは、猛然と丘をくだり始める。
見ると、他の部隊も突入するようだ。
そりゃそうか。
カイトス将軍ほどの人が、兵力の逐次投入なんて馬鹿なことをするわけないもんな。
一斉に突入させるに決まっている。
「さあみんな! ここからは競走だぞ! 他の隊に遅れるなよ!」
仲間たちを煽っておく。
けどまあ、じつはそんなに武勲は立てなくて良いんだけどね。
前哨戦でしっかり功績は積んだわけだしあんまり目立ちすぎても嫉妬されるだけだし。
「いまさらですわ。ネルママはハーレムオカンとしてもう一部で有名ですわよ」
俺の横を走りながら、うふふふーとメイシャが笑う。
ていうかちょっと待って。
なにその謎の称号。
どういうイキモノを指してるの?
重装歩兵による斜線陣形と呼ばれるものだ。
ようするに斜めに陣を敷くことによって、相手の側面を突くという戦術なんだけど、最初からそういうふうに布陣したら、王国軍だって意図に気づいてしまう。
なので、接敵してから、押されているフリをしながらグラント魔将軍の軍が後退し、カイトス将軍の軍が前進する。
自然な流れとして斜線陣にしてしまうのだ。
どうしてマスル軍が後退する役なのかというと、その方が王国軍の幹部にとって納得しやすいから。
しょせんは援軍でやってきた連中だから士気が高いわけがない。命を惜しまず戦うなんてあるわけがない、ってね。
より強く信じ込ませるために、ガイリアとマスルの両軍から罵声を飛ばし合うように指示もしてる。
そうやって王国軍の前衛部隊は、まんまと斜線陣に取り込まれてしまったわけだ。
そこから先は、俺の指示なんか必要ないね。
カイトス将軍もグラント魔将軍も、百戦錬磨の強者だもの。
王国軍の前衛が崩れたらどうすれば良いか、それを補うために左右両翼が動いたらどうするのがベストか。
ちゃーんと判ってるからね。
結局のところ戦ってのはさ、いかに相手の弱点を突くってのと、どうやって数的優位を確立するっていう二点を満たせるかどうかで勝敗が決まるんだ。
あ、もちろん敵を何千人も一瞬で焼き尽くす魔法とか、想像を絶する新兵器とか、そういうのは例外ね。
そもそもそんなもんを基準にして作戦を立てるなら、軍師も参謀もいらねーし。
今回は、王国軍の前衛部隊一万に対して、カイトス将軍の部隊一万が横撃からの突破ってかたちで弱点を突いた。
グラント魔将軍の部隊一万は、左右両翼の予備兵力で形成されたにわか前衛部隊五千に対して数的優位を確立させた。
そして残った王国軍本隊五千に対して、カイトス将軍は横撃プラス数的優位っていう、条件二つを満たした。
まさに必勝の条件ってやつである。
「けど、粘るな。王国軍」
「彼らもぉ、あとがないからねぇ」
つぶやいた俺に応えるのはサリエリだ。
戦場の狂風に白銀の髪がなびいている。
王国軍は撤退しない。
各所で分断され、各個撃破されながらも、未だに指揮の統一を保っているのだ。
「典型的な、有能だけど愚かな指揮官ってやつか」
「ここからなにかぁ、一発逆転の秘策があるのかもぉ」
にまにまとサリエリが笑っているのは、そんなものが存在しないことを知っているからだろう。
軍隊っていうのは、指揮系統と数と陣形が揃ってはじめて力を発揮するのだ。
現状ではそのうち一つしか満たせていない。
ここから逆転する秘策があるんだとしたら、俺が知りたいくらいである。
「逃げてくれればいいのに……」
「ネルネルは優しいねぇ」
このまま事態が推移すれば、ガイリア・マスルの連合軍が勝利する。それはほぼ確定的な事実だ。
しかしそれまでの間に、敵味方どちらの軍も相当数の損害を出すだろう。
この時点で死ぬのはまさに徒死である。
戦局に一切なにも寄与しない死というやつだ。
攻防いずれにしてもね。
それって、馬鹿馬鹿しいにもほどがあるというものだろう。
本来であれば散らせなくていい命なんだから。
「そおだねぃ。そういうことにしておくよぉ」
「なんだよ?」
「べぇつにぃ」
なんかサリエリの訳知り顔が、とても腹立つ。
両手でほっぺをつまんで、思い切り引っ張ってやりたいような、そんな気分だ。
と、そのときである。
「伝令! 伝令!」
と叫びながら、俺たちの陣にカイトス将軍の使いが駆け込んできた。
「カイトス将軍閣下からのご命令です! 聖剣オラシオンの剣先に敵司令官の首級を掲げて持ってこい、と!」
「承った。吉報をお待ちありたしと伝えてくれ」
「は! 武運を祈ります!」
一礼し、伝令兵が去っていく。
頭を潰せば王国軍は壊走するとカイトス将軍も読んだようだ。
「サリエリ。ライオネル隊を紡錘陣形に再編してくれ」
「わかったよぉ」
「メグたちは、各部隊に突撃する旨を伝えてくれ」
「了解ス」
ささっと二人が去っていく。
俺はあくまでもライオネル隊一千名の隊長であり、予備兵力五千の指揮権を持っているわけではない。
なので他の隊長たちに伝えておかないと、勝手な行動をしていると思われてしまうのだ。
もしかしたら他の隊にもカイトス将軍から指示がきてるかもしれないけど、それは俺には判らないしね。
やがて、紡錘陣形というもっとも突破力のある陣形に再編を終えた俺たちは、猛然と丘をくだり始める。
見ると、他の部隊も突入するようだ。
そりゃそうか。
カイトス将軍ほどの人が、兵力の逐次投入なんて馬鹿なことをするわけないもんな。
一斉に突入させるに決まっている。
「さあみんな! ここからは競走だぞ! 他の隊に遅れるなよ!」
仲間たちを煽っておく。
けどまあ、じつはそんなに武勲は立てなくて良いんだけどね。
前哨戦でしっかり功績は積んだわけだしあんまり目立ちすぎても嫉妬されるだけだし。
「いまさらですわ。ネルママはハーレムオカンとしてもう一部で有名ですわよ」
俺の横を走りながら、うふふふーとメイシャが笑う。
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