二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第64話 束の間の平和
夜襲によって九百余の兵力を失った王国軍は、草原決戦で八百余にまで打ち減らされ、計算もなにもなく敗走した。
指揮官の首級をアスカがあげたのがでかいね。
追撃部隊と戦ったときもそうだったけど、あいつは武勲を立てる機会に恵まれてる。
さすがは「英雄」ってところかな。
頭を失った王国軍は組織的な抵抗ができなくなり、散々に打ち減らされたわけだ。
もちろんライオネル隊だって無傷では済まない。
戦死が十六人に重傷が八人という数字は、やっぱり重いよな。
ゼロで勝つなんてできないって、判ってはいるけどさ。
ともあれ、勝利は勝利である。
俺たちはすぐにガイリアの街へと凱旋し、熱烈な歓迎を受けた。
三千の王国軍を千人でやっつけたわけだからね。ニュース性としても充分だろう。
しかも先勝だし。
軍民問わず、多いに盛り上がった。
「さすがだの。ライオネル」
「想像していた以上だよ。なんでおぬしは在野にいるんだ?」
カイトス将軍とドロス伯爵からも、かなり褒められたし、褒美もいただいた。
金銭もさることながら、剣がありがたいね。
ほら、愛用のブロードソードはガラングランの王城で捕まったとき没収されちゃったんだよ。
それ以来、将軍の部下からもらったやつを使ってたからさ。
性能としては、ただで人にあげられる程度のもの、といえば想像していただけるだろうか。
ドロス伯爵から授かった剣は、オラシオンっていう名前の魔力剣だった。
二百年くらい前に、なにやら崇高な試練に向かう勇者に恋人が渡した剣らしいね。
この剣で勇者はドラゴンを倒し、竜殺しの称号を得たんだとか。
もちろん伝承なんで、どこまで本当かは判らない。
けど、俺もついにマジックアイテムを持つ日がきたか。
感慨深いね。
こういうのは、金を積めば買えるってもんじゃないからさ。
マジックアイテムが普通に売っているマスルがどうかしているだけで。
あと、王国軍に壊された宿場町の施設とかは、ドロス伯爵がちゃんと補償してくれる運びとなった。
これが一番ありがたかったよ。
作戦のためとはいえ、宿場町の人たちには多大なご迷惑をおかけしたから。
「ネルママ。絵入新聞の方がお見えですわ」
「またか」
軍用地図から顔を上げ、俺はため息をついた。
凱旋以降、三日にあげず記者が『希望』クラン小屋を訪れるのだ。
いろんな理由を付けて。
ちなみに、絵入新聞で紹介された眉目鋭く秀麗な好青年なイラストで紙面を飾ったライオネルは、とても俺とは思えないくらいだった。
美辞麗句で飾られてるしね。
「こんにちは! ガイリア新聞のモゼットです!」
「今日はなんです? モゼットさん。こう毎日のようにこられると、落ち着いて作戦立案も訓練もできないんですが」
「じつは、弊社主催で戦勝祝賀会を開くことになりまして、ぜひ『希望』のみなさんにも出席していただきたい、と」
如才なく揉み手なんかしながら、中年の記者が誘ってくる。
「祝賀会なら、三日前もあったじゃないですか」
「あれはガイリア商工会の主催です。今回は弊社が主催いたしますので」
一回で済ませろよ、と言いたい。
すごく言いたい。
王国軍はやっつけたけど、すぐにまた体勢を整えて攻めてくるんだよ?
遊んでる暇はないんだよ?
さすがに次の戦いで俺の出番はないと思うけどさ。
あんまり俺ばっかり武勲を立てるわけにはいかないからね。
たぶん次はカイトス将軍の本隊が出る。
中身はドロス伯爵が抱える部隊だから練度も高いし、キリル参謀が輔佐をするわけだから、名実ともにガイリアの主力部隊だ。
おそらく、そのカードを切らないといけない規模の敵がくるんだよ。
三千で負けたのに、次は二千ってわけがないからね。
最低でも五千。多ければ一万人規模の軍を動かすだろう。
そうなったら、ライオネル隊の千名でどうにかなる話ではない。もしかしたら陽動作戦とかで出番があるかなーってくらいだ。
でも、だからって遊んでいて良いわけがない。
「肉は出ますの?」
「もちろんですよ。メイシャさん」
「参加いたしますわ」
そして、俺の内心の声も知らずに、メイシャがあっさりと出席を決めてしまう。
ほんっとに、この食いしん坊プリーストは。
「いいじゃないですか。食べられるときに食べておきましょうよ。せっかくのご馳走ですし」
渋い顔をする俺に、ミリアリアが腰のあたりを叩いて慰撫してくれた。
「ドレスとか貸してもらえるかな!」
「もちろんですよ。アスカさん」
「オレはドレスって苦手ス。動きにくいス」
「そんなこと言わずに、メグさんもおきれいなんですから」
無駄に愛想振りまいてるな。モゼットさんは。
俺と直接交渉するより、娘たちを誘った方が上手くいくと学習したらしいな。この人は。
こういうのも、将を射んと欲すればまず馬を射よってやつなんだろうか。
「しかたないな。いきますよ」
「それでですね。サリエリさんにもぜひお越しいただきたいのですが」
彼女はガイリアとマスルの架け橋みたいな存在だからね。
こういう場にはまず間違いなく呼ばれる。
そして、いつもののへーっとした顔に戸惑われてしまうまでが一セットだ。
普通の人から見たら、あんなにぽやーんとした娘が、ライオネル隊の中隊長をつとめてるってのが信じられないし。
マスル王国でもそれなりの地位にあるってのが、もっと信じられないっぽいね。
「わかりました。伝えておきます」
苦笑して約束する。
ちなみに、サリエリは自分の役割をきっちり理解しているので、政治的な繋がりを強化する機会をみすみす逃すようなことは絶対にしない。
こうして俺たちは、ひとときの平和を忙しく過ごすのだった。
指揮官の首級をアスカがあげたのがでかいね。
追撃部隊と戦ったときもそうだったけど、あいつは武勲を立てる機会に恵まれてる。
さすがは「英雄」ってところかな。
頭を失った王国軍は組織的な抵抗ができなくなり、散々に打ち減らされたわけだ。
もちろんライオネル隊だって無傷では済まない。
戦死が十六人に重傷が八人という数字は、やっぱり重いよな。
ゼロで勝つなんてできないって、判ってはいるけどさ。
ともあれ、勝利は勝利である。
俺たちはすぐにガイリアの街へと凱旋し、熱烈な歓迎を受けた。
三千の王国軍を千人でやっつけたわけだからね。ニュース性としても充分だろう。
しかも先勝だし。
軍民問わず、多いに盛り上がった。
「さすがだの。ライオネル」
「想像していた以上だよ。なんでおぬしは在野にいるんだ?」
カイトス将軍とドロス伯爵からも、かなり褒められたし、褒美もいただいた。
金銭もさることながら、剣がありがたいね。
ほら、愛用のブロードソードはガラングランの王城で捕まったとき没収されちゃったんだよ。
それ以来、将軍の部下からもらったやつを使ってたからさ。
性能としては、ただで人にあげられる程度のもの、といえば想像していただけるだろうか。
ドロス伯爵から授かった剣は、オラシオンっていう名前の魔力剣だった。
二百年くらい前に、なにやら崇高な試練に向かう勇者に恋人が渡した剣らしいね。
この剣で勇者はドラゴンを倒し、竜殺しの称号を得たんだとか。
もちろん伝承なんで、どこまで本当かは判らない。
けど、俺もついにマジックアイテムを持つ日がきたか。
感慨深いね。
こういうのは、金を積めば買えるってもんじゃないからさ。
マジックアイテムが普通に売っているマスルがどうかしているだけで。
あと、王国軍に壊された宿場町の施設とかは、ドロス伯爵がちゃんと補償してくれる運びとなった。
これが一番ありがたかったよ。
作戦のためとはいえ、宿場町の人たちには多大なご迷惑をおかけしたから。
「ネルママ。絵入新聞の方がお見えですわ」
「またか」
軍用地図から顔を上げ、俺はため息をついた。
凱旋以降、三日にあげず記者が『希望』クラン小屋を訪れるのだ。
いろんな理由を付けて。
ちなみに、絵入新聞で紹介された眉目鋭く秀麗な好青年なイラストで紙面を飾ったライオネルは、とても俺とは思えないくらいだった。
美辞麗句で飾られてるしね。
「こんにちは! ガイリア新聞のモゼットです!」
「今日はなんです? モゼットさん。こう毎日のようにこられると、落ち着いて作戦立案も訓練もできないんですが」
「じつは、弊社主催で戦勝祝賀会を開くことになりまして、ぜひ『希望』のみなさんにも出席していただきたい、と」
如才なく揉み手なんかしながら、中年の記者が誘ってくる。
「祝賀会なら、三日前もあったじゃないですか」
「あれはガイリア商工会の主催です。今回は弊社が主催いたしますので」
一回で済ませろよ、と言いたい。
すごく言いたい。
王国軍はやっつけたけど、すぐにまた体勢を整えて攻めてくるんだよ?
遊んでる暇はないんだよ?
さすがに次の戦いで俺の出番はないと思うけどさ。
あんまり俺ばっかり武勲を立てるわけにはいかないからね。
たぶん次はカイトス将軍の本隊が出る。
中身はドロス伯爵が抱える部隊だから練度も高いし、キリル参謀が輔佐をするわけだから、名実ともにガイリアの主力部隊だ。
おそらく、そのカードを切らないといけない規模の敵がくるんだよ。
三千で負けたのに、次は二千ってわけがないからね。
最低でも五千。多ければ一万人規模の軍を動かすだろう。
そうなったら、ライオネル隊の千名でどうにかなる話ではない。もしかしたら陽動作戦とかで出番があるかなーってくらいだ。
でも、だからって遊んでいて良いわけがない。
「肉は出ますの?」
「もちろんですよ。メイシャさん」
「参加いたしますわ」
そして、俺の内心の声も知らずに、メイシャがあっさりと出席を決めてしまう。
ほんっとに、この食いしん坊プリーストは。
「いいじゃないですか。食べられるときに食べておきましょうよ。せっかくのご馳走ですし」
渋い顔をする俺に、ミリアリアが腰のあたりを叩いて慰撫してくれた。
「ドレスとか貸してもらえるかな!」
「もちろんですよ。アスカさん」
「オレはドレスって苦手ス。動きにくいス」
「そんなこと言わずに、メグさんもおきれいなんですから」
無駄に愛想振りまいてるな。モゼットさんは。
俺と直接交渉するより、娘たちを誘った方が上手くいくと学習したらしいな。この人は。
こういうのも、将を射んと欲すればまず馬を射よってやつなんだろうか。
「しかたないな。いきますよ」
「それでですね。サリエリさんにもぜひお越しいただきたいのですが」
彼女はガイリアとマスルの架け橋みたいな存在だからね。
こういう場にはまず間違いなく呼ばれる。
そして、いつもののへーっとした顔に戸惑われてしまうまでが一セットだ。
普通の人から見たら、あんなにぽやーんとした娘が、ライオネル隊の中隊長をつとめてるってのが信じられないし。
マスル王国でもそれなりの地位にあるってのが、もっと信じられないっぽいね。
「わかりました。伝えておきます」
苦笑して約束する。
ちなみに、サリエリは自分の役割をきっちり理解しているので、政治的な繋がりを強化する機会をみすみす逃すようなことは絶対にしない。
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