二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第49話 臨時メンバー
ミレーヌは二日間ピランに滞在し、マスル王国へと帰還する。
俺たちもまたそれにくっついてマスル入りだ。魔王イングラルに謁見するために。
『希望』とザックラント。合計六名である。
もうね、現ピラン卿の容儀の軽さに、全員の目が点になりましたわ。
このおっさん、随員も護衛もつけず、単身で魔王に会いに行くつもりなんですよ。
「身の回りの世話をしてもらうほど耄碌してないし、護衛なんて仮に百人連れて行っても無意味だろう。マスルが私を殺そうと思ったなら」
というのが理由だそうです。
剛毅とか豪胆を通り越してるからね。
なので、俺たち六人が護衛を兼ねることになった。
うん。一人多いよね。
「うちが増えた一人だよぉ」
「誰にいってるんだ。きみは」
臨時メンバーはサリエリである。
俺たち『希望』の五人はピラン城に残る留守居役から依頼されて、サリエリは上司であるミレーヌに命じられて、ザックラントを護衛するのだ。
もちろんバラバラに動いては意味がないから、サリエリも俺の指揮下に入るってかたちね。
出会ったばかりの頃は彼女に対して隔意を抱いていた感のあるアスカ、ミリアリア、メイシャ、メグだけど、ピラン城で一緒に過ごすうちに充分に打ち解けた。連携に問題はないだろう。
二十日近くも同じ釜の飯を食ってれば、親和力だって高まるというもんだ。
ちなみにサリエリの天賦は「勇者」でジョブは魔法剣士。様々なものに才能のある天賦だから、接近戦もこなすし魔法も使うっていう万能型のジョブは最適である。
普通の人が魔法剣士なんか目指したら、まちがいなく帯に短したすきに長しっていう中途半端を絵に描いたような感じになってしまう。
万能の才を持つ彼女だからこそ、こういう難しいジョブでも大成したってことなんだろうね。
ともあれ、サリエリが加わってくれたことで、俺がとれる作戦の幅だってぐっと広がる。
アスカと二人でツートップを組んでもらい、俺は中段で指揮に専念するも良し。
あるいはミリアリアとのコンビでダブル魔法使いってフォーメーションもとれる。
さらに、メグと一緒にして遊撃を二枚にする作戦も悪くない。
まさにユーティリティな活躍が期待できるわけだ。
「わたくしとのコンビはありませんの? ネルママ」
「メイシャの位置は固定だろ。要なんだから」
森の中を歩きながらの質問に笑ってみせた。
このあたりは道も狭くて馬車が使えないため徒歩移動である。国境の砦についたら、そこで馬車を仕立てることとなり、御者はマスル王国の兵士がやってくれる手筈になってるらしい。
俺たちは一応、賓客扱いなので客車に座っているだけだ。
宿泊する宿だって提供される食事や酒だって、もちろん料金を請求されたりしない。
全部マスル王国持ちである。
「お金のかからない旅行! 最高だよね!」
アスカが喜んでいるが、俺もまあ同意見だ。
毎度毎度、遠征のたびに頭を悩ませてたからね。
良い宿に良い食事なんていってたら、報酬額とのバランスが取れなくなってしまうから。
みみっちいと言うなかれ。依頼は達成したけど赤字でしたってのは、けっこう悲しいんだよ?
変わった匂いが漂ってくる。
タマゴが腐ったような、なんともいえない悪臭だ。
事前に説明を受けていなかったら、すわ毒ガスかと警戒したことだろう。
温泉ってのがあるんだそうだ。
なんと、地面からお湯が沸き出してるんだってさ。
火山があるからって話なんだけど、なんで火山があると温泉が出るのかって部分はよく判らない。
「すっごい匂いだね! ネル母ちゃん!」
わざとらしく鼻をつまみながら、アスカが楽しそうに言った。
猪突猛進な上に積極攻撃型という突っ走るために生まれてきたような女の子は、物珍しいことも大好きである。
学習意欲が旺盛なミリアリアも好奇心に目を輝かせているし、名物料理の温泉卵とやらの話を聞いたメイシャは飢えた野獣のように目をぎらつかせている。
「匂いのせいで気配読みが微妙スね。モンスターが近づいても判らないかもしれないス」
馬車の中から視線を周囲に走らせ、警戒しているのはメグくらいなものだ。
サリエリはのへーっとしているし、ミレーヌはザックラントと談笑しているし。
物見遊山まるだしって感じである。
「あまり気張るなよ。メグ」
ぽんぽんと肩を叩いてやれば、性分スからと言葉が返ってきた。
元盗賊だからね。
完全に気を休めるってのはなかなかできないみたいなんだ。
いつ官憲に包囲されるか判らないって生活をずっと送ってきたわけだから。
「疲れちゃうよ!」
アスカがむにむにとメグのほっぺたを押すけど、彼女の場合はもうちょっとだけ緊張感を持った方が良い。
気張りすぎのメグと油断しすぎのアスカ。
こう、足して五くらいで割るとちょうど良いんだけどな。
え? 計算が合わないって?
なにいってるんだよ。少し薄めないと飲めるわけないじゃないか。原酒なんて。
ともあれ、今夜の宿泊は、温泉に併設された宿のひとつらしい。
グレードの高いものから庶民的なものまで、様々な宿が建っているのが温泉街ジョイザーって場所らしい。
ようするに、将軍の別荘の掃除に行ったミカサ湖畔市みたいなリゾートってことだね。
「露天風呂ってのも楽しめるんですよぉ」
サリエリが教えてくれるが、娘たちの反応は今ひとつだった。
まあ、もともと川で身体を洗っていた人たちだしね。今の風呂だって、屋根がついたのはけっこう最近だし。
露天風呂の開放感は、たっぷりと経験済みなのである。
貧乏ってつらいよね。
俺たちもまたそれにくっついてマスル入りだ。魔王イングラルに謁見するために。
『希望』とザックラント。合計六名である。
もうね、現ピラン卿の容儀の軽さに、全員の目が点になりましたわ。
このおっさん、随員も護衛もつけず、単身で魔王に会いに行くつもりなんですよ。
「身の回りの世話をしてもらうほど耄碌してないし、護衛なんて仮に百人連れて行っても無意味だろう。マスルが私を殺そうと思ったなら」
というのが理由だそうです。
剛毅とか豪胆を通り越してるからね。
なので、俺たち六人が護衛を兼ねることになった。
うん。一人多いよね。
「うちが増えた一人だよぉ」
「誰にいってるんだ。きみは」
臨時メンバーはサリエリである。
俺たち『希望』の五人はピラン城に残る留守居役から依頼されて、サリエリは上司であるミレーヌに命じられて、ザックラントを護衛するのだ。
もちろんバラバラに動いては意味がないから、サリエリも俺の指揮下に入るってかたちね。
出会ったばかりの頃は彼女に対して隔意を抱いていた感のあるアスカ、ミリアリア、メイシャ、メグだけど、ピラン城で一緒に過ごすうちに充分に打ち解けた。連携に問題はないだろう。
二十日近くも同じ釜の飯を食ってれば、親和力だって高まるというもんだ。
ちなみにサリエリの天賦は「勇者」でジョブは魔法剣士。様々なものに才能のある天賦だから、接近戦もこなすし魔法も使うっていう万能型のジョブは最適である。
普通の人が魔法剣士なんか目指したら、まちがいなく帯に短したすきに長しっていう中途半端を絵に描いたような感じになってしまう。
万能の才を持つ彼女だからこそ、こういう難しいジョブでも大成したってことなんだろうね。
ともあれ、サリエリが加わってくれたことで、俺がとれる作戦の幅だってぐっと広がる。
アスカと二人でツートップを組んでもらい、俺は中段で指揮に専念するも良し。
あるいはミリアリアとのコンビでダブル魔法使いってフォーメーションもとれる。
さらに、メグと一緒にして遊撃を二枚にする作戦も悪くない。
まさにユーティリティな活躍が期待できるわけだ。
「わたくしとのコンビはありませんの? ネルママ」
「メイシャの位置は固定だろ。要なんだから」
森の中を歩きながらの質問に笑ってみせた。
このあたりは道も狭くて馬車が使えないため徒歩移動である。国境の砦についたら、そこで馬車を仕立てることとなり、御者はマスル王国の兵士がやってくれる手筈になってるらしい。
俺たちは一応、賓客扱いなので客車に座っているだけだ。
宿泊する宿だって提供される食事や酒だって、もちろん料金を請求されたりしない。
全部マスル王国持ちである。
「お金のかからない旅行! 最高だよね!」
アスカが喜んでいるが、俺もまあ同意見だ。
毎度毎度、遠征のたびに頭を悩ませてたからね。
良い宿に良い食事なんていってたら、報酬額とのバランスが取れなくなってしまうから。
みみっちいと言うなかれ。依頼は達成したけど赤字でしたってのは、けっこう悲しいんだよ?
変わった匂いが漂ってくる。
タマゴが腐ったような、なんともいえない悪臭だ。
事前に説明を受けていなかったら、すわ毒ガスかと警戒したことだろう。
温泉ってのがあるんだそうだ。
なんと、地面からお湯が沸き出してるんだってさ。
火山があるからって話なんだけど、なんで火山があると温泉が出るのかって部分はよく判らない。
「すっごい匂いだね! ネル母ちゃん!」
わざとらしく鼻をつまみながら、アスカが楽しそうに言った。
猪突猛進な上に積極攻撃型という突っ走るために生まれてきたような女の子は、物珍しいことも大好きである。
学習意欲が旺盛なミリアリアも好奇心に目を輝かせているし、名物料理の温泉卵とやらの話を聞いたメイシャは飢えた野獣のように目をぎらつかせている。
「匂いのせいで気配読みが微妙スね。モンスターが近づいても判らないかもしれないス」
馬車の中から視線を周囲に走らせ、警戒しているのはメグくらいなものだ。
サリエリはのへーっとしているし、ミレーヌはザックラントと談笑しているし。
物見遊山まるだしって感じである。
「あまり気張るなよ。メグ」
ぽんぽんと肩を叩いてやれば、性分スからと言葉が返ってきた。
元盗賊だからね。
完全に気を休めるってのはなかなかできないみたいなんだ。
いつ官憲に包囲されるか判らないって生活をずっと送ってきたわけだから。
「疲れちゃうよ!」
アスカがむにむにとメグのほっぺたを押すけど、彼女の場合はもうちょっとだけ緊張感を持った方が良い。
気張りすぎのメグと油断しすぎのアスカ。
こう、足して五くらいで割るとちょうど良いんだけどな。
え? 計算が合わないって?
なにいってるんだよ。少し薄めないと飲めるわけないじゃないか。原酒なんて。
ともあれ、今夜の宿泊は、温泉に併設された宿のひとつらしい。
グレードの高いものから庶民的なものまで、様々な宿が建っているのが温泉街ジョイザーって場所らしい。
ようするに、将軍の別荘の掃除に行ったミカサ湖畔市みたいなリゾートってことだね。
「露天風呂ってのも楽しめるんですよぉ」
サリエリが教えてくれるが、娘たちの反応は今ひとつだった。
まあ、もともと川で身体を洗っていた人たちだしね。今の風呂だって、屋根がついたのはけっこう最近だし。
露天風呂の開放感は、たっぷりと経験済みなのである。
貧乏ってつらいよね。
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