二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第45話 終わってから出てくるやつ
俺は夜明け前のピラン城を出た。
単身ではなく、ザックラントに借りた十五名の兵士と、アスカ、ミリアリア、メイシャ、メグを入れて二十名である。
偵察隊とみるか脱走者とみるか、はたまた別働隊がなにかたくらんでいるとみるか。
いずれにしても、この部隊を見過ごすって選択肢は敵にはない。
「ネルママ。食いついてきましたわ」
メイシャがめざとく敵影を発見する。
城から見て左手へと移動する俺たちの頭を押さえつけるように、前方の森からゴブリンとウルフの混成部隊が現れたのだ。
数は五十匹ほどでこちらよりはるかに多いが、あきらかに士気が下がっている上に疲労感が隠し切れていない。
先ほど罠に引き込まれて袋叩きに遭った連中の生き残りだろう。
普通ならこんな連中はもう使わない。
兵力として計算できないからだ。
「普通と違うことをやってくる理由はなんスか?」
メグが小首をかしげる。
彼女でなくても不思議に思うだろう。
ぶつかったら一撃で粉砕できそうなくらいにへろへろなんだもの。
「捨て駒さ。あいつらをやっつけて、こっちが疲れたところで敵は新しい部隊を押し出してくるつもりなんだろう」
モンスターを手駒にしてるから、ギューネイってやつは簡単に味方を切り捨てるし囮にする。
それは判っていたことだ。
「じゃあどうするんスか?」
「どうするもこうするも、あんな連中は放置でかまわないさ。むしろ大事なのは、あいつらがどこから現れたかってこと」
ぴっと、俺はブロードソードで森の一角を指す。
ゴブリンどもが現れたポイント。
そここそがギューネイの本陣である。
俺たちの部隊は前進を続け、ゴブリンたちとぶつかる直前に方向転換をして森へと駆けはじめた。
この動きについてこれず、ゴブリンはふらふらとうずくまってしまったり、奇声を上げて逃げ出したり。
もう統制もへったくれもないね。
がっつり士気が下がってるところに、戦わなくて良いかもって選択肢が現れたら、まあこうなってしまうだろう。
この状況でも俺たちを追いかけて戦おう、なんていう剛の者は最初の戦いでとっくに死んでるだろうしね。
ゴブリンとウルフを置き去りに、俺たちは森へと迫る。
すると、六体の人食い鬼が、バキバキと梢を折りながら現れた。
やや慌てたように。
ギューネイを守る虎の子の親衛隊って感じかな。
もったいないね。
こんな兵力があるなら、さっきの突撃戦のときに使えば良かったのにな。
オーガなんて、攻撃に使ってこそ活きる駒だろうに。
さっと剣を振ると、俺たちライオネル隊は左右二手に分かれる。
一方はアスカを中心とした戦士隊十名。喊声とともに剣を振り上げ、オーガを迂回して森の中を目指す。
すると、オーガたちは残った俺たちを無視してアスカ分隊を追いかけ始めた。
どたどたと。
「いやいや。バカじゃないですか? あれ」
「オーガはもともとバカさ。それを上手く使いこなせないのは、命令をしているギューネイとやらがもっとバカなんだ」
あきれ顔のミリアリアに頷いてみせる。
彼女をはじめとして魔法使い三名が、一斉に魔法を撃ちはなった。
オーガの背中に向かって。
ぶっちゃけただの的である。
三本の氷の槍が三体のオーガを背中から貫き、不格好な氷像に変えた。
俺たち本隊の主力は彼女ら魔法戦力。三人のメイジと二人のプリースト、そしてそれを護衛する俺やメグといった近接系が五名である。
ぎょっと足を止め振り返ったオーガの生き残り三体に、今度はアスカ分隊が襲いかかった。
いくら強大なモンスターでも、動揺しているところを後ろから斬りかかられたらひとたまりもない。
あげく、三対十の劣勢だもの。
次々と倒されていくオーガ。必死に振り回す巨大な棍棒がむしろ哀れさを誘う。
まあ、それでも膂力はすごいんで、当たったら大ダメージなんだけどね。
簡単に吹き飛ばされちゃうし。
けど、傷を負った味方は、メイシャともう一人の僧侶が回復魔法で癒していく。
最後のオーガがアスカに斬り伏せられたとき、戦闘開始から小半刻(十五分)すら経過していなかった。
そして、じつはそれですべての戦闘が終了である。
なぜかと問うなら、俺のそばにいたはずのメグとピランの偵察兵の姿がないことが解答になるだろうか。
十八人で森の中に分け入れば、少し開けた場所にギューネイとおぼしき人物が横たわっていた。
「殺しちゃった?」
「しびれ薬ス。オーガたちの方を見て叫びっぱなしだったんで、後ろから近づいても気づかなかったス。罠かと思ったス」
なんともいえない表情のメグと、偵察兵がこくこく頷いている。
まあ、ギューネイにとっては絶対の防壁だったんだろうからね。オーガ六体は。
運用方法を思いっきり間違ってるけど。
防衛戦なんて器用な真似、オーガにできるわけないじゃんね。
「わたしオーガ倒した! オーガキラーだ!」
アスカがすげー自慢している。
間違ってないけど間違ってるからな? 魔法の品物で操られて、本来の特性でない動きをさせられてるオーガなんて、実力の半分も出せてないんだよ?
こんなんで鬼切の達人だなんて自惚れちゃいけません。
剣を掲げて吠えてるアスカの頭を、こつんと小突いておく。
と、そのときである。
「危なくなったら助けようとおもってたんですけどぉ。危なくならなかったのでぇ、登場のタイミングを見失っちゃいましたぁ」
すっごい間延びした声とともに、木々の間から影が姿を見せた。
いや、影じゃなくてダークエルフだな。
褐色の肌と白銀の髪が特徴的だ。
なによりとがった耳が。
「あ、うち、サリエリって言いますぅ。そこに転がってる人を捕まえにきたぁ、マスル王国の犬てきなやつですぅ」
なんだかとっても眠そうな、のへーっとした顔で、のへーっとした自己紹介をされてしまった。
ピランの兵士たちも四人娘も、すごく微妙な顔だ。
あえて表現するなら、ぐだぐだな空気とでもいえばいいのだろうか。
単身ではなく、ザックラントに借りた十五名の兵士と、アスカ、ミリアリア、メイシャ、メグを入れて二十名である。
偵察隊とみるか脱走者とみるか、はたまた別働隊がなにかたくらんでいるとみるか。
いずれにしても、この部隊を見過ごすって選択肢は敵にはない。
「ネルママ。食いついてきましたわ」
メイシャがめざとく敵影を発見する。
城から見て左手へと移動する俺たちの頭を押さえつけるように、前方の森からゴブリンとウルフの混成部隊が現れたのだ。
数は五十匹ほどでこちらよりはるかに多いが、あきらかに士気が下がっている上に疲労感が隠し切れていない。
先ほど罠に引き込まれて袋叩きに遭った連中の生き残りだろう。
普通ならこんな連中はもう使わない。
兵力として計算できないからだ。
「普通と違うことをやってくる理由はなんスか?」
メグが小首をかしげる。
彼女でなくても不思議に思うだろう。
ぶつかったら一撃で粉砕できそうなくらいにへろへろなんだもの。
「捨て駒さ。あいつらをやっつけて、こっちが疲れたところで敵は新しい部隊を押し出してくるつもりなんだろう」
モンスターを手駒にしてるから、ギューネイってやつは簡単に味方を切り捨てるし囮にする。
それは判っていたことだ。
「じゃあどうするんスか?」
「どうするもこうするも、あんな連中は放置でかまわないさ。むしろ大事なのは、あいつらがどこから現れたかってこと」
ぴっと、俺はブロードソードで森の一角を指す。
ゴブリンどもが現れたポイント。
そここそがギューネイの本陣である。
俺たちの部隊は前進を続け、ゴブリンたちとぶつかる直前に方向転換をして森へと駆けはじめた。
この動きについてこれず、ゴブリンはふらふらとうずくまってしまったり、奇声を上げて逃げ出したり。
もう統制もへったくれもないね。
がっつり士気が下がってるところに、戦わなくて良いかもって選択肢が現れたら、まあこうなってしまうだろう。
この状況でも俺たちを追いかけて戦おう、なんていう剛の者は最初の戦いでとっくに死んでるだろうしね。
ゴブリンとウルフを置き去りに、俺たちは森へと迫る。
すると、六体の人食い鬼が、バキバキと梢を折りながら現れた。
やや慌てたように。
ギューネイを守る虎の子の親衛隊って感じかな。
もったいないね。
こんな兵力があるなら、さっきの突撃戦のときに使えば良かったのにな。
オーガなんて、攻撃に使ってこそ活きる駒だろうに。
さっと剣を振ると、俺たちライオネル隊は左右二手に分かれる。
一方はアスカを中心とした戦士隊十名。喊声とともに剣を振り上げ、オーガを迂回して森の中を目指す。
すると、オーガたちは残った俺たちを無視してアスカ分隊を追いかけ始めた。
どたどたと。
「いやいや。バカじゃないですか? あれ」
「オーガはもともとバカさ。それを上手く使いこなせないのは、命令をしているギューネイとやらがもっとバカなんだ」
あきれ顔のミリアリアに頷いてみせる。
彼女をはじめとして魔法使い三名が、一斉に魔法を撃ちはなった。
オーガの背中に向かって。
ぶっちゃけただの的である。
三本の氷の槍が三体のオーガを背中から貫き、不格好な氷像に変えた。
俺たち本隊の主力は彼女ら魔法戦力。三人のメイジと二人のプリースト、そしてそれを護衛する俺やメグといった近接系が五名である。
ぎょっと足を止め振り返ったオーガの生き残り三体に、今度はアスカ分隊が襲いかかった。
いくら強大なモンスターでも、動揺しているところを後ろから斬りかかられたらひとたまりもない。
あげく、三対十の劣勢だもの。
次々と倒されていくオーガ。必死に振り回す巨大な棍棒がむしろ哀れさを誘う。
まあ、それでも膂力はすごいんで、当たったら大ダメージなんだけどね。
簡単に吹き飛ばされちゃうし。
けど、傷を負った味方は、メイシャともう一人の僧侶が回復魔法で癒していく。
最後のオーガがアスカに斬り伏せられたとき、戦闘開始から小半刻(十五分)すら経過していなかった。
そして、じつはそれですべての戦闘が終了である。
なぜかと問うなら、俺のそばにいたはずのメグとピランの偵察兵の姿がないことが解答になるだろうか。
十八人で森の中に分け入れば、少し開けた場所にギューネイとおぼしき人物が横たわっていた。
「殺しちゃった?」
「しびれ薬ス。オーガたちの方を見て叫びっぱなしだったんで、後ろから近づいても気づかなかったス。罠かと思ったス」
なんともいえない表情のメグと、偵察兵がこくこく頷いている。
まあ、ギューネイにとっては絶対の防壁だったんだろうからね。オーガ六体は。
運用方法を思いっきり間違ってるけど。
防衛戦なんて器用な真似、オーガにできるわけないじゃんね。
「わたしオーガ倒した! オーガキラーだ!」
アスカがすげー自慢している。
間違ってないけど間違ってるからな? 魔法の品物で操られて、本来の特性でない動きをさせられてるオーガなんて、実力の半分も出せてないんだよ?
こんなんで鬼切の達人だなんて自惚れちゃいけません。
剣を掲げて吠えてるアスカの頭を、こつんと小突いておく。
と、そのときである。
「危なくなったら助けようとおもってたんですけどぉ。危なくならなかったのでぇ、登場のタイミングを見失っちゃいましたぁ」
すっごい間延びした声とともに、木々の間から影が姿を見せた。
いや、影じゃなくてダークエルフだな。
褐色の肌と白銀の髪が特徴的だ。
なによりとがった耳が。
「あ、うち、サリエリって言いますぅ。そこに転がってる人を捕まえにきたぁ、マスル王国の犬てきなやつですぅ」
なんだかとっても眠そうな、のへーっとした顔で、のへーっとした自己紹介をされてしまった。
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