二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第23話 サハギン襲来(前編)
クランの経費で買うのが作業着だってだけで、景勝地に相応しい私服を買うというのなら、自分の財布で好きなようにすれば良い。
さっき見かけたようなきわどい衣服だって、買いたいならば買えば良いさ。
何に使うのかは、知らないけどな。
「服は欲しいけど、あんまりお金使えないんだよ。借金を返さないといけないし」
ちょっとしょんぼり応えるアスカだった。
俺は手を伸ばして、赤い頭をぽんぽんと叩いてやる。
「それな。ガイリアに帰ったら肩代わりするぞ。クランの金でな」
「へ?」
「へじゃない。冒険者としての装備なんだから、冒険者クランの経費で買わないとダメだ」
ちょっと飛躍した論理を使う。
本来、冒険者の装備は自分持ちだ。そろいの団服とか作る場合を除いては。
結局のところ、自分に合う武器や防具を身につけないと意味がないし、自分しか使えないものをクランの金で買うってのは、さすがにちょっと間尺に合わない。
けど、団員の装備は団で揃えるって考えも、まったく間違っているというわけでもないのである。
団員の働きこそがクランの収入なのだから、最高に近いパフォーマンスをもって仕事をしてもらわないといけない。
装備だって例外ではないのだ。
「そうなのかな?」
こてんとアスカが首をかしげる。
「俺がそう考えてるってだけの話で、まったく一般的じゃないけどな」
むしろ、若い娘たちが、借金返済のために好きな服すら買えないって状況が面白くないだけだけどな。
これはわざわざ口に出す必要がないことである。
「だから、借金のことはいったん頭から追い出して良い。クランとしてちゃんと考えるから」
アスカ、ミリアリア、メイシャを等分に眺めながら言う。
まともなクランハウスに引っ越す日はますます遠ざかるけど、それはそれで仕方がない。
あの小屋にだって少しは愛着が……でてこないなぁ。残念ながら。
「お母ちゃん! 大好き!」
「母さん! ずっと一緒です!」
「ママ! 愛してますわ!」
同時にすがりついてきた、っていうか飛びかかってきた娘たちにもみくちゃにされる。
お前ら、わざとやってるだろ?
食料とか薪とかを買って別荘に戻る。
湖で遊ぶのは明日ね。
今日はさすがに腹も減ったし疲れた。
飯を食って風呂に入って寝てしまおう。
四人で分担して、水汲みとか料理とか風呂焚きとかを片付ける。
ああ、食事はいつも通りに肉がメインね。メイシャがいるもの。
そんなこんなで、腹も満たされ汗も流してさっぱりし、居間でくつろいでいるときに騒ぎが起こった。
街の方に火の手が上がるのが見えたのである。
サハギンがでた! という悲鳴とも怒号ともつかない声が聞こえ、警鐘が響き渡った。
「みんな。すぐに装備を調えるんだ。準備でき次第、庭に集合。出るぞ」
俺は三人娘に指示を出し、荷物の置いてある使用人部屋に飛び込む。
ブレストプレートを装着し、腰に剣帯を巻き付けて愛用のブロードソードを提げた。
「よし」
額にバンダナを締めて気合いを入れれば、いつも通り。
小走りに庭に行くと、もう三人とも集まっている。
「メイシャ。栄養いれとけよ」
「わかってますわ」
そういって飴菓子を口に放り込む僧侶の腰を軽く叩く。
「ミリアリア。緊張してないか?」
「だ、大丈夫です」
不測の事態に声を上ずらせる魔法使いの頭を撫でてやる。
「アスカ。油断するなよ」
「うん!」
そして、戦闘衝動に青い目を輝かせる剣士と、右拳をぶつけあう。
OK。
出撃だ。
情報は道々あつめる。
まずは現着が最優先。戦える人間がいるってことを商店街の人たちに見せて安心させるのだ。
「続け! 遅れるなよ!」
娘たちの先頭に立ち、俺は駆け出した。
サハギンというのは、すごく簡単にいうと水棲の鬼だ。
半魚人とも呼ばれるけど、そういっちゃうとさすがに、マーマンもマーメイドもセイレーンもインスマスもぜんぶ一緒くたになってしまうので、カテゴライズとしては大きすぎる。
サハギンに関しては、遊び感覚で人間を狩猟して食べるという、残忍で厄介なモンスターだ。
人間から見た場合、不倶戴天の敵といってもそんなに言いすぎじゃない。
まあ、たいていのモンスターは不倶戴天だけどな。
一緒に繁栄していきましょうね、なんて思えるようなやつらが、魔物なんて呼ばれるわけがないさ。
「きたぞ! ミリアリア!」
正面に現れるでかい影が三つ。
身長では俺より一回り、ボリュームでは二回りも大きい。
「はい! 光よ!」
持続時間ゼロ、光量最大の光源魔法をミリアリアが使う。
ほんの一瞬だけ、まるで太陽が出現したかのような光を彼女の杖が放つ。
あらかじめ授けてある作戦だ。
俺たち全員が目を閉じ、さらに片手で目をガードする。
絶叫をあげて両手で顔を覆うサハギンども。俺たちとは違う理由で。
サハギンというのは暗い水の中に住んでいるため光に弱い。だから人間の街を襲うときには夜襲が基本なのだ。
こうやって強い光を照らされると、一時的に行動不能に陥る。
「メイシャ!」
光が消えた瞬間に俺はメイシャに指示を出す。
「安んじてお任せあれですわ。聖なる力よ!」
抜き放ったブロードソードが、清浄な白い輝きを発した。
「アスカ!」
「うん!」
同時に突っ込む。
神力を付与された俺の剣と、カイトス将軍からもらったアスカブレイド(命名、アスカ)が、固い鱗に覆われたサハギンの首を刎ねる。
これで二匹。
「マジックミサイル!」
最後の一匹はミリアリアの攻撃魔法によって殺された。
放たれた十近い光のつぶてに身体を貫かれ。
行動不能に陥っていれば、凶暴だろうとでかかろうと、こんなものである。
「次行くぞ」
戦闘の続く商店街の方を眺めながら宣言する。
さっき見かけたようなきわどい衣服だって、買いたいならば買えば良いさ。
何に使うのかは、知らないけどな。
「服は欲しいけど、あんまりお金使えないんだよ。借金を返さないといけないし」
ちょっとしょんぼり応えるアスカだった。
俺は手を伸ばして、赤い頭をぽんぽんと叩いてやる。
「それな。ガイリアに帰ったら肩代わりするぞ。クランの金でな」
「へ?」
「へじゃない。冒険者としての装備なんだから、冒険者クランの経費で買わないとダメだ」
ちょっと飛躍した論理を使う。
本来、冒険者の装備は自分持ちだ。そろいの団服とか作る場合を除いては。
結局のところ、自分に合う武器や防具を身につけないと意味がないし、自分しか使えないものをクランの金で買うってのは、さすがにちょっと間尺に合わない。
けど、団員の装備は団で揃えるって考えも、まったく間違っているというわけでもないのである。
団員の働きこそがクランの収入なのだから、最高に近いパフォーマンスをもって仕事をしてもらわないといけない。
装備だって例外ではないのだ。
「そうなのかな?」
こてんとアスカが首をかしげる。
「俺がそう考えてるってだけの話で、まったく一般的じゃないけどな」
むしろ、若い娘たちが、借金返済のために好きな服すら買えないって状況が面白くないだけだけどな。
これはわざわざ口に出す必要がないことである。
「だから、借金のことはいったん頭から追い出して良い。クランとしてちゃんと考えるから」
アスカ、ミリアリア、メイシャを等分に眺めながら言う。
まともなクランハウスに引っ越す日はますます遠ざかるけど、それはそれで仕方がない。
あの小屋にだって少しは愛着が……でてこないなぁ。残念ながら。
「お母ちゃん! 大好き!」
「母さん! ずっと一緒です!」
「ママ! 愛してますわ!」
同時にすがりついてきた、っていうか飛びかかってきた娘たちにもみくちゃにされる。
お前ら、わざとやってるだろ?
食料とか薪とかを買って別荘に戻る。
湖で遊ぶのは明日ね。
今日はさすがに腹も減ったし疲れた。
飯を食って風呂に入って寝てしまおう。
四人で分担して、水汲みとか料理とか風呂焚きとかを片付ける。
ああ、食事はいつも通りに肉がメインね。メイシャがいるもの。
そんなこんなで、腹も満たされ汗も流してさっぱりし、居間でくつろいでいるときに騒ぎが起こった。
街の方に火の手が上がるのが見えたのである。
サハギンがでた! という悲鳴とも怒号ともつかない声が聞こえ、警鐘が響き渡った。
「みんな。すぐに装備を調えるんだ。準備でき次第、庭に集合。出るぞ」
俺は三人娘に指示を出し、荷物の置いてある使用人部屋に飛び込む。
ブレストプレートを装着し、腰に剣帯を巻き付けて愛用のブロードソードを提げた。
「よし」
額にバンダナを締めて気合いを入れれば、いつも通り。
小走りに庭に行くと、もう三人とも集まっている。
「メイシャ。栄養いれとけよ」
「わかってますわ」
そういって飴菓子を口に放り込む僧侶の腰を軽く叩く。
「ミリアリア。緊張してないか?」
「だ、大丈夫です」
不測の事態に声を上ずらせる魔法使いの頭を撫でてやる。
「アスカ。油断するなよ」
「うん!」
そして、戦闘衝動に青い目を輝かせる剣士と、右拳をぶつけあう。
OK。
出撃だ。
情報は道々あつめる。
まずは現着が最優先。戦える人間がいるってことを商店街の人たちに見せて安心させるのだ。
「続け! 遅れるなよ!」
娘たちの先頭に立ち、俺は駆け出した。
サハギンというのは、すごく簡単にいうと水棲の鬼だ。
半魚人とも呼ばれるけど、そういっちゃうとさすがに、マーマンもマーメイドもセイレーンもインスマスもぜんぶ一緒くたになってしまうので、カテゴライズとしては大きすぎる。
サハギンに関しては、遊び感覚で人間を狩猟して食べるという、残忍で厄介なモンスターだ。
人間から見た場合、不倶戴天の敵といってもそんなに言いすぎじゃない。
まあ、たいていのモンスターは不倶戴天だけどな。
一緒に繁栄していきましょうね、なんて思えるようなやつらが、魔物なんて呼ばれるわけがないさ。
「きたぞ! ミリアリア!」
正面に現れるでかい影が三つ。
身長では俺より一回り、ボリュームでは二回りも大きい。
「はい! 光よ!」
持続時間ゼロ、光量最大の光源魔法をミリアリアが使う。
ほんの一瞬だけ、まるで太陽が出現したかのような光を彼女の杖が放つ。
あらかじめ授けてある作戦だ。
俺たち全員が目を閉じ、さらに片手で目をガードする。
絶叫をあげて両手で顔を覆うサハギンども。俺たちとは違う理由で。
サハギンというのは暗い水の中に住んでいるため光に弱い。だから人間の街を襲うときには夜襲が基本なのだ。
こうやって強い光を照らされると、一時的に行動不能に陥る。
「メイシャ!」
光が消えた瞬間に俺はメイシャに指示を出す。
「安んじてお任せあれですわ。聖なる力よ!」
抜き放ったブロードソードが、清浄な白い輝きを発した。
「アスカ!」
「うん!」
同時に突っ込む。
神力を付与された俺の剣と、カイトス将軍からもらったアスカブレイド(命名、アスカ)が、固い鱗に覆われたサハギンの首を刎ねる。
これで二匹。
「マジックミサイル!」
最後の一匹はミリアリアの攻撃魔法によって殺された。
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