二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!
第5話 危なっかしいなぁ
ものすごい勢いで突っ込んでくるアスカに、木陰から草むらから飛び出したゴブリンどもが襲いかかる。
怪鳥みたいな声を上げながら。
そりゃそうだろう。
単独行動してる人間なんて、まさに的だもの。
ゴブリン一体の戦闘力は人間のそれには及ばない。まともに正面から一対一で戦ったら人間が負ける道理がないが、だからこそやつらは集団で襲いかかってくる。
手練れの剣士だって、五匹も十匹も同時に相手にしたら負けてしまう。
そういうもんなのだ。
衆寡敵せずとか、多勢に無勢とか、警句だってたくさんある。
「バカかあいつは!」
俺も腰の剣を抜き、すぐにアスカを追おうとした。
単騎突入とかアホすぎる。
ていうか何のためにパーティー組んでるんだよ。こいつら。
「大丈夫です。ライオネルさん。まずは私たちの戦いを見てくれるんでしょう?」
押しとどめたのはミリアリアだ。
同世代の女の子に比べたら小さな身体を自信満々にそらしながら。
「きみたちの戦い方……そうだった」
「はい」
たしかに、好きにやってみろと言ったのは俺である。
そうこうしているうちにアスカが囲まれてしまった。
ゴブリンの数は二十から二十五。
アスカひとりで相手にできる数ではありえない。
勇敢にロングソードを振るって二匹三匹と倒すものの、どうしても死角ができてしまう。
それが包囲されるということ。人間の注意は全方向にむけることができないから。
巧みに致命傷を避けてはいるが、アスカの身体には細かい傷がいくつも作られていく。
そしてついに、強烈な突撃を受け、大きく吹き飛ばされた。
「遠距離回復!」
その瞬間、メイシャの魔法が完成し、宙を舞うアスカの身体が光に包まれる。
なるほど!
そういうことか!
ゴブリン程度の突進でずいぶんと吹き飛ばされるものだと思ったが、あれは自分で跳んだのだ。
間合いをとるために。
そして間合いがひらいたら出番の人がいる。
ちらりとミリアリアを見れば、ちょうど杖を振りかざしたところだった。
「魔力弾!」
光のつぶてがゴブリンどもに降り注ぐ。
魔法使いたちの用いる攻撃魔法のなかでは、最も初歩的であり最も威力の小さいマジックミサイルの魔法だが、抵抗ゼロのゴブリンが相手なら充分な殺傷力がある。
しかもアスカを囲むために密集している場所に放つのだから、細かく狙いを定める必要もない。
「攻撃終了まであと十二秒です! アスカ!」
「了解! リリ!」
魔法が途切れるタイミングをミリアリアが告げ、回復魔法を受けて元気一杯になったアスカがふたたび突撃する。
「これがわたくしたちの必勝戦法ですわ」
メイシャがぷるんと豊かな胸を揺らした。
なんて戦法だよ。
まるっきり囮作戦じゃないか。
ようするにアスカの役割は敵のあぶり出しだ。単独行動することで敵に勝機を見せびらかす。いまが各個撃破のチャンスだぞってね。
そうやって敵が集まったら、やられたフリをして距離を開けるのだ。
で、メイシャが長距離回復でアスカの傷を癒やし、敵が固まっているところにミリアリアの攻撃魔法をぶつける。
魔法のうち漏らしは、ふたたび突進したアスカがやっつけ、ダメージが蓄積したらまたやられたフリで距離を取る、と。
これを敵が全滅するまで繰り返すわけだ。
「なにが必勝だ。これでいままで勝てたのは運が良かっただけだぞ」
ため息をついた俺は、左手の甲でこつんとメイシャの頭を叩き、一直線に戦場に躍り込んだ。
ブロードソードを抜いてゴブリンに斬りかかる。
一閃で一匹、二閃で二匹。
こういってしまうと俺が練達の剣士みたいだけど、ぶっちゃけ相手がたかがゴブリンだってのが大きい。
囲まれてボコられたらやばいけど、一対一で負ける相手じゃない。
ようするに数的不利な局面を作らなければ良いって話なんだ。
移動と斬撃を繰り返しながら囲みを突破して、アスカと背中合わせになる。
「ライオネルさん!?」
「前だけみて戦え。余計なことを考えるな」
単独戦闘の不利というのは、どうしても死角が大きくなるという一点に尽きる。
簡単にいってしまうと背中ががら空きになってしまうのだ。
なので俺がアスカの背中を守り、俺の背中はアスカに守ってもらう。
「えへ! なんか戦友って感じがする!」
「うるせえ。黙って戦え」
にへらと頬を緩ませるバカ娘を軽く注意し、俺は襲いかかってくるゴブリンを斬り捨てる。
前衛で戦う人間の数が二倍になった。
損害も十に近づこうとしている。
そろそろ敵に動きがあるはずだ。
「ミリアリア。ゴブリンが逃げ始めるぞ! 魔法で追撃!」
俺が叫んだ瞬間、まるで計ったようにゴブリンどもが崩れる。
わっと算を乱して逃亡を始めたのだ。
あまりのタイミングの良さにミリアリアは驚いたようだったが、すぐにマジックミサイルを放って逃げるゴブリンの背中を攻撃する。
こうなったら七面鳥撃ちである。
当て放題だ。
「メイシャ! ミリアリアを守れ! 一匹二匹はそっちに行くぞ!」
「はいですわ!」
腰のメイスを外したメイシャが駆け、ミリアリアに向かってきたゴブリンの頭を背後から叩き潰した。
そして同時に、アスカのロングソードが最後の一匹の首を刎ねる。
「え? なんで?」
疑問符を頭の上に浮かべながら。
「ライオネルさんが前に出たら三十秒で勝っちゃった? なんで? なんで? どうなってるの? これ?」
きょとーんって感じだ。
うん。
アスカちゃん。きみはもうちょっと考えながら戦おうね?
ほんっとにそのうち死んじゃうから。
あんな戦い方をしていたら。
怪鳥みたいな声を上げながら。
そりゃそうだろう。
単独行動してる人間なんて、まさに的だもの。
ゴブリン一体の戦闘力は人間のそれには及ばない。まともに正面から一対一で戦ったら人間が負ける道理がないが、だからこそやつらは集団で襲いかかってくる。
手練れの剣士だって、五匹も十匹も同時に相手にしたら負けてしまう。
そういうもんなのだ。
衆寡敵せずとか、多勢に無勢とか、警句だってたくさんある。
「バカかあいつは!」
俺も腰の剣を抜き、すぐにアスカを追おうとした。
単騎突入とかアホすぎる。
ていうか何のためにパーティー組んでるんだよ。こいつら。
「大丈夫です。ライオネルさん。まずは私たちの戦いを見てくれるんでしょう?」
押しとどめたのはミリアリアだ。
同世代の女の子に比べたら小さな身体を自信満々にそらしながら。
「きみたちの戦い方……そうだった」
「はい」
たしかに、好きにやってみろと言ったのは俺である。
そうこうしているうちにアスカが囲まれてしまった。
ゴブリンの数は二十から二十五。
アスカひとりで相手にできる数ではありえない。
勇敢にロングソードを振るって二匹三匹と倒すものの、どうしても死角ができてしまう。
それが包囲されるということ。人間の注意は全方向にむけることができないから。
巧みに致命傷を避けてはいるが、アスカの身体には細かい傷がいくつも作られていく。
そしてついに、強烈な突撃を受け、大きく吹き飛ばされた。
「遠距離回復!」
その瞬間、メイシャの魔法が完成し、宙を舞うアスカの身体が光に包まれる。
なるほど!
そういうことか!
ゴブリン程度の突進でずいぶんと吹き飛ばされるものだと思ったが、あれは自分で跳んだのだ。
間合いをとるために。
そして間合いがひらいたら出番の人がいる。
ちらりとミリアリアを見れば、ちょうど杖を振りかざしたところだった。
「魔力弾!」
光のつぶてがゴブリンどもに降り注ぐ。
魔法使いたちの用いる攻撃魔法のなかでは、最も初歩的であり最も威力の小さいマジックミサイルの魔法だが、抵抗ゼロのゴブリンが相手なら充分な殺傷力がある。
しかもアスカを囲むために密集している場所に放つのだから、細かく狙いを定める必要もない。
「攻撃終了まであと十二秒です! アスカ!」
「了解! リリ!」
魔法が途切れるタイミングをミリアリアが告げ、回復魔法を受けて元気一杯になったアスカがふたたび突撃する。
「これがわたくしたちの必勝戦法ですわ」
メイシャがぷるんと豊かな胸を揺らした。
なんて戦法だよ。
まるっきり囮作戦じゃないか。
ようするにアスカの役割は敵のあぶり出しだ。単独行動することで敵に勝機を見せびらかす。いまが各個撃破のチャンスだぞってね。
そうやって敵が集まったら、やられたフリをして距離を開けるのだ。
で、メイシャが長距離回復でアスカの傷を癒やし、敵が固まっているところにミリアリアの攻撃魔法をぶつける。
魔法のうち漏らしは、ふたたび突進したアスカがやっつけ、ダメージが蓄積したらまたやられたフリで距離を取る、と。
これを敵が全滅するまで繰り返すわけだ。
「なにが必勝だ。これでいままで勝てたのは運が良かっただけだぞ」
ため息をついた俺は、左手の甲でこつんとメイシャの頭を叩き、一直線に戦場に躍り込んだ。
ブロードソードを抜いてゴブリンに斬りかかる。
一閃で一匹、二閃で二匹。
こういってしまうと俺が練達の剣士みたいだけど、ぶっちゃけ相手がたかがゴブリンだってのが大きい。
囲まれてボコられたらやばいけど、一対一で負ける相手じゃない。
ようするに数的不利な局面を作らなければ良いって話なんだ。
移動と斬撃を繰り返しながら囲みを突破して、アスカと背中合わせになる。
「ライオネルさん!?」
「前だけみて戦え。余計なことを考えるな」
単独戦闘の不利というのは、どうしても死角が大きくなるという一点に尽きる。
簡単にいってしまうと背中ががら空きになってしまうのだ。
なので俺がアスカの背中を守り、俺の背中はアスカに守ってもらう。
「えへ! なんか戦友って感じがする!」
「うるせえ。黙って戦え」
にへらと頬を緩ませるバカ娘を軽く注意し、俺は襲いかかってくるゴブリンを斬り捨てる。
前衛で戦う人間の数が二倍になった。
損害も十に近づこうとしている。
そろそろ敵に動きがあるはずだ。
「ミリアリア。ゴブリンが逃げ始めるぞ! 魔法で追撃!」
俺が叫んだ瞬間、まるで計ったようにゴブリンどもが崩れる。
わっと算を乱して逃亡を始めたのだ。
あまりのタイミングの良さにミリアリアは驚いたようだったが、すぐにマジックミサイルを放って逃げるゴブリンの背中を攻撃する。
こうなったら七面鳥撃ちである。
当て放題だ。
「メイシャ! ミリアリアを守れ! 一匹二匹はそっちに行くぞ!」
「はいですわ!」
腰のメイスを外したメイシャが駆け、ミリアリアに向かってきたゴブリンの頭を背後から叩き潰した。
そして同時に、アスカのロングソードが最後の一匹の首を刎ねる。
「え? なんで?」
疑問符を頭の上に浮かべながら。
「ライオネルさんが前に出たら三十秒で勝っちゃった? なんで? なんで? どうなってるの? これ?」
きょとーんって感じだ。
うん。
アスカちゃん。きみはもうちょっと考えながら戦おうね?
ほんっとにそのうち死んじゃうから。
あんな戦い方をしていたら。
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