異世界転生って、まだ死なせてくれないんですか?〜老衰から誕生へ〜

真木 輝

第2章 第7話 班決め

俺が向かう先には1人の銀髪の美女がいる
周りはすでに班を組んで談笑しているがその子は1人のままだ
そしてその周りを寄せ付けないオーラを放つ銀髪の美女に俺は声をかけた

「やあリル、もし班が決まってなかったら、俺たちと班を組まないか?」

そう声をかけると
リルは振り返り俺の方を見た

「・・・・」

じーっと俺の方を見つめてくる

「な、何かした?」

まったく何もした記憶はないが
ほんとにリルは何を考えているのだろうか

「いや、別に何も」

「そ、そっか」

そしてリルはしばらく下を向いて考えたあと口を開いた

「ま、まあ、は、入ってあげてもいいわよ?」

目線は少したりとも合わせてくれないが
嫌がられてはいないようだ

「オッケー、ならさっそく話し合おう」

アースはそう言ってリルをライトたちの元へと連れて行く

「ライト、リン、最後の1人連れてきたぞー」

ライトとリンは話をやめこちらに目をやる

「ま、まじか・・・」

「え、ええ、まさかね・・・」

アースは不思議そうに首を傾げる
何かおかしいことでもしたか?

「えっと、リル・シャイスカーラよ、よろしく」

ライトとリンは目を見合わせ黙り込む
ん?
もしかして歓迎されてない?!

「あ、あのー、おふたりさん?」

おそるおそる声をかけると2人はこちらを振り向いた
そして2人はアースの肩に手をやると

「「よくやった!!!!」」

と口を揃えていった

「アース、お前ってやつは!!!」

「ええ、ほんとになんて最高の人材を連れてきたのよ!!!」

2人はワーイ、ワーイと飛び跳ねている
どうやら大歓迎らしい

「俺はライト・ハーフベルトよろしくな!!!」

「私はリン・フタビよ、リルって呼んでいいの?」

「ええ、よろしく、リルでいいわよ」

リルは少し戸惑っているようだ
まあ何はともあれなんとかなってよかった




それからしばらく自己紹介や雑談をした
リルは2人とも仲良くなれたようで少しずつ笑顔も増えてきた

「ええと、いよいよ本題に入るわけなんだけど」

「この中で魔法士の人って誰?」

リンがそう言うとリン以外の3人が手を挙げる

「やっぱりね・・・、何も考えずに決めてしまったからね」

リンはガクッと肩を落とした
どうやら班というのは
剣士と魔法士を半々で構成するのが普通らしい
そちらの方が応用が効くし立ち回りがいいらしいからだ

「ライトはわかってたわ、けどまさか他の2人まで魔法士だとは・・・」

ライトが魔法士だということは初耳だが
リルは純粋なる魔法士だ
光剣を使っていたが
あれはあくまでも魔法士の延長上だ

ではそもそもなぜ魔法士と剣士が両立できないのかということだが
まず魔法士の場合、魔法を使う際に魔力を一点に集中させる
つまり身体中の魔力を一点に集中させて魔法を具現化させているのだ

それに対して剣士は剣も身体の一部とみなし、剣にも魔力を循環させる
つまり剣を含めた身体全体に魔力を循環させることで、身体強化、剣の強度強化を同時に行なっているのだ

これら2つを同時にこなすのは不可能に等しい
どんだけ器用な人間でも極端に真逆の魔力操作を行うのは至難の業だ
今まで何人もの人々が試みてきたが成功した者はたった1人、現火の国国王のみだ

そのためこの世界では魔法士か剣士どちらかに絞り、極めた方が良いとされている

「どうしたものか・・・」

リンは頭を抱えたまま悩んでいる

「リルちゃんかアースでなんちゃって剣士で前衛やるしかないんじゃない?」

「そうねー」

2人はいつにもなく真剣に考えているようだ

「あ、あのー」

するとその時アースがおそるおそる手を挙げた

「ん?どうしたの?」

リンが首を傾げる

「じ、実は俺、魔法士と剣士両方できるんだけど・・・」

周りが静まり返る
そして3人は目を合わせた

「「「ええええぇぇええ!!!」」」




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